第5章 腎・泌尿器疾患に用いる薬剤 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

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頻尿・排尿障害治療薬

頻尿・過活動膀胱治療薬

主な一般名(商品名)
①塩酸プロピベリン(バップフォー
②コハク酸ソリフェナシン(ベシケア
③酒石酸トルテロジン(デトルシトール
④イミダフェナシン(ウリトス、ステーブラ
⑤塩酸オキシブチニン(ポラキス
⑥塩酸フラボキサート(ブラダロン

排尿障害治療薬

主な一般名(商品名)
①塩酸タムスロシン(ハルナールD
②ナフトピジル(フリバス
③シロシン(ユリーフ

頻尿・排尿障害治療薬の特徴と注意点

  • 頻尿・過活動膀胱治療薬の①~⑤は抗コリン薬で、膀胱平滑筋のムスカリン受容体に結合して膀胱収縮を起こすアセチルコリンを阻害することで、膀胱の収縮を抑制する。主として切迫性尿失禁に有効である。
  • 同⑥は、膀胱平滑筋細胞内へのカルシウム流入を阻害することで膀胱を弛緩させ、膀胱容量を増大させる。また、膀胱三角部の興奮を抑制して過敏状態を改善することで尿意の発現を遅延させ、排尿回数を減少させる。
  • 排尿障害治療薬はα1受容体遮断薬で、膀胱頸部や尿道平滑筋のα受容体とアドレナリンの結合を遮断して膀胱を緩め、排尿を促す。主に前立腺肥大症や前立腺炎による排尿困難に適応を持つ。
  • 頻尿・過活動膀胱治療薬における抗コリン薬は、その作用機序の関係から相互作用の薬剤が比較的多いので注意。特に患者が三環系抗うつ薬などの向精神薬を使用している場合は気をつける。塩酸フラボキサートは抗コリン薬と比べて効果は緩徐だが、重篤な副作用は少ない。
  • α遮断薬には降圧効果もあるため、服用時には低血圧症状が発現する。このため、自動車の運転や高所作業には注意が必要である。
  • 排尿障害治療薬には、このほかにL-グルタミン酸・L-アラニン・アミノ酢酸によるパラプロストや、炎症の抑制や尿路の消毒殺菌作用を有する漢方製剤のエビプロスタット、抗アンドロゲン作用によるホルモン剤のプロスタールがある。

勃起不全改善薬(PDE5 阻害薬)

主な一般名(商品名)
①シルデナフィルクエン酸塩(バイアグラ
②バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ
③タダラフィル(シアリス

勃起不全改善薬(PDE5阻害薬)の特徴と注意点

  • 平滑筋の弛緩作用を持つサイクリックGMPの分解酵素ホスホジエステラーゼ5(PDE5)を阻害することでサイクリックGMPを高濃度に保ち、陰茎の平滑筋を弛緩させて、血管を拡張させることで勃起を促す。
  • 総じて食事によって作用の減弱が起こるが、バルデナフィル(レビトラ)とタダラフィル(シアリス)は比較的食事の影響を受けない。また、タダラフィルは作用時間が長く、性行為直前に服用しなくてもよい。
  • 降圧薬はもとより、α遮断薬やCYP3A4阻害/誘導薬など、多くの薬剤との相互作用があり、それによって生じる副作用も重篤なものなので、十分な注意が必要である。
注意すべき副作用・相互作用
血管の平滑筋を拡張して勃起不全を改善するため、ニトロなどの硝酸薬は効果が相互に増強されるので併用禁忌。また、酸化窒素はサイクリックGMPを活性化させるので、一酸化窒素剤との併用で効果が増強され、過度の降圧が起こるため、使用禁忌である。
PDE5阻害薬は、肝臓のCYP3A4によって代謝されるので、CYP3A4阻害薬や誘導薬との併用で、本剤の効果が増強または減弱する。このほかバルデナフィルはリトナビル、インジナビル、アタザナビル、ケトコナゾール、イトラコナゾールなどとの併用が禁忌である。
総じて血管障害、重度の肝障害、脳出血や心筋梗塞、網膜色素変性症などの患者には禁忌である。
副作用では、ほてりや高血圧、頭痛、動悸、めまい、消化不良などに注意する。
患者に説明するときは、本剤が血管拡張をもたらす薬剤であり、決して精力増強や性欲増強といった類の薬でないことを明示し、患者が勝手に用法・容量を変更することがないように指導することが望ましい。
CYP3A4

チトクローム450(CYP)は、大半がヒトの肝臓に存在する薬物代謝酵素であり、多数の分子種がある。その中でも、現在臨床で用いられる薬剤の代謝にかかわる重要な分子種の1つがCYP3A4である。

抗男性ホルモン剤、男性ホルモン剤

抗男性ホルモン剤(①~④)、男性ホルモン剤(⑤)

主な一般名(商品名)
①酢酸クロルマジノン(プロスタール
②アリルエストレノール(パーセリン
③フルタミド(オダイン
④ビカルタミド(カソデックス
⑤メチルテストステロン(エナルモン

ホルモン剤の特徴と注意点

  • ①、②の抗男性ホルモン剤は、前立腺肥大症の適応を持つ。男性ホルモンを抑えることで前立腺を小さくする。①、③、④は前立腺癌の適応を持つ。
  • ⑤は、男子性腺機能不全や造精機能障害といった男性不妊症に用いられる。
  • 肝機能障害や肝疾患の患者には禁忌。注意すべき副作用は肝機能の異常や肝臓障害で、特にプロスタール、オダイン、カソデックスの投与後3か月間は月に1回、以後も定期的な肝機能検査を行う。
  • メチルテストステロン(エナルモン)は、前立腺癌などのアンドロゲン依存性腫瘍の患者には禁忌である。

結石の治療薬(酸性尿改善薬、結石排出促進薬、尿酸生成抑制薬)

主な一般名(商品名)
①クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合(ウラリット、ウラリット-U
②ウラジロガシエキス(ウロカルン
③アロプリノール(ザイロリック、アロシトール

結石の治療薬の特徴と注意点

  • ①は、尿のpHをアルカリ性に保つことで結石の産生を予防する酸性尿改善薬である。
  • ②は結石を溶解する、植物のウラジロガシ抽出エキスが用いられた結石排出促進薬である。
  • ③は本来痛風治療薬である。キサンチンを尿酸に生成するキサンチンオキシダーゼを阻害し、尿中への尿酸排泄を抑える。これによって尿酸結石の形成を阻害する。
注意すべき副作用・相互作用
③は再生不良貧血や中毒性表皮壊死症、無顆粒球症、血小板減少、腎不全・腎障害、肝機能障害など、重篤な副作用が多い。また、アザチオプリンとの併用で骨髄抑制、ワルファリンやシクロホスファミドとの併用で白血球減少などが起こる。

副腎皮質ホルモン合成阻害薬(クッシング症候群/原発性アルドステロン症治療薬)

主な一般名(商品名)
①ミトタン(オペプリム
②トリロスタン(デソパン

副腎皮質ホルモン合成阻害薬の特徴と注意点

  • ①は、ステロイド合成阻害作用によってステロイドホルモンの過剰分泌を抑制する。また本剤は、選択的に副腎皮質細胞毒作用もあるため、副腎癌への適応も持つ。
  • ②は、副腎の3β‐ハイドロキシステロイド脱水素酵素を特異的に阻害することで、アルドステロンとハイドロコルチゾンの過剰分泌を抑制する。このため本剤は、クッシング症候群と原発性アルドステロン症の両方に適応を有している。
  • ただし①、②とも、手術適応ではないクッシング症候群(②はアルドステロン症も含む)への適応である。
  • 原発性アルドステロン症では、カリウム保持性利尿薬のアルダクトンA(スピロノラクトン)などの降圧薬も用いる。
注意すべき副作用・相互作用
①では胃潰瘍や胃腸出血、腎障害、副腎不全、認知症、妄想などの重篤なものが起こることがある。
②は①との併用で効果が増強されるので注意する。

抗悪性腫瘍薬

主な一般名(商品名)
<アルキル化薬>
①イホスファミド(イホマイド
②チオテパ(テスパミン
<抗悪性腫瘍抗生物質>
①ドキソルビシン塩酸塩(アドリアシン
②ピラルビシン(テラルビシン、ピノルビン
③エピルビシン塩酸塩(ファルモルビシン
④ドセタキセル(タキソテール)、パクリタキセル(タキソール
<抗腫瘍ホルモン類似薬>
①リュープロレリン酢酸塩(リュープリン
②ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス
③エストラムスチンリン酸エステル(エストラサイト
<白金製剤>
①シスプラチン(ランダ、ブリプラチン
<生物製剤(インターフェロン・インターロイキンなど)>
①インターフェロンα[IFNα](イントロンA、スミフェロン
②テセロイキン(イムネース
<分子標的治療薬>
①ソラフェニブ(ネクサバール
②スニチニブ(スーテント
③テムシロリムス(トーリセル
④エベロリムス(アフィニトール

抗悪性腫瘍薬の特徴と注意点

  • アルキル化薬は、核酸蛋白をアルキル化することでDNAの複製を阻害し、癌の細胞死を促す。
  • 抗悪性腫瘍抗生物質の①~③は、DNAやRNAのポリメラーゼ反応を抑えて核酸の合成を阻害するアントラサイクリン系で、尿路上皮癌への適応を持つ。抗腫瘍効果は高いが、心筋障害や骨髄抑制、心毒性などの重篤な副作用も多い。
  • 抗腫瘍ホルモン類似薬は、ホルモン依存性の腫瘍に効果的で、エストラサイトは女性ホルモンと抗癌剤を結合した薬剤で、前立腺癌への適応を有する。
  • 白金製剤は、DNA蛋白結合やDNA鎖の結合によって、癌細胞のDNA合成を阻害する。シスプラチンは膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍、前立腺癌、精巣腫瘍などへの適応を持つが、一方で急性腎不全や一過性脳虚血発作、骨髄抑制、心筋梗塞といった重篤なものも含めて、多くの副作用がある。
  • 生物製剤は、癌細胞の増殖に影響を与えるサイトカインに関与する。泌尿器関連では、主として腎癌で用いられる。
注意すべき副作用・相互作用
全般的に副作用や相互作用が多いため、注意を払う必要がある。特に骨髄抑制や肝障害・腎障害には注意する。 相互作用では、併用薬や食物だけでなく、癌治療で行われる放射線照射も影響を受けることがあるので注意する。

抗菌薬

主な一般名(商品名)

<テトラサイクリン系>
①テトラサイクリン塩酸塩(アクロマイシン
②ミノサイクリン塩酸塩(ミノマイシン
③ドキシサイクリン塩酸塩水和物(ビブラマイシン
<ホスホマイシン>
①ホスホマイシンカルシウム水和物(ホスミシン
<ニューキノロン系>
①ノルフロキサシン(バクシダール、ウナセラ
②レボフロキサシン水和物(クラビット
③シタフロキサシン水和物(グレースビット
<セフェム系>
①セフジニル(セフゾン
②セフテラムピボキシル(トミロン
③セフカペンピボキシル塩酸塩水和物(フロモックス
④セフトリアキソンナトリウム水和物(ロセフィン
<ペニシリン系>
①スルタミシリントシル酸塩水和物(ユナシン
②アモキシシリン水和物(アモリン、サワシリン
<その他>
①ST合剤(バクタ、バクトラミン
②アジスロマイシン水和物(ジスロマック、ジスロマックSR

抗菌薬の特徴と注意点

  • 上記の抗菌薬は、膀胱炎、尿道炎、腎盂腎炎、前立腺炎、精巣上体炎、バルトリン腺炎などの適応を有している。
  • テトラサイクリン系は、近年耐性菌が頻出したが、比較的耐性菌がないミノマイシンやビブラマイシンが主流である。
  • ニューキノロン系は体内における吸収性がよく、組織移行性も高い。また、耐性菌の増加が問題となっており、淋菌に対しては効果が低い。
  • セフェム系の多くの注射剤は、腎盂腎炎や膀胱炎などの原因となっている大腸菌への第一選択薬と位置づけられている。
  • 淋菌に対しては、ロセフィン注射剤が適応であるが、経口ではジスロマックSRの1回投与が行われる。

注意すべき副作用・相互作用

  • 抗菌薬は、総じてさまざまな副作用や相互作用を持っているため、処方時に注意する。
  • テトラサイクリン系は、消化器系からの吸収が完全ではないので腸内細菌叢に影響を与えることから、消化器系の副作用がある。またカルシウムやマグネシウム、鉄、アルミニウム含有の薬剤および食品と併用すると、吸収力が低下して効果の減弱が起こるので注意する。
  • ホスホマイシンは、偽膜性大腸炎の副作用発現に注意する。また、ナトリウムの含有率が高いので、循環器系や腎障害の患者への投与時には、十分な注意が必要である。
  • ニューキノロン系のノルフロキサシンやレボフロキサシンは、アナフィラキシー様ショックやけいれんなどの副作用に注意する。全般的にニューキノロン系は、制酸剤などのアルミニウムやマグネシ ウム含有薬剤と併用すると吸収が阻害される。
  • クロラムフェニコール系抗菌薬もあるが、注意すべき副作用として、再生不良性貧血や末梢神経炎などがある。さらに、造血機能低下の患者には禁忌となっている。相互作用においても、抗悪性腫瘍薬のような骨髄抑制を起こす薬とは併用禁忌である。

腎障害の治療に用いる薬剤

主な一般名(商品名)

<テトラサイクリン系>
①テトラサイクリン塩酸塩(アクロマイシン
②ミノサイクリン塩酸塩(ミノマイシン
③ドキシサイクリン塩酸塩水和物(ビブラマイシン
<ホスホマイシン>
①ホスホマイシンカルシウム水和物(ホスミシン
<ニューキノロン系>
①ノルフロキサシン(バクシダール、ウナセラ
②レボフロキサシン水和物(クラビット
③シタフロキサシン水和物(グレースビット
<セフェム系>
①セフジニル(セフゾン
②セフテラムピボキシル(トミロン
③セフカペンピボキシル塩酸塩水和物(フロモックス
④セフトリアキソンナトリウム水和物(ロセフィン
<ペニシリン系>
①スルタミシリントシル酸塩水和物(ユナシン
②アモキシシリン水和物(アモリン、サワシリン
<その他>
①ST合剤(バクタ、バクトラミン
②アジスロマイシン水和物(ジスロマック、ジスロマックSR

抗菌薬の特徴と注意点

  • 上記の抗菌薬は、膀胱炎、尿道炎、腎盂腎炎、前立腺炎、精巣上体炎、バルトリン腺炎などの適応を有している。
  • テトラサイクリン系は、近年耐性菌が頻出したが、比較的耐性菌がないミノマイシンやビブラマイシンが主流である。
  • ニューキノロン系は体内における吸収性がよく、組織移行性も高い。また、耐性菌の増加が問題となっており、淋菌に対しては効果が低い。
  • セフェム系の多くの注射剤は、腎盂腎炎や膀胱炎などの原因となっている大腸菌への第一選択薬と位置づけられている。
  • 淋菌に対しては、ロセフィン注射剤が適応であるが、経口ではジスロマックSRの1回投与が行われる。

注意すべき副作用・相互作用

  • 抗菌薬は、総じてさまざまな副作用や相互作用を持っているため、処方時に注意する。
  • テトラサイクリン系は、消化器系からの吸収が完全ではないので腸内細菌叢に影響を与えることから、消化器系の副作用がある。またカルシウムやマグネシウム、鉄、アルミニウム含有の薬剤および食品と併用すると、吸収力が低下して効果の減弱が起こるので注意する。
  • ホスホマイシンは、偽膜性大腸炎の副作用発現に注意する。また、ナトリウムの含有率が高いので、循環器系や腎障害の患者への投与時には、十分な注意が必要である。
  • ニューキノロン系のノルフロキサシンやレボフロキサシンは、アナフィラキシー様ショックやけいれんなどの副作用に注意する。全般的にニューキノロン系は、制酸剤などのアルミニウムやマグネシ ウム含有薬剤と併用すると吸収が阻害される。
  • クロラムフェニコール系抗菌薬もあるが、注意すべき副作用として、再生不良性貧血や末梢神経炎などがある。さらに、造血機能低下の患者には禁忌となっている。相互作用においても、抗悪性腫瘍薬のような骨髄抑制を起こす薬とは併用禁忌である。