第4章 腎・泌尿器領域の治療尿道 生殖器の手術 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

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経尿道的前立腺切除術(TUR-P)

経尿道的前立腺切除術(TUR-P)とは

  • 尿道から内視鏡を挿入して、電気メスで肥大した前立腺(移行領域)を切除する方法であり、前立腺肥大症の治療のゴールドスタンダードとなっている。
  • 使用する器具は、TUR-Btと同じである。

術中の管理

TUR症候群
術中に、灌流液が急速に血管内に流れ込み吸収されて、低ナトリウム血症の症状を呈することがある。
対処法は、利尿薬や昇圧薬を投与する。

術後の管理

TUR症候群
血圧低下、悪心、嘔吐、昏睡などは、医師に報告する。
出血
前立腺の内部は血流が豊富なため、出血が多くなる場合がある。出血性ショックに注意する。
血尿の有無、尿量を把握する。
持続的膀胱洗浄
血塊ができて尿閉が起こりやすくなるため、予防目的で行う。
以下の場合は、尿閉の可能性があるため、医師に報告する。
排液が流れない、留置カテーテルの脇から排液がもれる。
腹部膨満感、疼痛があるなど
手術室より病室へ帰室してしばらくは、麻酔が残っていてカテーテル閉塞に気づかないことがある。持続的膀胱洗浄の排液とともに、膀胱部のふくらみも確認する。
感染症
まれに、精巣上体炎がみられる。症状は、陰嚢が大きく腫れあがり、発熱する。抗生剤を投与する。
逆行性射精
勃起障害(ED)になることはまれである。
射精した精液が逆流して膀胱内に流れることは、ほとんど必発である。子どもを希望する人には、TUR-Pは不向き。
排尿困難
カテーテル抜去後、一時的に尿失禁や尿もれが起こることがあるが、次第におさまる。
生活指導
十分な水分を摂取する。
しばらくは長時間の座位、自転車に乗ることは控える。
刺激の強い食品、アルコールは出血を誘発するため控える。
重い荷物を持つことや、激しい運動は避ける。

看護のポイント

患者は高齢者が多い。既往歴や退院後の生活環境などもよく把握しておく必要がある。
発熱や尿閉の症状がある場合は、早急に受診するよう指導する。

根治的前立腺全摘除術

根治的前立腺全摘除術とは

  • 根治的前立腺全摘除術は、前立腺癌の根治手術法である。
  • 前立腺と精嚢を摘出し、膀胱と尿道を吻合する。
  • 以下の方法がある が、恥骨後式前立腺全摘除術が一般的である。
恥骨後式前立腺全摘除術(RRP)
下腹部を正中切開し(図12)、尿道を切断して、前立腺後面のデノビエ腔に入る。そこから前立腺と精嚢までを一塊にして摘出する。
膀胱と尿道を吻合する。
会陰式前立腺全摘除術(RPP)
会陰部を逆U字に切開して、直腸壁に沿って前立腺を離し、前立腺と精嚢を一塊にして摘出する。
リンパ節郭清ができないという欠点がある。
図12 正中切開
腹腔鏡下前立腺全摘除術(LRP)
腹腔鏡下で前立腺と精嚢を摘出する。
摘出方法は、恥骨後式前立腺全摘除術に準じている。

術後のケア

  • 出血、腸閉塞、感染(創部、留置カテーテルなど)などに注意する。
  • 術後の2大合併症は、勃起障害(ED)と尿失禁である。
勃起障害(ED)
勃起にあずかる前立腺周囲の神経血管を温存する術式と、それらを含めて摘出する術式がある。前者では、術後も勃起能が残る可能性がある。
術式の選択については、年齢や癌のステージなどを考慮して行う。
尿失禁
術後早期のうちは、ほぼ100%でみられる。しかし、次第に軽快し、パッドが不要となる確率は90%前後である。

看護のポイント

術後の尿失禁でショックを受ける患者もいる。いずれパッドなしで生活できるようになることを伝えて、安心させることが大切である。

根治的精巣摘除術(高位除精術)

根治的精巣摘除術(高位除精術)とは

  • 根治的精巣摘除術(高位除精術)は、精巣癌の根治手術法であり、精巣と精巣上体、精索をまとめて摘出する。
  • 「高位」とは、精巣を精索につけたままの状態で、内鼠径輪までたどって切除するという意味である。

根治的精巣摘除術の流れ

  • 皮膚切開を行い、精索を結紮して血流を止める。
  • 精巣と陰嚢を離して、精巣を押し上げて創外に脱転させる。
  • 鼠径管を開け、内鼠径輪の高さで精巣と精巣上体、精索を一塊にして摘出する。

術後のケア

  • 陰嚢内出血:疼痛、創部の腫脹などに注意する。
  • 創部の感染:肛門に近いため、ガーゼなどの汚染に注意する。

看護のポイント

患者は、片側の精巣がなくなることに不安を感じる。術後も性機能に問題がないことを説明して不安を取り除く。
若年の患者が多いため、精神的なケアが必要である。