第4章 腎・泌尿器領域の治療 上部尿路の手術 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

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経皮的腎砕石術(PNL)

経皮的腎砕石術(PNL)とは

  • 経皮的腎砕石術(PNL)は、超音波ガイド下で腎ろうを作り、腎ろうから内視鏡を挿入して結石を破砕、摘出する方法である。
  • PNLは、腎結石が大きく、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)での破砕が難しい場合などに適応となる。

PNLの流れ

腎ろうを作る
腎機能低下や水腎症のない場合は、水腎をつくると穿刺しやすくなる。
尿管バルーンカテーテルを挿入し、バルーンを膨らませて水腎をつくる。腎盂内に針を穿刺し、腎ろうを作成する。
結石の破砕・摘出
腎ろうから内視鏡を挿入して結石を確認する。
衝撃波、レーザーなどを用いて結石を破砕、摘出する
(図5)。
術後
腎ろうからの腎盂バルーンカテーテルを留置し、数日後、尿管の閉塞などがないことを確認した後に抜去する。
図 5 PNL

術後の管理

合併症
出血:術後にカテーテルから出血がみられることがあるが、自然に止血する。出血が続く場合は、腎盂などの損傷が考えられるため、すみやかに医師に報告する。開放手術などを行う場合がある。
感染:術後、感染予防の目的で抗菌薬を投与するが、尿路感染症、まれに敗血症となることがある。
疼痛:痛みのある部位を確認する。鎮痛薬などを投与する。
結石の残存:細かい破片が腎臓や尿管に残っていることがある。再手術、もしくはESWLを行うことがある。
腎ろうのケア:カテーテル挿入部の疼痛の有無、カテーテルの閉塞の有無、ろう孔周囲の汚染の有無などを観察する。

看護のポイント

十分な水分摂取を指導する。
結石は再発しやすいため、定期検査を受けるよう説明する。

経尿道的尿管砕石術(TUL)

経尿道的尿管砕石術(TUL)とは

  • 経尿道的尿管砕石術(TUL)は、内視鏡(尿管鏡)を逆行性に尿管内に挿入し、砕石あるいは抽石する方法である。
  • TULの適応は、中部・下部尿管結石、一部の腎結石である。

TULの流れ

  • 尿管にカテーテルを挿入し、尿管結石の直下までガイドワイヤーを留置し、内視鏡(尿管鏡)を挿入する。
  • 衝撃波、レーザーなどを用いて結石を破砕・抽石する。
  • 術後に、尿管の閉塞、狭窄を避けるため、一時的に尿管ステントカテーテルを留置する。

術後の管理

合併症
術中の合併症には、尿管の穿孔がある。術後に腹部の疼痛を訴える場合は、穿孔の可能性があるため、すみやかに医師に報告する。開放手術などを行う場合がある。
出血、感染、疼痛については、こちらを参照のこと。

根治的腎摘除術

根治的腎摘除術とは

  • 腎癌を腎周囲脂肪組織ごと摘出する手術である。
  • 開放手術と腹腔鏡下手術ならびにミニマム創手術がある。
  • 腹腔鏡下根治的腎摘除術の適応:ステージ1が対象。ステージ2は術者の技術、経験などを考慮する必要がある(腎癌の病期分類について詳しくはこちらを参照)。
  • 腹腔鏡下手術ならびにミニマム創手術の手技は、開放手術と基本的に同じである。

根治的腎摘除術(開放手術)の流れ

  • 経腹膜到達法の場合、腹部を切開して(腫瘍が大きい場合は、第10または11肋骨を切除して)、腹腔を開き、腎に到達する。
  • 腎動静脈を結紮し、ジロータ筋膜を含めた腎周囲脂肪組織を一塊として摘出する(図6)。
  • 創部を縫合する。
図6 根治的腎摘除術

腎疾患の腹腔鏡下手術、ミニマム創内視鏡下手術

腹腔鏡下腎手術

  • 腹腔鏡下手術とは、体内に内視鏡を挿入し、モニターの術野 を観察しながら、手術を行う方法である。
  • 現在、次のような術式が行われている。
  • 単純腎摘除術
  • 根治的腎摘除術
  • 腎部分切除術
  • 根治的腎尿管摘除術など

腎臓までの到達方法

  • 腎臓までの到達方法は2つある。
経腹膜到達法
腹膜を切開し、腹腔から腎に到達する方法。
操作腔が広く、視野が良好である。
経後腹膜到達法
背側(後膜腹腔)から腎に到達する方法。
経腹膜的アプローチに比べて腎への到達時間が早いという利点があるが、視野が狭い。

腹腔鏡下腎手術の流れ

  • 体位は側臥位、または半側臥位とする。
  • 腹部数か所に切開した穴からトロカーを入れて留置する。
  • 二酸化炭素を注入してスペースを作る(気腹)。
  • トロカーから内視鏡を挿入し、その他のトロカーから鉗子、はさみ、クリップなどを挿入して、手術操作を行う。

術後の管理

術中合併症
開放手術と同じように、手術操作による臓器損傷、出血が起こる場合がある。
大血管の損傷が生じたときは、開放手術に切り替える。
術後合併症
バイタルサイン、尿量・性状、ドレーン排液量・性状、意識状態などを観察する(図7)。
図7 観察ポイント
術後合併症としては、特に後出血、創の感染、腸閉塞、肺塞栓などに注意する。

ミニマム創内視鏡下手術

  • ミニマム創内視鏡下手術(MIES、以下ミニマム創手術)とは、臓器が取り出せるだけの大きさの創を介して内視鏡下手術を行う方法である(図8)。
図8 腹腔鏡下手術とミニマム創手術
  • 内視鏡下手術で用いるトロカー、二酸化炭素は使わない。また、腹腔内の操作も行わない。
  • 2008 年4月より保険適用となった。
対象
悪性腫瘍:腎癌、副腎腫瘍、膀胱癌、腎盂尿管癌、前立腺癌などに多く用いられる。
ミニマム創手術の利点
創が小さい。
侵襲性が低く、患者への負担が少ない。
腹腔鏡下手術でみられる合併症(皮下気腫、トロカー穿刺に伴う臓器損傷、腹腔内操作に伴う腸閉塞など)がない。
入院期間が短く、経済的な負担が少ない。
腹腔鏡下手術は熟練した技術と経験が必要だが、ミニマム創手術では、根治的腎摘除術などの骨盤より上位の臓器の手術と、前立腺全摘除術などの骨盤内臓器の手術ができれば可能である。

看護のポイント

手術方法について、患者および家族に十分なインフォームドコンセントを行うことが重要である。
腹腔鏡下手術やミニマム創手術では、通常の開放手術へ移行する場合もあることを、必ず説明する。