第3章 代表的な臨床検査法 尿検査 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

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第3章代表的な臨床検査法
尿検査

尿の採取

採取方法

自然排尿(自然尿)
清潔な使い捨ての紙コップ内に排尿する。
外陰部に細菌が混入しないよう、尿道付近清拭が望ましい。
自然尿は、表1のように分類される。
カテーテル尿
経尿道カテーテルより採取された尿をいう。
膀胱穿刺尿
穿刺後、膀胱内に溜まっている尿を直接採取する。

採取時間

早朝尿
就寝時に排尿し、起床直後に採取する。
安静時の情報が得られる。
起立性蛋白尿や運動後の血尿などの鑑別に有効である。
表1 自然尿の分類
随時尿(スポット尿)
任意の時間に採取する。
負荷後尿
食後2時間尿、クリアランス試験、運動負荷、安静時との比較など、目的となる負荷をかけた後に尿を採取する。
24時間蓄尿
開始時に排尿し(この尿は捨てる)、24時間の尿をすべて溜めていく。24時間後に、尿意がなくても排尿して終了とする。

尿の保存

  • 尿は細菌が繁殖しやすいため、新鮮尿のうちに検査を行う。
  • 24時間蓄尿など長時間保存しなければならない場合は、保存剤を加えて、冷暗所に保存する。
  • 無添加保存:4℃で冷蔵保存する。採尿後6時間ぐらいまでならば、大部分の検査がこの方法で最適である。
  • ホルマリン添加:尿100mlに対し0.5mlのホルマリンを添加。
  • トルエン添加:蓄尿ビンに1~2ml入れる。表面に薄い膜ができ、空気が遮断される。
前立腺炎に対する尿採取

前立腺炎では、①初尿→②中間尿→前立腺マッサージ→③前立腺圧出液採取→④マッサージ後の初尿の4カップ法が行われていたが、最近は、前立腺触診前中間尿と、マッサージ後の初尿(VB-3)の2カップ法が用いられている。

尿の異常所見

尿の色調

  • 正常な尿は、淡黄色~淡黄褐色であり、清明である。
  • 色調に異常がある場合は、表2のとおりである。
表2 尿の色調と原因

尿の臭気

  • 尿に特有の臭気がある場合は、以下のとおりである。
  • アンモニア臭:尿路感染症
  • 甘酸っぱい臭い:糖尿病
  • ニンニクやニラなどを食べた後の尿は、特異な臭いがする

尿の泡

  • 採取直後の正常な尿は、混濁していない。
  • 採取時の尿に泡が認められる場合は、高度の蛋白尿、あるいはビリルビン尿が考えられる。

尿量

  • 尿量は、水分摂取量ならびに不感蒸泄量によって変動するが、その他に腎機能障害や、ホルモン(抗利尿ホルモンなど)に異常があると、尿量が変動する。
  • 尿量の基準値と異常値は表3のとおりである。
表3 尿量の基準値と異常値
多尿をきたす疾患・病態
尿崩症
糖尿病
慢性腎疾患の萎縮腎、アミロイド腎症
腎盂腎炎、急性腎不全の利尿期など
その他の原因
コーヒーやお茶などのカフェイン飲料摂取後。
降圧利尿薬などの薬剤によるもの。
乏尿・無尿をきたす疾患・病態
出血、下痢、ショック、心不全
急性腎炎、ネフローゼ症候群
結石・腫瘍などによる上部尿路の閉塞など

尿比重

  • 尿比重は、尿中の溶質の重量濃度によって変化する。
  • 腎臓の濃縮力、脱水状態などがわかる。
  • 尿量とあわせて調べる。
高比重尿
尿比重が1.030以上をいう。
脱水症状、糖尿病などで起こる。
低比重尿
尿比重が1.010以下をいう。
尿崩症、腎不全などで起こる。

尿pH

  • 健常者の尿は、弱酸性(pH6.0前後)である。
  • 尿pHは食事などで大きく変動するが、持続的に酸性あるいはアルカリ性に傾く場合は、何らかの疾患・病態が考えられる。
酸性尿(pH低値)
代謝性アシドーシス、呼吸性アシドーシス
肉類などの食品の摂取など

看護のポイント

尿閉は、排尿できずに膀胱内に尿が貯留する病態をいう。前立腺肥大症、膀胱・尿道腫瘍、結石、高度の膀胱瘤などでみられる。完全尿閉では早急な処置が必要となる。無尿と間違いやすいが、初期治療が異なるため、尿閉と無尿の違いを理解しておく。
アルカリ尿(pH高値)
代謝性アルカローシス、呼吸性アルカローシス
野菜や果物などの食品の摂取
尿路感染症など

尿蛋白

  • 尿中には蛋白が含まれている。健常者では、1日50~150mgの蛋白が尿中に排泄されている。
腎前性蛋白尿
腎・尿路以外の部位で異常が起こっている。
発熱(急性感染症)、悪性腫瘍、膠原病など
腎性蛋白尿
糸球体性蛋白尿:糸球体の毛細血管の透過性が亢進して、血中の血清蛋白が多量にもれ出すことによって起こる。糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症などがある。
尿細管性蛋白尿:尿細管に取り込まれて破壊されるはずの蛋白成分が、尿中に残る。尿細管機能異常、カドミウム中毒などによる腎障害などがある。
腎後性蛋白尿
腎盂以降の尿路系の腫瘍、炎症などが原因で起こる。

看護のポイント

起立性の蛋白尿は、病的な意味がない場合が多い。
入浴や激しい運動などでも尿蛋白が検出されるので、注意が必要である。

尿潜血反応

  • 尿潜血反応は、尿中のヘモグロビン値を調べる検査である。
血尿
肉眼的血尿と顕微鏡的血尿がある。
腎・尿路悪性腫瘍、尿路結石、炎症などがある。
ヘモグロビン尿
ヘモグロビン尿とは、赤血球は認められないが、ヘモグロビンが存在する尿をいう。
溶血性貧血、播種性血管内凝固症候群(DIC)などがある。

尿沈渣

  • 尿を遠心分離器にかけて得られるものを尿沈という。
  • 尿中には赤血球、白血球、皮細胞、円柱、結晶、微生物などの成分がある(表4)
表4 尿沈渣の項目