第2章 腎・泌尿器領域の主な疾患 泌尿器感染症 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

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第2章腎・泌尿器領域の主な疾患
泌尿器感染症

膀胱炎

どんな疾患・病態?

  • 細菌によって尿路で起こった炎症の総称を尿路感染症といい、なかでも最も頻度の高い疾患が膀胱炎である。
  • 膀胱炎の感染経路は、外陰部から尿道を通って膀胱内に定着して炎症を起こす。
  • 女性のほうが男性よりも尿道が短く、外尿道口が腟や肛門に近いことから、急性膀胱炎は女性に多くみられる。
  • 膀胱炎は、急性単純性膀胱炎と慢性複雑性膀胱炎に大別される。
急性単純性膀胱炎
性的活動期の女性に多い。
主な原因菌はグラム陰性桿菌である。
約80%が大腸菌である。
次いで肺炎桿菌、プロテウス・ミラビリスなどがある。
腎盂腎炎との症状の
慢性複雑性膀胱炎
尿路の感染防御能が低下するような腎臓や膀胱の基礎疾患を持っている人に起こる。
膀胱炎の治癒には、基礎疾患を取り除くことが必要である。

症状

  • 排尿痛、頻尿、残尿感などがある。発熱はない。
  • 尿混濁(尿が白く濁る)がみられる。

検査・診断

尿検査、尿中細菌培養
有意な膿尿、細菌尿があれば細菌性の膀胱炎と診断する。

治療

経口抗菌薬
急性単純性膀胱炎には、ニューキノロン系、あるいはセフェム系、またはマクロライド系などの抗菌薬を投与する。
慢性複雑性膀胱炎にも上記薬剤を投与するが、投与量や期間は十分に検討する必要がある。

看護のポイント

予防として、十分な水分補給を行うよう指導する。
女性では妊娠の有無で抗菌薬の選択が異なる。治療前に、必ず確認することを忘れない。
間質性膀胱炎

頻尿、尿意亢進、尿意切迫感、膀胱の疼痛(特に尿の充満時)などの症状がある。原因は不明だが、アレルギー的な因子により、粘膜下のGAG(グリコサミノグリカン)の異常が起こり、透過性が亢進することにより発症すると考えられている。

  • 40歳以上の女性に多い。膀胱鏡検査で潰瘍、点状出血が認められるのが特徴である。過活動膀胱との鑑別が難しい。
  • 治療は、膀胱を過伸展させる水圧拡張法、薬物療法などがある。
おしっこをがまんすると膀胱炎?

よく「おしっこをがまんすると膀胱炎になる」といわれるが、そのようなことはない。温水洗浄便座を下手に使用すると、肛門周囲の細菌を陰部に運ぶことになり、膀胱炎の原因となることがある。

腎盂腎炎

どんな疾患・病態?

  • 腎盂腎炎は、細菌による腎実質および腎盂・腎杯の炎症。
  • 20~40代の女性に多くみられる。
急性単純性腎盂腎炎
膀胱炎の原因菌が、膀胱から腎臓に逆流して腎盂腎炎を引き起こす。
主な原因菌は、大腸菌である。
膀胱炎との症
慢性複雑性腎盂腎炎
腎臓や膀胱の基礎疾患を背景として、感染が慢性化したもの。
繰り返し感染がみられたり、症状が急性増悪する。

症状

  • 悪寒やふるえを伴う高熱、悪心、嘔吐、腰・背中(腎部)の痛み、膀胱炎と同様の症状などがある。
播種性血管内凝固症候群(DIC)

何らかの原因で血管内凝固が活性化され、身の血管に血栓が多発する病態をいう。その一方で、血小板および凝固因子が消費されて、出血傾向もみられる。腎盂腎炎などの尿路の炎症に続発することがある。

検査・診断

尿検査、尿中細菌培養
膿尿、細菌尿などを認める。
血液検査
白血球増加、CRP亢進、急性では血清IgM値上昇などがある。
画像検査
CT、MRI、超音波検査などで腎の形態をみる。

治療

経口抗菌薬
ニューキノロン系、セフェム系などを用いる。
急性単純性腎盂腎炎の治療
軽症:自宅安静とし、経口抗菌薬の投与、水分補給を行う。
重症:腎盂腎炎が悪化すると、細菌が血中に侵入して敗血症を起こし、播種性血管内凝固症候群(DIC)や多臓器不全を合併することがある。高熱、CRP亢進などがみられる場合は、入院して注射用抗菌薬の投与、水分補給を行う。
慢性複雑性腎盂腎炎の治療
抗菌薬の投与とともに、基礎疾患の治療を行う。

看護のポイント

問診で、過去に腎盂腎炎を患ったかどうかを確認する。
悪化すると生命に危険が及ぶ。外来治療中に症状が悪化した場合は、ただちに来院するよう患者に伝える。
自己判断で抗菌薬の服用を中止しないよう指導する。特に再発の可能性がある場合は、長期間の投薬が必要となる。

前立腺炎

どんな疾患・病態?

  • 前立腺炎は、前立腺の炎症性疾患の総称である。
  • 1995年より、米国・National Institutes of Health(NIH)による分類を用いて診断・治療が行われている。

急性前立腺炎

原因
細菌が尿道から前立腺管腔に逆流して炎症を引き起こす。
尿道カテーテル、膀胱鏡などが誘因となる場合もある。
症状
悪寒やふるえを伴う高熱、頻尿、排尿痛、排尿困難、全身倦怠感など。
検査・診断
膿尿、細菌尿、白血球増加、CRP亢進などを認める。
直腸診で前立腺の腫脹、圧痛を認めるが、強い触診は禁忌である。
治療
高熱を伴う場合は、入院して注射用セフェム系抗菌薬の投与、水分補給を行う。炎症反応の改善を確認後、経口ニューキノロン系に変更する。

慢性前立腺炎

原因
急性前立腺炎が慢性化した場合と、最初から慢性の経過をたどる場合がある。
慢性細菌性前立腺炎と慢性骨盤痛症候群(炎症性、非炎症性)に分類される。
症状
会陰部、陰茎、尿道などの疼痛や不快感、頻尿、排尿時不快感などがある。
検査・診断
前立腺マッサージ後の前立腺圧出液および尿中における白血球、細菌の有無を調べる。
慢性細菌性前立腺炎:白血球、細菌とも陽性。
慢性骨盤痛症候群(炎症性):白血球のみ陽性。
慢性骨盤痛症候群(非炎症性):白血球、細菌とも陰性。
治療
抗菌薬のニューキノロン系、ST合剤を経口投与する。
定期的な前立腺マッサージを行う場合もある。

看護のポイント

急性前立腺炎は、悪化すると敗血症からショック状態に陥ることもあるため、すみやかな治療が求められる。

精巣上体炎

どんな疾患・病態?

  • 精巣上体がクラミジアや種々の細菌によって起こす炎症を、精巣上体炎という。
  • 前立腺炎、尿道炎などが誘因となる場合がある。
  • 慢性化すると、精子が精巣上体部を通過できなくなり、不妊症の原因となる。

症状

  • 陰嚢部がヒダが見えないほど腫脹する。
  • 歩行時の疼痛、圧痛があり、高熱をきたす。
  • 著しく悪化すると炎症が精巣にまで及ぶ。

検査・診断

  • 細菌尿、白血球増加、CRP亢進などを認める。

治療

  • 抗菌薬、鎮痛薬を投与する。
  • 安静にして、陰嚢をアイスパックで冷やす(冷罨法)。
精巣捻転

精巣捻転とは、精巣が回転精索がねじれることによって、血流障害を起こしている状態をいう。乳児期~思春期に多くみられる。精巣上体炎と症状が似ているため、鑑別が重要である。