第4章 手術療法とその他の治療法 その他の手術・治療 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

看護師求人TOP > ナースフル疾患別シリーズ > 整形外科 >第4章 手術療法とその他の治療法 その他の手術・治療

第4章手術療法とその他の治療法
その他の手術・治療

疾患別の保存療法や手術療法について、種類や特徴などを図によって具体的に解説しています。

切断術

手術の適応

  • 近年は患者のQOLなどを考慮し、悪性骨軟部腫瘍に対しては、患肢を温存する術式が選択される傾向がある。しかし、閉塞性動脈硬化症や糖尿病などの増加に伴って、高齢者の下肢切断術が増えている。

手術方法

  • 悪性骨軟部腫瘍、治療の困難な広範囲の外傷、慢性骨髄炎など難治性感染症、末梢血行障害による壊死、先天性の奇形・変形などで、ほかに治療手段がないケースが適応となる。
●切断手技の種類と特徴●
大腿切断術
上腕切断術
●切断後の合併症●

看護のポイント

術前
■医師をフォローして、わかりやすい言葉で患者に手術の必要性を説明し、患者の不安を軽減させる。
■筋力強化や車椅子、松葉杖の訓練などを行う。
術後
■断端浮腫や血腫を予防するために、弾性包帯で固定する。
■疼痛の管理、感染予防を行う。
■患者が障害を受け入れられるように、根気よくコミュニケーションをはかる。
■リハビリテーションや義肢について説明する。
■切断してなくなっているにもかかわらず、その部位が痛む幻肢痛について説明し、その疼痛管理を行う。
■術後は拘縮を予防するために、早期にリハビリテーションを開始する。
■全身の筋力、断端の筋力強化のためのリハビリ、ADLの訓練や、義肢装着による歩行訓練を行う。
退院後に向けた指導
■社会復帰、復職への助言を行い、断端、義肢の清潔保持について指導する。
■身体障害者手帳申請手続きなど、社会資源活用について説明する。

感染症の手術

治療のポイント

  • 適応となる代表的な疾患に、化膿性骨髄炎と化膿性関節炎がある。
  • 化膿性骨髄炎は細菌や真菌類の胞子が、開放骨折時などに直接骨に侵入したり、血行性に他病巣から骨髄に感染するもので、もっとも多い原因菌は黄色ブドウ球菌である。成人、とくに高齢者では、脊椎の椎骨に発症する化膿性脊椎炎がよくみられる。
  • 関節内に黄色ブドウ球菌などが侵入して起こる化膿性関節炎は、膝や肘・肩・股関節などに多くみられる傾向がある。化膿性股関節炎は新生児や乳幼児に多く発症するが、深い部分にある関節のため、あまり症状があらわれないまま、進行してしまうこともある。
  • 抗菌剤の投与や高圧酸素療法で改善がみられない場合は、手術の適応となる。

治療方法

  • 病巣の掻爬壊死骨の切除腐骨の摘出後に、洗浄を行う。軽症であれば、注射針やチューブを挿入して膿だけを吸引する方法がとられるが、広範囲に及ぶ場合は、切開して膿や炎症で壊死した組織を取り除く。
  • 1回の洗浄では不十分な場合は、洗浄用と排液用の管を一定期間つないで、持続的に洗浄する持続洗浄療法が行われる。
持続洗浄療法
病巣の膿や周辺部の壊死組織を取り除いてから、患部と体外をチューブでつなぎ、一方から患部に生理食塩水(抗生物質を入れることもある)を注入し、他方から排液を吸引して、7~14日間連続で洗浄する。
川嶌式局所持続洗浄チューブ(挿入部分が二重管になっている)を使用すると、洗浄中の回路閉塞予防に効果的である。
川嶌式局所持続洗浄チューブ

看護のポイント

■洗浄溶液の注入量と排液量のバランスをチェックし、回路の閉塞や創からの液漏れに注意する。
■持続洗浄中は、ベッド上での安静が必要となる。疼痛や活動量の低下による食事量の減少、不眠傾向に注意する。チューブに緊張がかからない状態であれば、できる限り自分で日常のことを行うように指導する。
■掻爬が広範囲に及ぶと、出血量も多くなり、貧血を起こしやすくなる。出血性ショックのおそれもあるため、手術直後のバイタルサインのチェックは頻繁に行う。
院内感染を防ぐには?

医療機関においてMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や多剤耐性緑膿筋などの院内感染対策は、いまや避けて通れない重要な業務となっている。
とくに、免疫抑制剤使用患者、術後患者、移植、人工臓器術後患者、血管内カテーテル使用患者、重症複合外傷症例、重症熱傷症例、未熟児、高齢者などは、全身の免疫機能が著しく低下しているために、ひとたび感染すると、重篤な深部感染へと発展する。このような感染が発生したら、ただちに院内感染の拡大を未然に防ぐ手段をとらなければならない。そのポイントは、感染源の探索と排除、伝播経路の遮断にある。
医療従事者は、以下の医療行為の前後には、手洗い、消毒、ディスポーザブルの手袋やガウンの使用などを徹底して行う必要がある。
①患者との長時間にわたる接触
②感染している患者との接触
③免疫機能が著しく低下している患者との接触
④細菌汚染の可能性のある体内処置カテーテル、蓄尿バッグの操作
⑤感染の有無にかかわらず、創傷の処置
⑥患者の粘膜、血液、体液、分泌物、尿・糞便などの排泄物との接触