第4章 手術療法とその他の治療法 骨折の治療法 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

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鎖骨骨折

治療のポイント

  • 中央3分の1の骨折が全体の8割ほどを占める。
  • 骨癒合が良好なため、保存療法が治療の中心となるが、転位の大きい骨折や外側端部の骨折、開放骨折などでは手術が適応となる。
鎖骨骨折

保存療法

  • 鎖骨バンド八の字包帯による固定を行う。
鎖骨バンド・八の字包帯

手術療法

  • 手術が適応となるのは、鎖骨外側端骨折および開放骨折、骨折部の転位が大きいもの、第3骨片が鋭く皮膚を圧迫しているもの、神経や血管の損傷を伴うものなどである。
  • 中央3分の1の骨折では、比較的転位の大きい場合や、第3骨片を伴う場合でも、治療後の骨癒合は良好である。
鋼線締結法(こうせんていけつほう)(テンションバンド固定法)
キルシュナー鋼線を骨折線に垂直になるように貫通させ、さらにソフトワイヤーで引き寄せて締結固定する術式で、鎖骨外側端骨折に適応となる。
鋼線締結法
髄内釘(ずいないてい)固定法
直径2.5㎜程度のキルシュナー鋼線を、骨折部に貫通させて固定させる術式。鎖骨骨幹部に対して小切開で直視下に整復して行うが、閉鎖的に実施されることもある。
髄内釘固定法
プレート固定法
AO*の3分の1円プレートなどの各種鎖骨用プレートとスクリューを用いて骨折部を固定する術式。最近では、鎖骨外側端骨折に適応となるフック付プレートなども使用されている。
プレート固定法
フック付プレート
*AO:骨折を固定する際に用いるプレートの一種

看護のポイント

■鎖骨バンドなどで固定する際に、腋窩神経や血管を過度に圧迫すると、それが上肢の腫れや知覚・運動麻痺を引き起こすことがあるので、腋窩部にパッドを入れるなどして、十分に注意する。
■術後は患肢の手指や手関節の動きを観察し、神経障害が起こっていないかチェックする。また、循環障害については、患肢の皮膚の色や冷感、末梢動脈の拍動を経時的に確認する。
■術後は三角巾などの外固定を行うことが多いが、固定法は各症例によって異なるため、主治医に固定期間と運動制限を確認しておく。
■患部の固定により、肘や手の運動量が減ると廃用性筋萎縮や拘縮を招くおそれがある。患部に直接影響のないこれらの部位は、早期から運動を行うように指導する。

上腕骨近位端骨折

治療のポイント

  • 肘や手をついて転倒した際に上腕に加わる介達力(間接的な力)が原因の場合が多く、肩関節の脱臼を合併することもある。
  • 骨折の形態については2パート骨折・3パート骨折・4パート骨折という3つのタイプと、脱臼の有無による簡易分類を認識しておくとよい。
  • 転位がないか軽度の場合、容易に徒手整復できた場合は、保存療法を行う。転位が大きい場合は手術の適応となる。
上腕骨近位端骨折の簡易分類

保存療法

  • 固定方法には、ストッキネット・ベルポー固定三角巾にバストバンド固定を併用する方法などがある。
  • 一般に骨癒合は良好だが、肩関節の拘縮を生じやすい点が問題である。これを防ぐために、完全な固定期間は3~4週間以内にとどめ、三角巾を使用しての振子運動など、できるだけ早期に運動療法を開始する。

手術療法

  • 全身麻酔下に徒手整復を行い、経皮的ピンニングRush pin固定髄内釘を応用したオールインワン固定などを行う。徒手整復が困難な場合や、比較的若年者でより強固な固定を必要とし、より早期に運動を行いたい場合には、観血的整復術プレート固定横止め髄内釘固定を行うこともある。
  • 4パート骨折で転位がある場合は回旋動脈の血行が障害され、骨頭壊死を生じることがあり、人工骨頭置換術の適応になることもある。
上腕骨近位端骨折の手術方法

上腕骨骨幹部骨折

治療のポイント

  • 上腕骨骨幹部外側には橈骨神経が走行しており、骨折時には損傷しやすい。
  • 通常の閉鎖骨折であれば、適切な整復や固定によって、3~6か月で骨癒合が得られる場合が多い。神経や血管の損傷などがある場合は、手術の適応となる。
上腕骨骨幹部骨折

保存療法

  • 筋肉に囲まれた血行がよい部位で、保存療法による骨癒合を得やすい。U-slab法ハンギングキャスト法ファンクショナル・ブレース法がある。
U-slab法
ハンギングキャスト法
ファンクショナル・ブレース法

手術療法

  • 神経や血管損傷を伴うもの、粉砕骨折二重骨折などの不安定な骨折、高齢者で保存療法が困難な場合などは手術を行う。最近は早期の職場復帰を考慮して、髄内釘固定が行われる場合が増えている。
エンダー法
3.0~3.5㎜径のエンダー釘を通常は2~3本刺入し、固定する。骨折が中央より近位の場合は両顆から、中央のみの場合は肘頭窩上から、中央より遠位の場合は大結節部から刺入する。術後は三角巾等で外固定して仮骨形成を待つ。
横止め髄内釘(ずいないてい)固定法
上腕骨大結節のやや内側から髄内釘を挿入し、上腕骨近位および遠位にて横止めスクリューで固定する。第3骨片を伴う骨折や病的骨折にも適応となるが、プレート固定よりも腱板損傷や肩インピンジメント症候群の合併頻度が高い。
プレート固定法
骨折部を中心にプレートで固定する。橈骨神経が骨折部に介在する可能性があるときに選択されることもあるが、骨折部を展開するので、骨癒合上不利である。神経の断裂があれば、縫合などを同時に行う。プレート除去時には、癒着によって神経の同定が困難になるため、注意が必要である。
観血的骨接合術

看護のポイント

■橈骨神経が損傷すると、術後も手首や手指の運動に支障をきたす。術前から、手関節が背屈するか、母指の伸展が可能かどうか確認する。
■患肢の浮腫を予防するため、術直後から手指の運動を行う。橈骨神経が損傷するを合併している場合も、関節の拘縮を予防するため、他動運動を行う。

上腕骨顆上骨折

治療のポイント

  • 小児に多く、転倒時に肘関節を伸展した状態で肘周辺に受傷するケースが多いが、肘を曲げた状態で受傷するケースもまれにある。
  • 転位が大きい場合は、正中・尺骨・橈骨神経麻痺や、上腕動脈の循環障害に注意が必要である。
  • 保存療法が原則だが、骨折部の不安定性が強い場合は手術が適応となる。
上腕骨顆上骨折

保存療法

  • 全身麻酔下でX線透視装置を使用して整復し、ギプスまたはシーネで固定する。うまく整復できない場合は整復操作をくり返さず、牽引療法に切り替えたほうがよい。牽引療法には、垂直牽引法と、尺骨にスクリューを挿入して牽引する直達牽引法がある。

手術療法

  • 全身麻酔下でX線透視装置を用いて行う。
経皮的鋼線(けいひてきこうせん)固定術
徒手整復後に、外顆または両顆より2本のキルシュナー鋼線を通して固定する。通常は、ギプスシーネなどの外固定を追加する。
観血的整復固定術
神経・血管損傷を伴う場合は骨折部を展開し、動脈や神経の処置後、キルシュナー鋼線で固定することにより、フォルクマン拘縮を予防する。
垂直牽引法
経皮的鋼線固定術

看護のポイント

■上腕骨顆上骨折で激烈な疼痛を訴える場合は、血行障害によるフォルクマン拘縮の発症が疑われるので、ただちに医師に報告する。
■小児の場合は、術後の他動運動は異所性骨化を起こす可能性があるので、禁忌とする。

橈骨遠位端骨折

治療のポイント

  • 転んで手のひらをついた際に生じるものが多い。
  • 骨折の形態によって、コレス骨折・スミス骨折・バートン骨折などに分けられる。コレス骨折では、正中神経領域にしびれや知覚の鈍麻を認める場合がある。
  • 骨折の形態によっては手術が適応になる。
橈骨遠位端骨折の種類

手術療法

  • 安定型の場合は保存療法が適応となる。ただし、ギプス固定による整復位保持が困難な不安定型や、ギプス内再転位をきたした場合、転位の大きい関節内骨折は手術の適応となる。
経皮的鋼線固定術
直径1.6㎜程度のキルシュナー鋼線を、橈骨茎状突起部から2~3本刺入し、固定する。術後は、上腕または前腕からギプス固定を行う。
経皮的鋼線固定術
創外固定法
関節内粉砕骨折に対して行うことが多い。骨折部近位と第2中手骨にピンを刺入し、骨折部の短縮や再転位を防ぐ。固定期間は5~8週間で、期間が長くなると関節拘縮が問題となる。ピン刺入による感染やピンのゆるみにも注意する。
観血的(かんけつてき)整復固定術
関節内粉砕骨折関節面の転位を伴う場合、整復後でも関節面の段差が2㎜以上あるものに適応となる。橈骨遠位端用のプレートを用い、骨折部を展開して整復固定する。
観血的整復固定術

看護のポイント

■創外固定中の患者に対しては、退院後も定期的なピン刺入部の観察を行う。
■ギプス固定中は、固定されていない関節および手指の運動を行う。
RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)を生じることがあるので、異常な疼痛が2週間以上持続する場合は注意する。

橈尺骨骨幹部骨折

治療のポイント

  • 転倒などで手をついた場合や、外力によって打撲した場合に、橈骨と尺骨を同時に骨折する。
  • 前腕中央部に疼痛や腫脹、変形が現れる。肘や手の関節に異常がないか、必ず確認する。
  • 徒手整復ができない場合は、観血的整復固定術を行う。
橈尺骨骨幹部骨折

手術療法

  • 固定には髄内釘プレートを使用するが、それぞれにメリットとデメリットがある。
  • 固定期間が短すぎたり、不適切な整復固定が行われると、偽関節となる場合もあるので、注意が必要である。
髄内釘(ずいないてい)固定法
侵襲は少ないが、回旋に対しては固定力が弱くなる。
プレート固定法
回旋に対して強固な固定が得られるが、侵襲が大きく、正確な整復が求められる。
髄内釘固定法
プレート固定法

看護のポイント

■ギプス固定は合併症が起こったり、掻痒感や、日常生活の制限などがある。患者の苦痛を理解して、ケアを行う。掻痒感がひどい場合は、ギプスの上から軽くたたいたり、氷枕などで冷やして、かゆみを緩和する。また、ギプス交換時に皮膚のケアを行う。

尺骨骨折

治療のポイント

  • 転位がない肘頭骨折の場合は4~5週間のシーネ固定でよいが、転位がある場合は引き寄せ鋼線締結法の適応となる。 肘頭骨折以外は、橈骨骨折を合併することが多い。橈骨頭の脱臼を伴うものを、モンテジア骨折と呼ぶ。 モンテジア骨折で転位がある場合は、手術が適応になることが多い。
肘頭骨折

肘頭骨折の手術方法

  • 肘頭骨折は関節内骨折なので、正確な整復が求められる。キルシュナー鋼線とソフトワイヤーで引き寄せ鋼線締結法による固定を行うことにより、外固定を必要とせず、早期の自動運動が可能となる。

モンテジア骨折の手術方法

  • 転位を認める不安定な骨折で、徒手整復が不可能な場合や、整復位の維持が困難な場合は、手術になることが多い。Ⅳ型を除くと徒手整復が可能な症例が多いが、整復が不良の場合は手術の適応となる。固定法は橈尺骨骨幹部骨折に準ずる。
モンテジア骨折の分類

看護のポイント

■尺骨神経領域のしびれや知覚障害、小指の伸展・内転制限の有無を確認する。モンテジア骨折では、母指背側(橈骨神経領域)にしびれや知覚鈍麻、母指の外転・伸展不全を生じることもある。
■髄内釘固定の際は、術後3週間は前腕の回内・回外訓練を控える。

大腿骨頚部骨折

治療のポイント

  • 大部分は歩行中の転倒によって生じる。
  • 65歳以降で、骨粗鬆症を発症している女性に多い。骨折の自覚がなくても、股関節周辺の痛みと歩行困難を訴えることもある。
  • 転位の程度によって4つに分類されている(Garden分類)。骨癒合後に大腿骨頭壊死の可能性がある。
  • 保存療法の成績が芳しくないことから、原則として早期の手術療法が第一選択となる。
大腿骨頚部骨折のGarden分類

手術療法

  • 症例に応じた手術を行い、早期離床、起立・歩行を促す。
観血的(かんけつてき)骨接合術
一般に転位が少ない場合には、スクリュー固定ハンソンピン固定による内固定術が行われる。
人工骨頭(こっとう)置換術
大腿部に人工骨を埋め込む術式で、モノポーラー型バイポーラー型がある。通常は、骨折部の転位が認められる症例に用いられるが、転位がみられない場合でも、患者の全身状態や認知症の程度によっては行われることがある。
観血的骨接合術
人工骨頭置換術

看護のポイント

■高齢者の手術では、糖尿病や心疾患、肺疾患、片麻痺などの合併症が多いため、術前の精査が必要となる。
■抗凝固薬などを用いている場合は、手術中の出血を最小限にとどめるために、その服用を中止することが望ましい。
■術前に新たな合併症が出現する場合もあるので、十分に注意する。

大腿骨転子部骨折

治療のポイント

  • 大腿骨頚部骨折と同様に、骨粗鬆症の女性が転倒した場合に多くみられる。頚部骨折(内側骨折)に比べて骨折部の癒合成績がよいが、大量出血の症例が多く、輸血が必要な場合もある。
  • Jensen分類では、骨折型によって5つに分けられている。
  • 早期離床をめざし、手術療法を選択することが多い。
Jensen分類に基づく大腿骨転子部骨折の分類

手術療法

  • 以下のような内固定術を行う。
ネイルプレート法(CHS : compression hip screw)
骨頭にラグスクリュー*1を挿入してプレートを当て、大腿骨骨幹部に固定する。
ガンマ型髄内釘法(ずいないていほう)
骨折部の固定に優れており、Ⅲ・Ⅳ・Ⅴの不安定型に対して検討される。骨折部を整復し、大転子頂部からリーミング*2後にネイルを挿入して、ラグスクリューで固定する。現在はさまざまなタイプの製品が使用されている。
エンダー法(エンダー釘)
大腿骨顆上部内側から、エンダー釘3本を骨頭内で分散するように打ち込む。
大腿骨転子部骨折の内固定術
*1ラグスクリュー:大腿骨転子部などの骨折を固定するために骨頭内へ挿入するスクリュー(ネジ)で、プレートとずれる構造になっている
*2リーミング:ドリルであけた穴を、より大きな穴にけずって加工すること

大腿骨骨幹部骨折

治療のポイント

  • オートバイ事故などの強い外力によって引き起こされる症例が多い。骨折による大量出血が特徴で、平均で500~1000mlである。 小児の場合は原則として保存療法を行うが、成人の骨折は不安定なことが多く、通常は手術が適応となる。
大腿骨骨幹部骨折

手術療法

  • 以下のような内固定術を行う。
閉鎖性髄内釘(ずいないてい)固定法
髄内釘は、骨折部は展開せず、原則として大転子部から挿入するが、遠位部から挿入するタイプもある。横骨折に最適だが、斜骨折らせん骨折、細かい骨片の認められる場合でも応用でき、横止めスクリューを併用する術式が主流である。
閉鎖性髄内釘固定法
エンダー法
エンダー法(エンダー釘)について詳しくはこちらを参照。

大腿骨顆部骨折

治療のポイント

  • 転落や転倒、交通事故による大腿骨遠位部骨折で、膝関節に及ぶ場合が多い。骨折線の走り方によって、顆上骨折・外顆骨折・内顆骨折などに分けられる。
  • 転位のある症例は、ほぼすべて手術が適応となる。
大腿骨顆部骨折の名称

手術療法

  • ネイルプレートバットプレートロッキングプレートなど、専用のプレートを使用して固定する。
プレート固定法

膝蓋骨骨折

治療のポイント

  • スポーツ競技中や転倒などによって発生しやすい。膝蓋骨を直接打撲すると粉砕骨折になりやすいが、急に膝を曲げて大腿四頭筋に引っ張られ、横骨折になることもある。
  • 転位がなく、内外側膝蓋支帯が温存されている場合は、ギプスなどで3~4週間固定し、骨癒合を待つ。転位がある場合や骨片が離開している場合は、手術の適応となる。
膝蓋骨骨折のX線画像

手術療法

  • ソフトワイヤーやキルシュナー鋼線による整復・固定を行う。
経皮的鋼線(けいひてきこうせん)固定術
膝蓋骨をワイヤーで締結する方法。転位の少ない横骨折にもっともよい適応がある。ワイヤーを大腿直筋、膝蓋腱、膝蓋骨上の皮下を通して挿入し、外側で締結する。縦骨折や第3骨片を伴う場合は、経皮的スクリュー固定を追加する。
引き寄せ鋼線締結法(テンションバンド固定法)
主に、転位が大きい場合や粉砕骨折の場合に適応となる。小さな骨片を摘出し、主骨片をキルシュナー鋼線などで整復後に、ソフトワイヤーで引き寄せ、固定する。多くの場合、早期からの機能訓練を開始できる利点がある。
観血的骨接合術

看護のポイント

■膝関節腫脹が認められる場合は、アイシングや高挙などを行う。
■ギプスシーネやニーブレースなどでの圧迫による、腓骨神経麻痺に注意する。腓骨頭周囲にパッドを置いて予防する。
■手術後は、できるだけ早期からROM訓練部分荷重歩行訓練を行うが、開始時期は主治医の指示にしたがう。

脛骨高原骨折(脛骨プラトー骨折)

治療のポイント

  • 転落などで膝に強い外力が加わって起こる骨折の1つで、膝関節の関節面が陥没する。通常は膝の外側に生じる。
  • 半月板損傷の合併に注意が必要である。陥没が4~5㎜以上の場合は、手術の適応となる。
  • 整復が不十分な場合は、二次的な変形性関節症を引き起こす。
  • 固定期間が長いと拘縮が生じやすい。
脛骨高原骨折

手術療法

  • 専用のプレートスクリューを使用して内固定を行う。脆弱な陥没部に人工骨を補填することもある。
  • 可能な限り早期に運動療法を開始するが、再転位しやすく、荷重に対する配慮が重要である。通常は、部分荷重から歩行訓練を開始する。
脛骨高原骨折の内固定

脛骨骨幹部骨折

治療のポイント

  • 交通事故などによる強い外力で発生することが多く、四肢の長管骨骨幹部骨折の中でもっとも発生頻度が高い。
  • 下腿には皮下組織が少ないため、開放骨折になりやすい。また、骨折部への血流が不十分になりやすく、感染などの合併症を起こしやすい。
  • 末梢神経損傷や血管損傷、脂肪塞栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓、コンパートメント症候群の発症にも注意が必要である。
  • 開放骨折をはじめとして、整復位の保持が困難な場合は、手術が適応になる。
脛骨骨幹部骨折

保存療法

  • 転位が小さく、安定した骨折には、ギプス固定PTB(Patellar Tendon Bearing)免荷装具による治療が可能である。

手術療法

  • 開放骨折の場合は、感染防止のために、早急に創を展開し、皮膚、皮下組織、筋肉を観察し、洗浄デブリードマン を行うことが望ましい。また、骨格構造を著しく損なうおそれのない範囲で遊離骨片を切除し、固定を行う。
閉鎖性髄内釘固定法
キュンチャー原法は、整復後に脛骨結節直上からリーミングを行い、髄内釘を挿入する方法である。
横止め髄内釘固定法は、粉砕骨折骨欠損髄腔拡大部の骨折を伴い、脚の短縮や回旋の危険が予測される症例に、適応となる。仮骨形成が不良の場合は、近位・遠位いずれかの横止めスクリューを抜去し、ダイナミゼーション(骨折部に圧迫力を加える)をかけることがある。
エンダー法は、2~3本のエンダー釘を打ち込んで固定する方法で、最近はあまり頻用されていない。
閉鎖性髄内釘固定法
プレート固定法
骨折部を展開するので術創が大きくなり、骨癒合上不利である。脛骨骨幹部~近位端、遠位端骨折で、関節周辺にまで骨折が及ぶ症例で用いることがある。
創外固定法
開放骨折で汚染が高度な場合や、骨・軟部組織欠損を伴う症例に適応となる。
プレート固定法と創外固定法

看護のポイント

■手術で十分な固定が得られれば、早期から膝・足関節の運動や、大腿四頭筋を強化する訓練を開始する。
■PTB免荷装具は、保存療法や固定が不十分な場合に使用される。膝蓋腱部で体重を支える構造になっている。
PTB免荷装具

足関節骨折

治療のポイント

  • スポーツや歩行中の転倒などで、足関節が捻転することによって起こる。
  • 内果・外果・後果の骨折や靭帯損傷などが複雑に組み合わさった病態になる。
  • 開放骨折や転位のある関節内骨折、および脱臼骨折で整復位保持が不可能な場合に、手術が適応となる。
足関節骨折

手術療法

  • 部位や骨折の型によって手技や固定する材料に違いはあるが、通常はスクリューテンションバンドプレートのいずれかが使われる。両果骨折三果骨折では、外果→後果→内果の順に固定を行うのが通例である。
スクリュー固定法
外果短斜骨折下端横骨折裂離骨折後果骨折内果骨折などに、よい適応がある。
テンションバンド固定法(引き寄せ鋼線締結法(こうせんていけつほう))
外果の横骨折内果骨折によい適応がある。靭帯損傷がなければ、早期からの関節可動域訓練が可能である。
プレート固定法
外果骨折で行われ、固定性にすぐれている。
足関節周辺骨折の骨接合術

看護のポイント

■患肢の腫脹に伴う循環障害や、水疱の形成に注意する。術後は、ギプスやシーネなどの外固定を追加することが多いので、固定による循環障害にも気をつける。
■関節拘縮を起こしやすいので、早期からの可動域訓練を行う。ギプス固定を行った場合、踵に褥瘡ができやすいので注意する。

踵骨骨折

治療のポイント

  • 高いところからの転落など、大きな直達外力によって発生する。全体重がかかる部位のため、変形が残存すると、骨癒合後も疼痛が残る場合が多い。
  • 脊柱の圧迫骨折や、上肢・下肢など他部位の骨折を合併することもしばしばある。
  • 多くの場合、保存療法でよい結果が得られるが、距踵関節面にいたる転位の大きな骨折や、アキレス腱付着部での裂離骨折、開放骨折の場合は、手術の適応となる。
踵骨骨折

手術療法

  • いずれの方法で整復・固定を行った場合でも、通常はギプスによる外固定を追加する。
麻酔下徒手(ますいかとしゅ)整復法(大本法(おおもとほう)
手で牽引を加えながら、速い内外反をくり返して整復する方法。患者を腹臥位とし、助手が患肢を押さえ、術者が両手掌で踵を包みこむように両手指を組む。受傷早期のものに対しては、有効である。
経皮的鋼線(けいひてきこうせん)固定術
さまざまな方法があるが、基本的には徒手整復後に鋼線を刺入し、関節内骨折の整復位を保持する。早期からの足関節可動域訓練が可能である。
観血的(かんけつてき)整復固定術
専用のプレートなどで、転位した距踵関節の整復位を保持、固定する。
経皮的鋼線固定術

看護のポイント

■術前・術後ともに、可能な限り足指の運動を促すと、腫脹軽減や骨萎縮の予防に有効である。
■患部とギプスが近接しているため、その部分の皮膚が汚れやすく、白癬にもかかりやすい。患部清拭の援助を行い、患者が自身でできるように指導する。