第4章 手術療法とその他の治療法 整形外科の保存療法 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

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第4章手術療法とその他の治療法
整形外科の保存療法

疾患別の保存療法や手術療法について、種類や特徴などを図によって具体的に解説しています。

整形外科の保存療法

保存療法の基礎知識

  • 整形外科の治療法は、保存療法と手術療法に大きく分けられる。
  • 外科的手術を必要としない場合の保存療法には、物理療法、運動療法、ギプス固定、装具療法、包帯法、薬物療法、注射、神経ブロックなどがある。疾患や症状に応じて、適切な方法が選択される。

物理療法

  • 電気温熱電磁波超音波などを使用する治療法である。運動療法と合わせて理学療法と呼ばれることもある。鎮痛や局部組織の循環改善のために行われる。
電気療法
低周波の電流を患部に流し、電気刺激を与えるもの。主に鎮痛を目的とする。
温熱療法
血液循環の改善鎮痛筋肉緊張の緩和などを目的として、赤外線や超音波、マイクロ波、低出力レーザー、ホットパック、渦流浴、温水プールなどを利用する。
寒冷療法
氷や低温ガスで寒冷刺激を患部に与えることで、急性期の炎症を抑えたり、痛みを緩和させたりする。
牽引(けんいん)療法
牽引装置を用いて、頚部や腰椎に牽引力を作用させる。長時間連続して行う持続牽引と、断続的に行う断続牽引がある。変形性頚椎症変形性腰椎症腰椎椎間板ヘルニアなどで行う。

運動療法

  • 運動を通じて、運動障害姿勢体力の改善をはかり、患者のADLおよびQOLの向上をめざす。主なものは、以下の3つである。そのほかに、体全体の協調運動障害を改善する運動の協調性改善訓練や、日常生活動作を習得するための日常生活活動訓練、特定の疾患の治療や予防を目的とするさまざまなプログラムがある。
関節可動域の維持・改善
関節を動かして、関節拘縮を予防し、すでに拘縮を生じている関節可動域を維持・拡大させる。
筋力増強訓練
低下した筋力を維持・改善させる。
持久力訓練
筋肉の持久力および心肺機能を向上させ、全身の持久力を改善させる。

薬物療法

  • 疼痛緩和のための消炎鎮痛剤をはじめとして、関節リウマチ骨粗鬆症痛風などに対して、さまざまな薬が投与される。投与方法には、内服や外用、注射などがある。看護師は、薬物療法の目的や副作用などについて、正しい知識を得ておく必要がある。

ギプス固定・シーネ(副子)固定

  • 骨折脱臼手術後の患部安静のために、ギプスは簡便・確実で、安定した固定を得ることができ、長期間使用するのに適している。最近は石膏ギプスよりも軽く、簡便で汚れにくい**プラスチックギプスが利用されるようになった。
  • シーネ(副子)は、ギプスに比べて固定力が劣る。患部の腫脹が強い急性期の安静保持や、回復期の着脱可能な固定具など、比較的短期間の固定に使用される。
ギプスとシーネ
●ギプス固定の主な合併症●

看護のポイント

■ギプス固定には、多くの合併症を引き起こす危険がある。それらを常に意識して、看護にあたる必要がある。

装具療法

  • 装具を使用して、局所の固定・安静、変形の予防や矯正、機能の補助などをはかる。上肢装具・下肢*装具・体幹装具などの種類があり、それぞれの目的に合わせて使用する。
コルセット
腰痛椎間板ヘルニア腰椎分離すべり症脊椎骨折などの治療、腰椎手術後の固定を目的として使用され、硬性と軟性がある。軟性コルセットは、脊椎の負担軽減が主な目的である。それに対して、硬性コルセットは、脊椎骨折などでさらに強固な固定が必要なときに使用する。
フィラデルフィアカラー
頚椎損傷などの際に、頚椎の固定と負担軽減のために用いる。
ネックカラー
頚椎の負担を軽減するために用いるが、フィラデルフィアカラーよりも固定性に劣るため、より軽症のケースで使用する。
ニーブレース
膝の安静を保つための装具で、膝関節の外傷や手術後などに使用する。
歩行補助具
歩行のための体重支持歩行の補助疼痛の緩和などの目的で使用され、歩行器松葉杖ロフストランド杖T字杖などがある。杖を選ぶ際は、身体に負担がかからず、正しい姿勢が保てるように、長さの調節が大切である。
装具

包帯法

  • 軽い捻挫打撲肉離れなどの初期治療に使用される。整形外科における包帯法は、捻挫・脱臼・骨折・手術部位などの局所を固定し、運動を制限して安静を保つ、薬剤やガーゼなどのずれを防ぐ、受傷部位の腫脹や出血を防ぐ、などを目的とする。
  • 包帯にはいろいろな種類があるため、どんな部位にどんな包帯が適しているかを知り、巻き方などを学習しておく。
包帯法

注射

  • 疼痛緩和抗炎症などを目的とし、次のような種類がある。
関節内注射
膝や肩、肘などの関節痛に対して、局所麻酔薬副腎皮質ステロイド剤ヒアルロン酸製剤などを注入し、痛みの緩和をはかる。
腱鞘内(けんしょうない)注射
腱鞘炎の抗炎症を目的として、腱鞘内やその周囲へ、局所麻酔薬副腎皮質ステロイド剤を混合して注入する。
神経ブロック
疼痛の原因となっている神経に局所麻酔薬を注入して、除痛をはかる治療法である。薬物療法や物理療法などで効果がない場合に検討される。主なものは表に示すとおりである。
●主な神経ブロックの種類●