第3章 代表的な臨床検査法 脱臼 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

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第3章代表的な臨床検査法
脱臼

整形外科領域の疾患と合併症について、病態のポイントや症状、診断、治療方法などを解説しています。

脱臼の基礎知識

脱臼の基礎知識

  • 主に外力によって関節の正常可動域を超えた動きが強制され、関節がはずれて正常な位置に戻らなくなった状態である。関節部の骨折の有無に注意が必要である。
  • 徒手整復と固定による保存療法が基本だが、反復する場合や周辺に合併損傷がある場合は手術が適応となる。
肩関節(かたかんせつ)脱臼
肘関節(ひじかんせつ)脱臼

肩関節脱臼

病態

  • 上腕骨が肩甲骨の関節窩からはずれた状態。上腕骨が肩甲骨に対して前方へ脱臼するものを前方脱臼、後方へ脱臼するものを後方脱臼という。
  • 外傷性脱臼では手指関節脱臼とともに多く、そのほとんどが前方脱臼である。
症状・診断
疼痛が持続し、変形がみられる。運動障害が起こる。 触診で診断できるが、確定診断には2方向からのX線撮影が行われる。

治療方法

  • 徒手整復によって、骨をもとの位置に戻す。
  • 無麻酔の整復法としてヒポクラテス法挙上位整復法、Stimson法があり、整復後、3週間程度の固定が必要である。
  • 骨折を伴う脱臼では、麻酔下に整復したほうが安全である。
  • 反復する場合は、関節包の損傷、関節唇前部の損傷などが考えられ、手術の適応となる。内視鏡下での手術もある。

看護のポイント

■反復性にならないように、3週間の固定の必要性を説明し、勝手にはずさないように指導する。
■固定解除後、自動運動*を始める。
  • ※自動運動:患者が動かせる範囲内で関節を動かすこと

肘関節脱臼

病態

  • 転倒した際に肘が過伸展となって、前腕骨が後方へ脱臼することが多い。
  • 肩関節脱臼の次に頻度が高い。

症状

  • 肘頭の突出、持続的な疼痛、変形腫脹運動障害がある。

治療方法

  • 受傷直後は無麻酔でも整復できるが、通常は麻酔下の徒手整復で、できるだけ早期にはずれた関節をもとに戻す。整復後、90度の位置で3週間固定する。
  • 骨折やその他の周辺組織の損傷がある場合は、手術適応となる。

看護のポイント

■固定直後から肩関節や手指の運動を行うようにすすめる。
■固定解除後、自動運動を始める。
■強いマッサージや無理な他動運動*1は異所性骨化**2を増悪させ、拘縮の原因になるので避ける。
  • *1他動運動:理学療法士などが患者の関節を動かすこと
  • *2異所性骨化:関節周囲などの軟部組織が骨になる状態

膝関節脱臼

病態

  • 強い外力で、大腿骨遠位端の2つの関節面(内側顆外側顆)と、相対する脛骨近位端がはずれる。比較的まれな脱臼。
  • 靭帯や半月板などの損傷血管損傷神経損傷を伴うことが多く、緊急の対処が求められることもある。

症状・診断

  • 激しい疼痛変形腫脹がある。血管損傷がある場合は下腿の腫脹斑状出血冷感を認める。
  • 血管損傷の合併は、血管造影で確定診断する。

治療方法

  • 徒手整復し、軽度屈曲位で固定する。
  • 靭帯損傷は、保存療法で軽快する場合が多いが、再建術が必要なこともある。血管損傷の場合は緊急手術の適応となる。

看護のポイント

■大腿四頭筋の筋力低下を招きやすいので、固定後や術後は、筋力維持の運動をすすめる。
松葉杖の使用方法について説明する。

膝蓋骨脱臼・股関節脱臼

膝蓋骨脱臼

病態・治療方法
スポーツなどの際に、膝外反位で大腿四頭筋の強い力が加わることで外側に脱臼することが多い。 比較的容易に整復される。

股関節脱臼

病態・症状
骨盤の寛骨臼大腿骨頭からなる球関節が、強い外力ではずれた状態。ほとんどが後方脱臼で、うち半数以上で骨頭骨折大腿骨頚部骨折骨盤骨折などを合併する。車の運転中の事故(ダッシュボードインジャリー)に多くみられる。
股関節の疼痛腫脹運動障害が主な症状である。坐骨神経を損傷していると、坐骨神経麻痺を起こす。
小児では発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)がみられるが、外傷性股関節脱臼とは別の病態である。
治療方法
できるだけ早期に麻酔下で徒手整復後下肢の牽引を数週間にわたって行う。

足関節脱臼・手指関節脱臼

足関節脱臼

病態・症状・治療方法
脛骨と腓骨の遠位端の骨折や靭帯断裂で、距骨がはずれた状態を足関節脱臼骨折という。骨折を合併しない足関節脱臼はまれである。
激痛があり、時間とともに腫脹も激しくなる。
ほとんどの場合、手術が適応となる。
足関節脱臼骨折

手指関節脱臼

病態・症状・治療方法
最も頻度が高いのは、近位指節間関節(PIP関節)脱臼である。
徒手整復は比較的容易で、整復後3~4週間程度の固定を行う。屈曲位で固定すると拘縮が生じるので、注意が必要である。
近位指節間関節脱臼