第3章 主な検査と診断 主な検査と診断 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

看護師求人TOP > ナースフル疾患別シリーズ > 内分泌疾患 >第3章 主な検査と診断 主な検査と診断

問診と診察

問診の意義

  • 問診では、主訴・症状および経過、既往歴、治療歴、家族の既往歴、生活習慣などを聴取する。
  • 各種検査技術の発達はめざましいが、病気・病態についての予備情報がないと、なんの検査をするべきかの判断はつかない。生じている疾患の範囲をある程度しぼり込むために、問診は欠かせない。
問診票に回答してもらうときは

生活習慣にかかわる疾患の場合、問診票には生活実態についての質問が多く含まれる。ところが、「みっともない・恥ずかしい・病状を軽く判断してほしい」などの理由で、正しい回答を書き込んでくれないケースが時折みられる。したがって、問診票は診断以外に利用しないこと、正確な診断をするために重要なものであること、正確な診断こそ、正しい治療の要になることなどを、用紙を渡す際に言い添えるようにしたい。

診察の種類と内容

  • 診察は、確定診断を得るための最初の客観的情報源となる。
  • 問診と診察の結果をもとにして、生じている疾患を推測し、検査計画を立てる。
  • 視診・触診・聴診・打診などが、診察の主な方法となる。
■診察の主な種類

糖代謝異常の検査と診断

検査の概要

  • 糖代謝異常は、血糖値の異常という形で現れるので、それを確認する検査が基本となる。
  • 血糖値の異常がなぜ生じているか、またどのような病態にあるかなどを調べるための関連検査も行われる。

検査の種類

主な検査
糖尿病などの糖代謝異常の疑いは、一般的には尿糖検査か血糖検査でチェックされている。
血糖値は、食事時刻と採血時刻との関係により変動が大きいので、随時血糖値と空腹時血糖値とで、判定基準が異なる。
糖尿病の判定を行う代表的な検査は、75g 経口ぶどう糖負荷試験(OGTT)である。
その他の検査
診断確定後に、血糖の状態をコントロールしているインスリンなどの分泌状態を調べる検査が行われる。
血糖の状態を知る検査として、グリコヘモグロビンA1C(HbA1C)、グリコアルブミン、フルクトサミン、1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)などの値が測定される。
関連検査
尿量、尿たんぱく、血清・尿中ケトン体、1日尿中 Cペプチド排泄量、腎機能、肝機能、血中脂質、胸部X線、心電図、筋電図、眼底など
■主な検査の種類と基準値
Cペプチド(CPR)

75gOGTT の際に、血中 Cペプチド検査を行うことがある。Cペプチドは、インスリンとともに膵臓ランゲルハンス島β細胞で生成・分泌される物質で、インスリン生成量と正比例の関係にある。したがって、この血中濃度は、インスリンの分泌状態を知る指標となる。インスリンは、腎臓で代謝されたり、インスリン抗体の作用を受けたりするため、その血中脂質を調べてもインスリンの分泌状態が正しく反映されていないケースがある。しかし、Cペプチドではそのようなことがない。

75g OGTT(経口糖負荷試験)の手順

  • 被験者に、一晩の絶食が実行されているかどうかを確認する。また、検査中には空き時間が相当あるので、その間の飲食禁止(甘味飲料については、とくに注意したい)など、定められた注意事項を厳守するように、被験者に促す。
  • 空腹時の採血を行う。
  • 被験者にブドウ糖を飲んでもらう。ブドウ糖量は、通常、成人が75g、小児が体重1kgあたり1.75g(最大量75g)。これを、200~350㏄の水に溶かす。既製のブドウ糖溶液、またはそれに相当する溶液を使うこともある。
  • ブドウ糖服用後、30分・60分・12分という形で採血を行う(90分・180分の採血を行う場合もある)。
  • この間に採取した血液を、血中インスリン濃度測定などに使うことがある。

糖尿病の確定診断

  • まず、血糖値検査または75gOGTTにより、「糖尿病型」(空腹時血糖値126㎎/㎗以上または/および糖負荷後2時間血糖値200㎎ /㎗以上)であるかどうかを判定する。
■ 75gOGTT の診断基準
  • 「糖尿病型」と判定したのち、さらに糖尿病に特有の症状があるか、再検査(75gOGTT以外の検査、たとえば空腹時血糖値、随時血糖値などが望ましい)により再び糖尿病型の判定が出るなどした場合に、「糖尿病」と診断する。

糖尿病3大合併症の検査の概要

糖尿病網膜症
定期的な眼底検査により、発症の有無や、発症している場合にはその進行の度合いを確認する。
網膜症以外にも、糖尿病に伴って緑内障や白内障が生じることがよくある。それらも、眼科での検査により確認できる。
糖尿病腎症
尿たんぱく検査が、発症発見の糸口になる。
発症の早期発見には、尿中微量アルブミン検査が必要。
糸球体濾過値(GFR)は、発症後、微量アルブミン尿症の段階までは正常か、やや高値を示すが、顕性腎症期の後期には低下し始め、腎不全期には著しく低下する。
基準値
尿たんぱく 定性:陰性(−) 定量:100㎎/日以下
微量アルブミン 定性:陰性(−) 定量:30㎎/日未満(随時尿30μg/㎎・Cr未満)、微量アルブミン尿症:30~299㎎/日(30~299μg/㎎・Cr)、顕性たんぱく尿症:300㎎/日以上(300μg/㎎・Cr以上)
糸球体濾過値 71㎖/分以上
進行・病期分類については下表参照。
糖尿病神経障害
アキレス腱反射・振動覚・神経伝導速度・心拍変動係数・瞳孔反応などの検査を、必要に応じて行う。
■糖尿病腎症の病期分類
「境界型」と意味の似た用語

境界型=「正常型」にも「糖尿病型」にも属さない群。
耐糖能異常=略称IGT。OGTT2時間値が140㎎/㎗以上200㎎/㎗未満の群
空腹時血糖異常=略称IFG。空腹時血糖値が110㎎/㎗(アメリカでは100㎎/㎗)以上126㎎/㎗未満の群

脂質代謝異常の検査と診断

検査の概要

  • 脂質代謝の異常は、血中脂質の異常という形で現れるので、その血中濃度を調べる。
  • 脂質異常症のタイプを知る目的で、遠心分離器を用いてリポたんぱく分画を調べることがある。

検査の種類

主な検査
血清脂質検査では、LDLコレステロール(LDL-C)とHDLコレステロール(HDL-C)、トリグリセリド(TG)を調べる。
LDL-C値については、直接計測するか、次の数式を用いて計算し、推定値を出す。(ただしTG値が400mg/㎗以上であれば、直接計測を行うことが必要)
LDL-C(㎎/㎗)=TC−HDL-C−TG/5
(空腹時採血)
総コレステロールについては、脂質異常症の診断基準から除外されているが、血清脂質の全体的傾向を知る目的で、検査対象にすることが少なくない。
「脂質異常症」と「高脂血症」

従来の「高脂血症」という疾患名は、2007 年から「脂質異常症」と呼ばれるようになった。これは、「高脂血症」という表現が脂質代謝異常の全体像を必ずしも的確に表していないことなどを理由としている。ただし、「高脂血症」という用語が消滅したわけではなく、そのほうが適切であると考えられるケースでは、「高脂血症」と呼んでもさしつかえない。

関連検査
肥満度、心電図、血糖尿酸、肝機能、胸部X線など
■脂質異常症の診断基準
家族性高コレステロール血症

遺伝的に、肝臓や末 梢 細胞の LDL-C受容体に異常・欠損があることにより、小児・若年成人の時期から高コレステロール血症を発症する例がある。これを、「家族性高コレステロール血症(FH)」という。若年性冠動脈疾患の原因となり、青壮年期の死亡率も高いので、早期発見・早期治療開始が重要である。

■高脂血症(脂質異常症)の分類
■ニ次性脂質異常症の代表的原因疾患と病型

脂質異常症が招く疾患

  • 脂質異常症の危険性は、動脈硬化を進行させる点にある。
  • 動脈硬化が招く疾患については、こちらを参照。
  • 動脈硬化から生じる疾患の多くは、生活の質(QOL)を低下させたり、生命の危険を伴ったりするものが多い。
  • とくに家族性高コレステロール血症の場合、若くして心筋梗塞を起こし、死亡する人の割合が高く、年齢が30歳代前半であることもある。

看護のポイント

動脈硬化の危険性を伝える
脂質異常症と診断された人の多くは、自覚症状がなにもないため、事態を重要視しない傾向がみられる。 たとえば、総コレステロール値が基準値を20㎎/㎗上回ると冠動脈疾患の発生率が1.5倍、40㎎/㎗上回ると2倍に、あるいは TG(トリグリセリド)値が基準値を上回ると2~4倍以上になることなどを示して、脂質異常症が招く動脈硬化の危険性を、医師はもとより、メディカル・スタッフ全員が患者に伝え続けることが大切である。

肥満症の検査と診断

検査の概要

  • 肥満の判定は、正確には体脂肪量の測定が必要だが、一般には体格指数(BMI)により行われている。
  • 「肥満」とは、からだに脂肪組織が過剰蓄積している状態をいう。それに対して「肥満症」とは、それにより障害が起きる恐れがあるか、すでに障害が生じており、ただちに治療を開始する必要がある状態をいう。
  • 内臓脂肪型肥満が最近注目され、BMI より腹囲の測定や CTを用いた内臓脂肪の測定が重視されている。内臓脂肪蓄積症候群として定義されているメタボリックシンドロームの判定には BMI は用いず、腹囲を用いる。

検査の種類と判定

  • 次の計算式により、BMIを計算する。
  • BMI=体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)
  • BMIの基準値は18.5~24.9。25.0以上を「肥満」と判定する。
  • BMIが22のとき、各種の疾病・異常の合併率が最も少ないことから、BMI22に相当する体重を標準体重とする。

* 標準体重(㎏)=身長(m)×身長(m)×22 *

■肥満・肥満症の判定
■メタボリックシンドロームの判定

尿酸代謝異常の検査と診断

検査の概要

  • 尿酸の代謝異常は、血清中の尿酸値と、尿中の尿酸の状態とにより確認できる。
  • 尿酸の産生が過剰になっているか、尿中への排泄に支障をきたしているかを確認する。

検査の種類と判定

高尿酸血症の診断基準
血清尿酸の基準値は3.0~7.0㎎/㎗。基準値を超えると、高尿酸血症と診断する。
高尿酸血症には病型があり、それによって治療法も異なるため、病型の判定を次の基準に従って行う。
>
■高尿酸血症の病型分類
>
■痛風関節炎の診断基準
痛風の診断基準
高尿酸血症と判定されていることを前提とする。
痛風は関節炎としての症状が中心となるので、その点に着目した診断基準が作成されている。
そのほか、炎症部位の関節液を偏光顕微鏡で観察し、尿酸塩の針状結晶が確認できれば、診断を確定できる。

骨代謝異常の検査と診断

検査の概要

  • 代表的疾患である骨粗鬆症は、骨量の減少(骨強度の低下)を病態とするので、骨量(骨密度)の状態を調べる。
  • 骨量は、超音波やCTなどを用いても計測できるが、DXA法が最も正確とされている。
■骨量の測定法

検査の種類と判定

  • 骨量の検査法には、DXA法を用いることが望ましいが、X線を用いるMD法、超音波を利用するQUS法、CTを利用するQCT法でもよい。
  • 骨粗鬆症の判定は、22~44歳の平均的な骨量(若年成人骨量平均値=YAM)との比較により行う。
  • 脊椎のX線像により骨萎縮度の判定を行い、骨粗鬆症の診断に活用する。
  • 骨代謝の異常の診断や治療効果をみるために、骨代謝マーカーを用いることもある。
■原発性骨粗鬆症の診断基準

ビタミン欠乏症の検査と診断

検査・診断の概要

  • 食糧事情のよいわが国では、ビタミン欠乏症は少なくなっているが、別の疾患の影響によりビタミンの消失が過剰になったり、極端な偏食があったりすると、生じることがある。
  • ビタミン欠乏症が生じるのは、ビタミンA、B1、B2、ナイアシン、C、Dの6種類である。
  • ビタミン欠乏症の診断は、臨床症状と血液検査などを基本として行う。主な診断方法は、下表のとおりである。

ビタミンの摂取基準

  • 厚生労働省では、「日本人の食事摂取基準」を5 年ごとに改定し発表している。「基準」は、性・年齢別に示される。
■ビタミン欠乏症の診断法の概要
■ビタミンの食事摂取基準

視床下部・下垂体疾患の検査と診断

検査の概要

  • 視床下部・下垂体の疾患は、事実上、下垂体の機能異常という形をとることが多い。したがって、視床下部・下垂体に関する検査は、下垂体の機能検査が中心になる。
  • 下垂体機能検査の一般的な手順は、まず血液中の下垂体ホルモン濃度を調べ、その結果、低値であれば分泌刺激試験を実施し、高値であれば分泌抑制試験を実施する、という形をとる。
  • 刺激試験・抑制試験ともに、下垂体ホルモンの分泌を促進または抑制する作用のあるホルモンや薬剤などを負荷し、その反応を調べる。

下垂体機能検査の種類

  • 下垂体前葉と後葉とでは、分泌腺としての成り立ちや役割が異なるので、両者を分けて考える必要はあるが、刺激試験・抑制試験によって機能を調べる点に、基本的な違いはない。
  • 分泌刺激試験と分泌抑制試験のほか、腫瘍や奇形などが疑われる場合には、視床下部・下垂体の形状の異常を調べる目的で、画像検査(XP、CT、MRI)を実施する。
■主な下垂体前葉機能検査
■主な下垂体後葉機能検査

甲状腺疾患の検査と診断

検査の概要

  • 問診・触診などにより病態を推測する初診時の診察が重要である。
  • 甲状腺疾患は、甲状腺ホルモンの分泌状態に反映されるので、甲状腺ホルモンと、その分泌をコントロールしている下垂体ホルモンの分泌状態を調べる。
  • そのほか、原因や進行状態を知るための各種検査が、必要に応じて追加される。

ホルモン検査の種類と判定

甲状腺ホルモン検査
甲状腺ホルモンには、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)がある。また、実際にホルモンとしての働きをするのは、それらの遊離型(フリー)、すなわち FT4とFT3である。
上記ホルモンが検査対象となるが、FT4・FT3検査が中心と なるケースが多い。ただし、スクリーニング的に行う検査では、T4・T3が選択されることもある。
これらの検査は、いずれも、その血中濃度を調べるものである。基準値は次のとおり。
■甲状腺ホルモン検査の種類と基準値(参考値)
■ TSH 検査と TRH 負荷試験の基準値(参考値)
甲状腺刺激ホルモン検査
甲状腺ホルモンの分泌を促す下垂体ホルモン(甲状腺刺激ホルモン=TSH)の分泌状態を調べる。
甲状腺ホルモンの分泌低下が、下垂体の機能をコントロールしている視床下部の異常によるものであることを疑う場合は、視床下部ホルモン(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン=TRH)によるTSHの分泌のしかたを調べる。これをTRH負荷試験という。
TRH負荷試験とは、TRH製剤を静注し、TSHの分泌反応から下垂体の機能を調べるもの。ただし、分泌反応がわかりにくいケースもよくあるので、画像検査と組み合わせて結果を判断することが多い。
■各検査結果と考えられる主な疾患
その他の検査
抗サイログロブリン抗体検査(TgAb)、抗ペルオキシダーゼ抗体検査(TPOAb)、TSH受容体抗体検査(TRAb)、白血球分画、電解質、心電図など

画像検査の種類と特徴

  • 頸部超音波(エコー)検査=もっともよく利用される画像検査法。X線を使わないため、何度でも検査を実施でき、妊婦・授乳婦でも問題が生じない。最近は、血流の状態がわかるカラードプラー法・パワードプラー法、腺腫の硬さまでわかるR-TTEなども使われている。
  • コンピューター断層撮影(CT)検査=X線を回転照射し、検査部位を輪切りにしたような画像を得る。障害物の裏側の様子も、問題なく調べることができる。
  • 磁気共鳴断層撮影(MRI)検査=CTと同様の画像が得られるが、CTではわからないものを識別できることもある。X線を使用しないので、エコーと同様のメリットもある。
  • ポジトロン放射断層撮影(PET)検査=陽電子が発するガンマ線を利用して検査する装置を用いる検査法。転移性の腫瘍の診断などに使われることがある。
  • シンチグラフィー=甲状腺ホルモンの材料がヨードであることから、放射性ヨードまたはその類似物質を服用し、それが甲状腺にどれだけ取り込まれるか、またヨードを極度に取り込む結節の有無を調べる。

穿刺吸引細胞診検査

  • 甲状腺疾患が腫瘍性のものである疑いがある場合に、その部分の細胞を注射器様の器具で吸引し、顕微鏡で検査する。
  • 腫瘍が良性か悪性か、どのタイプの腫瘍であるかなどの確認手段となる。

看護のポイント

細胞診検査への恐怖心に対応する
穿刺吸引細胞診検査では、検査部位に針を刺して、細胞を採取する。被験者は、ほとんどの場合それに恐怖心を抱く。したがって、針はきわめて細く、麻酔も不要なほど痛みが少ないこと、通常 1~2分で終了することなどを説明し、その解消を試みたい。

副甲状腺疾患の検査と診断

検査の概要

  • 副甲状腺に異常が起こると、分泌ホルモンである副甲状腺ホルモン(PTH)の産生・分泌に異常をきたす。
  • PTHは、カルシウムの代謝に重要な役割を果たしているので、その分泌異常は、血中カルシウム濃度の異常となって現れる。
  • 副甲状腺疾患の検査では、基本的にPTHとカルシウムの血中濃度を知ることが必要である。

検査の種類と基準値

主な検査
PTHは、血液中で分解が進むため、分泌状態を知るには全分子型・非分解型であるintactPTHを測定するのが適当である。
血中カルシウムの半分近くはたんぱく質(主にアルブミン)と結合していて、カルシウムとしての働きを示すのは遊離カルシウムである。カルシウム値は血清アルブミン値が低いと見かけ上、低値を示すので、検査実測値を血清アルブミン値で補正することにより、適切な値を把握できることになる。
補正Ca値=実測値+(4−血清アルブミン値)
血中カルシウム濃度とともに骨代謝に関係するリンの血中濃度についても調べる。
■検査の種類と基準値
その他の検査
骨型ALP(BAP)=骨芽細胞由来のアルカリフォスファターゼ。副甲状腺機能亢進症では、数値が上昇する。
オステオカルシン(BGP)=骨芽細胞で合成されるたんぱくの一種。副甲状腺機能亢進症で、血中濃度が上昇する。
腎原性cAMP=PTH作用を受けて腎臓の尿細管で産生される物質。尿中の濃度を調べ、PTHの作用状態を判別する。
関連検査
●活性型ビタミンD ●Ccr ●尿細管Ca・P再吸収率 ●骨密度 ●腎機能 ●肝機能 ●心電図 ●頸部エコーや副甲状腺シンチグラフィーなど
機能亢進症では腫瘍合併などの恐れも

原発性副甲状腺機能亢進症の場合、副甲状腺過形成や、多発性内分泌腫瘍症が合併している恐れがある。症状や画像検査などによりその疑いがあれば、その確認のための検査が追加される。

副腎疾患の検査と診断

副腎皮質と髄質

  • ひと口に副腎というが、副腎の皮質と髄質は、まったく異なる内分泌腺と考えることが必要。
  • 副腎皮質の疾患と副腎髄質の疾患は、性格がまったく異なるので、その判定・診断にかかわる検査も、別のものとなる。

副腎皮質疾患の検査の概要

  • 副腎皮質疾患は、副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)の分泌異常により発症するので、まずはその分泌状態をみる検査が必要になる。
  • ステロイドホルモンの分泌異常が判明したら、それがどのような障害によるものかの検査が行われる。

副腎皮質疾患の検査

主な検査
ステロイドホルモンの1つであるコルチゾールは、白血球分画の好中球を増加させ、好酸球とリンパ球を減少させる作用をもつ。したがって、それらの白血球分画の変動は、コルチゾール分泌の異常を示すことになる。
血中コルチゾールや尿中遊離コルチゾール、コルチゾールの代謝産物である尿中17-OHCSなどの血中濃度は、コルチゾールの分泌状態を反映する。
下垂体ホルモンのACTHは、副腎皮質束状層に作用して副腎皮質ホルモンの分泌を促進する。したがって、ACTH分泌の状態を知る必要がある場合に行われるACTH分泌抑制試験がデキサメサゾン抑制試験、同刺激試験がCRH試験である。
ステロイドホルモンのなかには、血液中のナトリウムやカリウムの濃度の調節にかかわるものがある。それらの血中濃度の異常は、副腎疾患の発症を示唆する。
■検査の種類と基準値(参考値)
その他の検査
CT、MRI、副腎シンチグラフィー、副腎静脈サンプリング、副腎アンドロゲン、血中アルドステロン、心電図、カプトプリル負荷試験、フロセミド立位試験など

副腎髄質疾患の検査の概要

  • 副腎髄質に生じる代表的な疾患は、褐色細胞腫である。
  • 褐色細胞腫は、さまざまな症状を発現する疾患であり、自覚症状を詳細に聞き出すことにより、診断のための基本的な情報が得られることが多い。

褐色細胞腫の検査

主な検査
褐色細胞腫は、副腎髄質ホルモンのカテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリンなど)を過剰に分泌する疾患であるので、血中と尿中のカテコールアミン濃度を調べる。褐色細胞腫があれば、高値を示す。
アドレナリン・ノルアドレナリンの代謝産物であるメタネフリン・ノルメタネフリンの血中濃度や、同じく代謝産物のVMA(バニルマンデル酸)の尿中濃度を調べる。カテコールアミンの過剰分泌があれば、高値を示す。
クロニジン試験により、本態性高血圧の可能性を判別する。クロニジンを服用すると、本態性高血圧では血中カテコールアミン濃度が低下するが、褐色細胞腫ではその反応がみられない。
高血圧が認められる患者で褐色細胞腫を疑う場合には、αブロッカー薬のフェントラミンによる試験を行うことがある。カテコールアミンの過剰分泌により血圧上昇が起きている場合は、フェントラミンの作用により、血圧が低下する。
高血圧が認められない患者ではあるが褐色細胞腫を疑う場合には、カテコールアミン分泌刺激試験を行うことがある。刺激薬剤は、グルカゴン・チラミン・ヒスタミンなど。血圧の上昇の様子をみて、反応の有無を確認する。
超音波・CT・MRI・副腎シンチグラフィーなどの画像検査を行って、腫瘍の状態を確認する。
■副腎髄質の主な機能検査
その他の検査
尿糖、血中脂質、尿たんぱく、血漿レニン活性など

看護のポイント

患部への外部刺激は要注意
褐色細胞腫は、外部からの刺激でもカテコールアミンを放出してしまう。医師が触診をする際にも注意するほどなので、とくに高血圧のある患者には、その点に注意するように強く促したい。

膵内分泌腫瘍の検査と診断

検査の概要

  • 膵内分泌腫瘍には、インスリノーマやガストリノーマなどいくつかの種類があり、病態もまったく異なるので、それぞれの診断に要する検査も違うものになる(ここでは、代表的な膵内分泌腫瘍であるインスリノーマとガストリノーマについて触れる)。
  • 一般的には症状から疾患の存在を推測し、その疾患に合わせて検査手順を決定する。

インスリノーマの検査

  • インスリノーマに特徴的なウィップルの3徴(①空腹時や運動時に強い低血糖症状が現れる、②低血糖発作時の血糖値が50㎎/㎗以下になる、③食事の摂取やブドウ糖の投与により症状が収まる)の存在を確認する。
  • 低血糖時の血糖値と血中インスリン値を検査する。血中インスリン値÷血糖値の計算で0.3以上なら、インスリノーマの可能性が高い。
  • Cペプチド抑制試験を実施する(インスリン注射をしてもCペプチドの数値が低下しなければ、インスリノーマ)。
  • 絶食試験を実施する。
■インスリノーマの絶食試験
  • 選択的動脈内カルシウム注入試験(SACI)と腹部動脈造影(CT)を実施し、腫瘍の存在を確認する。

ガストリノーマの検査

  • 血清ガストリンが300pg/㎖ 以上、基礎胃酸分泌(BAO)の明瞭な上昇、SACI などにより、ガストリノーマの存在を確認する。
  • 腹部画像検査(超音波かCT)を実施する。ただし、腫瘍が小さすぎて確認できないケースがよくある。
  • 十二指腸ガストリノーマの場合は、上部消化管内視鏡検査により、存在を確認する。

その他の内分泌疾患の検査と診断

クラインフェルター症候群の検査の概要

  • 外性器を含む全身の所見から、クラインフェルター症候群を疑う。
  • クラインフェルター症候群は遺伝性疾患であるから、染色体検査により性染色体の数や型を確認する。
  • 血中テストステロン値と、ゴナドトロピン値を測定する。クラインフェルター症候群が存在すると以下のようになる。
  • ●テストステロン値→低値
  • ●ゴナドトロピン値→原発性は高値、続発性は低値
  • ヒト絨毛性ゴナドトロピン負荷試験を行う。原発性では過剰反応が、続発性では低反応が現れる。

ターナー症候群の検査の概要

  • 外性器を含む全身の所見から、ターナー症候群を疑う。
  • ターナー症候群は遺伝性疾患であるから、染色体検査により性染色体の数や型を確認する。
  • 血中エストロゲン値と、ゴナドトロピン値を測定する。ターナー症候群が存在すると、以下のようになる。
  • ●エストロゲン値→低値
  • ●ゴナドトロピン値→高値
  • 上記測定で、ゴナドトロピン(FSH)が高値なら卵巣の異常、変化がなければ視床下部や下垂体の異常が考えられる。

多発性内分泌腫瘍症の検査の概要

  • 多発性内分泌腫瘍症は、MEN1型・2型とも遺伝性疾患であるから、遺伝子検査を行う。1型はMEN1遺伝子の、また2型はRET遺伝子の異常が原因となる。
  • プロラクチン、成長ホルモン、インスリン、ガストリン、PTH、カルシトニンなどのホルモンの血中濃度を測定し、症状や画像検査などの結果も照合して、確定診断を得る。

多腺性自己免疫症候群の検査の概要

  • HAM症候群では、副腎皮質機能低下症・特発性アジソン病・粘膜皮膚カンジダ症などが合併するので、それらのうち1つの疾患が発見された場合は、症状などから推察し得るほかの自己免疫疾患の検査も実施し、判定する。
  • シュミット症候群でも、特発性アジソン病や橋本病などが合併するので、上記と同様の対応をとる。

単位の読み方と意味

単位の読み方と意味