第3章 主な脳神経疾患 頭部外傷 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

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第3章主な脳神経疾患
頭部外傷

臨床現場でよく見られる脳神経疾患を取り上げ、ナースが知っておきたいポイントや検査・治療法などについて、画像写真やイラストを交えて解説していきます。

頭蓋骨骨折

現場で役立つポイント

  • 頭蓋骨骨折で最も多い線状骨折のほか、陥没骨折、頭蓋底骨折がある。
  • MRI、CT、X線撮影で、損傷の確認と治療法を決定する。
頭蓋骨骨折(単純X線、頭部CT)

どんな疾患・病態?

線状骨折
平面に頭部を打撲して鈍い外力が加わって起こる。
陥没骨折
物体が頭部に直撃して生じる。接触面は小さい。
頭蓋底骨折
外力に弱い頭蓋底の骨の骨折。

症状

線状骨折
骨折部位の腫脹や疼痛がある。
陥没骨折
意識が消失する場合がある。
頭蓋底骨折
篩骨板、視神経管骨折:視覚障害や髄液鼻漏がある。
上眼窩裂骨折:眼球運動障害がある。
錐体骨骨折:髄液耳漏、顔面神経麻痺、聴神経障害がある。
中頭蓋窩後部骨折:耳たぶの後ろの溢血斑(バトル徴候)。

検査と診断

  • 頭部外傷では、まず、画像検査で頭蓋骨骨折の有無を確認する。
  • 耳出血、髄液漏、眼窩損傷、頭蓋底骨折によるバトル徴候やパンダの目徴候などの有無を把握する。
  • 髄液鼻漏検査を行い、グルコース酸化酵素試験紙でグルコースが検出されれば、鼻汁ではなく髄液と判定する。

治療法

線状骨折
経過観察のみ。血管溝や骨縫合線との鑑別が必要。
陥没骨折
閉鎖性で脳の損傷がない場合は、保存的に経過観察する。
陥没が大きく直下の脳を圧迫する場合は、整復術が必要。
開放性の場合は手術適応。硬膜の修復、血腫除去などを行う。
頭蓋底骨折
保存的治療により自然治癒する場合が多い。
髄液漏は1週間以内に治癒することが多く、髄膜炎予防のために抗生物質を投与して観察する。
治癒しない場合は、手術で硬膜を修復する。

びまん性脳損傷

現場で役立つポイント

  • 脳損傷が広い範囲に生じたものをいい、脳しんとう、びまん性軸索損傷がある。
  • 損傷が認められる脳しんとうでは、時間の経過とともに出血することがあるので、注意深く観察する。
  • 交通事故などの外傷で、びまん性軸索損傷を受け、高次機能障害を発現することがある。

どんな疾患・病態?

脳しんとう
転倒などによる頭部外傷で、一時的に意識が消失する状態。
脳しんとうの後に後遺症がみられる場合があり、脳しんとう症候群という。
びまん性軸索損傷
外力を受けて頭部が首を支点に回転するのに伴い、脳がねじれるように動き、軸索(神経線維)が断裂・過伸展などの損傷を受けた状態をいう。

症状

脳しんとう
受傷直後は意識障害を起こし、意識回復後に頭痛、めまい、健忘、うつ状態、集中力低下などが現れる。
びまん性軸索損傷
受傷直後から意識障害を起こす。
頭蓋内圧亢進、脳膨張などもある。

検査と診断

画像診断
CT、MRIにより診断する。
びまん性軸索損傷では白質全域や脳梁などの斑点状出血、頭蓋内圧亢進による側脳室や第3脳室の圧迫がみられる場合がある。
脳しんとうでは通常、脳には異常所見がみられない。

治療法

脳しんとう
損傷がなければ、特に治療は必要ない。
頭痛やめまいがある場合は、投薬による対症的治療を行う。
びまん性軸索損傷
保存的療法が中心となる。
頭蓋内圧亢進を防ぐ方法として、バルビツレート療法、低体温療法を行う。
大脳半球の著しい脳膨張に対しては外減圧術を行うことがあるが、脳に不可逆的な障害がみられる場合は、外減圧術の適応とはならない。

局所性脳損傷

現場で役立つポイント

  • 脳損傷によってできた血腫の部位によって、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、脳挫傷、脳内血腫などに分けられる。
  • CTでは、急性硬膜外血腫および急性硬膜下血腫に特徴的な所見を示す。
急性硬膜外血腫(頭部CT)
  • 損傷を受けた直後に血腫がなくても、その後、血腫が出現する場合がある。したがって、観察を怠らないことが大切である。

どんな疾患・病態?

  • 交通事故や転倒など頭部への衝撃による、局所的な脳損傷をいう。
急性硬膜外血腫
頭蓋骨と硬膜の間にできた血腫。線状骨折を伴う場合が多い。
中硬膜動脈の損傷により、中硬膜動脈が走る側頭部に発現することが多い。
導出静脈や板間静脈なども出血源になる。
急性硬膜下血腫
脳の表面と硬膜の間にできた血腫。
脳表面の損傷により、動静脈が切れて発現することが多い。
好発部位は大脳半球。
脳挫傷と脳内血腫
頭部の強打などで頭蓋骨や硬膜と脳が衝突し、脳が損傷する。
出血してできた脳内血腫の多くが、対側損傷によるもの。
好発部位は前頭葉および側頭葉。

症状

急性硬膜外血腫
嘔吐、意識障害、対側片麻痺、瞳孔異常、頭蓋内圧亢進など。
血腫の増大に伴い、意識障害が現れる。
急性硬膜下血腫
頭痛、片麻痺、瞳孔異常など。
脳損傷が大きいと、受傷直後から意識障害が起きる。
脳挫傷と脳内血腫
片麻痺、失語など。
血腫が大きくなるケースでは、約50%に受傷直後から意識障害が現れる。

検査と診断

  • 症状が刻々と変化するため、頻繁に神経学的チェックを行う。
画像診断
X線撮影で骨折部位を確認する。
CT、MRIでは、挫傷や血腫が描出される。経時的変化の追跡が必要となる。

治療法

  • 神経症状がみられ、血腫の量が多い場合は、開頭血腫除去術を行う。
  • 症状が軽い場合は、保存的治療を行う。
  • 急性硬膜下血腫で全身麻酔下の開頭術に耐えられそうにない重篤なケースには、穿頭、血腫吸引により頭蓋内圧低下を図る。
  • 血腫を伴わない脳挫傷に対しては、頭蓋内圧亢進対策として脳圧降下薬の投与など保存的療法を行う。重症例では、挫傷部位や血腫を除去し、必要であればバルビツレート療法や低体温療法を行う。