第3章 主な脳神経疾患 中枢神経障害 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

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第3章主な脳神経疾患
中枢神経障害

臨床現場でよくみられる脳神経疾患を取り上げ、ナースが知っておきたいポイントや検査・治療法などについて、画像写真やイラストを交えて解説しています。

アルツハイマー病

現場で役立つポイント

  • アルツハイマー病は、わが国における認知症の約4割を占める。
  • 進行状況から健忘期混乱期臥床期に分けられる。
  • CT、MRIなどで脳の内側側頭部の萎縮が認められる。
  • 栄養、衛生、健康面などの自己管理ができない患者に対しては、日常生活動作へのきめ細かい配慮が必要となる。
アルツハイマー病(頭部MRI FLAIR)

どんな疾患・病態?

  • 大脳の神経細胞の変性による進行性の認知症。
  • 組織の変化は大脳の萎縮、神経原線維変化、βアミロイドが沈着した老人斑を3大特徴とする。

症状

  • 初老期発症型(40~64歳)と老年期発症型(65歳以降)に分けられるが、後者のほうが圧倒的に多い。
  • 記銘力の低下から始まり、徐々に日常生活に支障をきたす神経症状へと進行、最終的には寝たきりとなる。
  • 女性に多くみられる(男:女=1:1.5)。
  • 若年発症の場合、症状の進行が早い傾向がある。
アルツハイマー病の症状

検査と診断

  • 記憶障害や認知障害の有無をみる。
  • 簡易知能評価法として長谷川式スケールやミニ・メンタルステート試験(MMSE)がある。
画像診断
CT、MRIで側脳室・脳溝の拡大など脳萎縮が認められる。脳萎縮は側頭葉、頭頂葉に特に目立つ。
SPECT、PETでは、初期に頭頂・側頭葉・帯状回後部の血流・代謝低下が認められる。

治療法

薬物療法
コリンエステラーゼ阻害薬である塩酸ドネペジル(商品名アリセプト)などの認知症治療薬を用いる。
少量の非ステロイド性抗炎症薬が、軽度から中等度の患者に対し、症状改善・進行抑制を示すという意見もある。
物忘れと認知症

いわゆる「物忘れ」と、認知症は異なるものである。人の名前を度忘れしてしまった、記憶していても思い出すのに時間がかかるが、それを本人が認識しているという場合は、加齢に伴う現象の「物忘れ」であると考えられる。それに対し認知症では、記憶そのものが失われており、これを本人が自覚していない場合が多い。

パーキンソン病

現場で役立つポイント

  • パーキンソン病の病期分類には、HoehnandYahr(ヤール)の重症度分類が用いられる。
Hoehn and Yahrの重症度分類
  • 進行に伴い、症状が全身に広がる。
  • 治療薬のレボドパの長期投与によって出現する副作用に注意する。
  • 姿勢障害・歩行障害により転倒しやすいので、歩行訓練を行うとともに、事故防止の方法などを指導する。
  • 日中は起きて、積極的に体を動かすよう指導する。

どんな疾患・病態?

  • 中脳黒質の神経細胞が変性脱落し、線条体のドパミン減少により運動障害などが生じるもの。
  • 多くは原因不明。有病率は人口1000人当たり1人の割合。
  • パーキンソン病の一部は、遺伝子変異による家族性である。

症状

  • 4大症状は振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害(これらをまとめてパーキンソニズムという)である。
  • 初発症状は振戦が最も多く、通常は片側に出ることが多い。
パーキンソン病の4大症状

検査と診断

  • 臨床症状、既往歴、薬物服用歴、神経学的所見、薬物反応や画像診断(MRI、脳血流シンチ、MIBG心筋シンチ)をもとに、ほかのパーキンソン症候群と鑑別する。
  • さらに、レボドパ製剤やドパミン受容体刺激薬(ドパミンアゴニスト)投与で症状が改善されれば、パーキンソン病と診断される場合が多い。
正常取り込み

治療法

  • 症状軽減を目的とした薬物療法と対症療法が中心。
薬物療法
パーキンソン病治療薬の特徴と注意点に関しては、こちらを参照。
75歳以下では、ドパミンアゴニストからの治療開始が推奨されているが、薬効はレボドパのほうが切れ味がよい。
レボドパとの併用では、レボドパを少量に抑える。
薬物療法
薬物療法と並行して早期段階から開始する。
薬物療法
薬物療法は有効だが、効果時間が短く症状変動が著しかったり副作用(幻覚や不随意運動)がみられる症例に対して行う。
淡蒼球破壊術、淡蒼球刺激術、視床下核破壊術、視床下核刺激術など。

ハンチントン病

現場で役立つポイント

  • ハンチントン病は、軽度の精神症状や行動異常が約10年続いた後、通常30~50代で症状が顕在化する。
  • 舞踏運動で起こるケガや、頭部打撲による硬膜下血腫に気をつけ、これらの防止のために環境を整える。
  • うつ状態になる危険がある。自殺企図に注意する。
  • 話すときは患者の言葉を復唱し、理解度を高める

どんな疾患・病態?

  • 不規則な不随意運動(舞踏運動)と認知症を主体とする進行性の疾患。
  • 線条体小型細胞が選択的に細胞死することでコリン作動性神経が減少、またGABA作動性神経も変性していくため、黒質のドパミン作動性神経が過剰に活動し、不随意運動が発現する。
  • 第4常染色体にあるIT15(またはhuntingtin)遺伝子の変異によって発症する、常染色体優性遺伝疾患。

症状

  • 上肢や歩行の運動障害、構音障害をきたす舞踏運動、人格変化などが現れる。
  • 進行性知能低下は、発症後数年して現れる。
  • 若年発症者ではけいれん、筋硬直が主症状となる。

検査と診断

画像診断
CT、MRIによる尾状核頭部の萎縮の確認。
遺伝子検査
責任遺伝子DNA塩基配列のCAGリピート延長を同定することにより、確定診断する。

治療法

  • 根治療法はなく、対症療法とケアが中心となる。
  • 舞踏運動および精神症状の抑制を目的として、ドパミン受容体阻害薬やドパミンを抑制する薬物を使用する。
  • 若年例や、ハンチントン病後期に現れるパーキンソン症状には抗パーキンソン病薬が有効だが、舞踏運動を強める。
CAGリピート

DNAはC(シトシン)、T(チミン)、A(アデニン)、G(グアニン)の4種類の塩基から構成されており、3つの塩基の並びで1つのアミノ酸がコードされている。ハンチントン病は、CAGという3塩基配列の繰り返し(CAGリピート)が異常に伸長している。異常伸長したリピートは不安定で、リピートの数と発症年齢には負の相関の関係がある。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

現場で役立つポイント

  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、脳からの指令を筋肉に伝える運動ニューロンが侵される疾患である。
  • 進行が早く、予後不良である。人工呼吸器の装着を選択しない場合、発症から平均5年以内に死亡する。
  • 呼吸障害の増悪や嚥下障害による誤嚥に注意する。
上位運動ニューロン症状

どんな疾患・病態?

  • 上位運動ニューロンと下位運動ニューロンに進行性の変性脱落が生じる原因不明の疾患。
  • 一部は家族性である。成人に発症する。

症状

  • 初発症状は、手・指の筋萎縮と筋力低下を特徴とする。
  • 次第に上肢・下肢の麻痺へと進行する。
  • 進行に伴い言語障害、嚥下障害、呼吸障害が生じる。
  • 感覚障害、膀胱・直腸障害、眼球運動障害、褥瘡の4つが生じにくいことが特徴(4大陰性徴候)。

検査と診断

  • 特異的な診断法はない。初期症状や神経学的所見などをもとに、総合的に診断する。
  • 成人発症である
  • 経過が進行性である
  • 神経所見で球麻痺症状、上位運動ニューロン症状、下位運動ニューロン症状のうち2つ以上がみられる
  • 筋電図で高振幅電位、多相性電位がみられる
  • 鑑別診断(脊髄性進行性筋萎縮症、原発性側索硬化症などではない)による
  • これらのすべてを満たす場合,ほぼ確定診断とみなされる。

治療法

  • 予後不良の疾患であり、対症療法が中心となる。
対症療法
嚥下障害に対して栄養管理を行う。
呼吸障害に対して人工呼吸器を装着する。
リハビリテーション
筋力維持と筋肉の硬直予防が目的。
薬物療法
グルタミン酸拮抗薬であるリルゾールを投与する。

脊髄小脳変性症(SCD)

現場で役立つポイント

  • さまざまな脊髄小脳変性症(SCD)の中でも、日本ではオリーブ橋小脳萎縮症が多くみられる。
  • 主症状は運動失調であり、その症状は徐々に進行し、最終的には臥床状態となる。長期臥床の回避や精神面を含む介護が重要となる。
  • 患者の身体防護のために整理整頓などを指導する。
症例

どんな疾患・病態?

  • 小脳や、小脳求心路・遠心路、脊髄後索の神経細胞が変性することで諸症状を現す疾患の総称。
  • 原因は不明だが、遺伝性と孤発性があり、約65%が孤発性。
  • 孤発性にはオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)があり、遺伝性では、運動失調や錐体路徴候、ジストニア、眼球運動障害が生じるMachado-Joseph症や、小脳性運動失調のみを示す脊髄小脳失調症6型(SCA6)などが比較的多い。

症状

  • 画像的には、小脳のみが萎縮する純小脳型と、脳幹や大脳の萎縮も加わる複合型がある。
  • 主症状は運動失調(四肢失調、体幹失調、構音障害)である。
  • このほか、痙縮などの錐体路症状、パーキンソニズムなどの錐体外路症状、起立性低血圧や失禁などの自律神経症状(大脳の変性を伴うものでは認知症状、けいれん)が現れることもある。

検査と診断

画像診断
CTやMRIによって、小脳、脳幹などの萎縮を確認する。
ある程度進行していないと、診断は困難である。
遺伝子診断
遺伝性のもので、原因遺伝子が判明しているものでは、診断の確定が可能。

治療法

  • 根治療法はなく、個々の症状に合わせて薬物療法やリハビリテーションを行う対症療法が中心となる。
  • 長期療養となるため、個々の患者や症状に合わせて、長期臥床の回避や精神面を含む介護が重要となる。
画像診断
運動失調症状の改善:TRH(甲状腺ホルモン分泌促進ホルモン)や、TRH誘導体を用いる。
パーキンソン症状の抑制:パーキンソン病治療薬を用いる。
自律神経症状:症状に合わせた改善薬を投与する。
痙性:抗痙縮薬を投与する。
ビタミンEの補充を行う。
リハビリテーション
継続的に、反復して運動を行う。
症状によりバランス訓練や歩行訓練、筋力増強訓練を行う。
失調症状には手首・足首におもりをつけると、効果的な場合がある。

パーキンソニズムを呈する大脳変性疾患

現場で役立つポイント

  • パーキンソニズムを主症状とする主な大脳変性疾患は下表のとおりである。
  • 姿勢障害や歩行障害がある場合は、転倒に留意する。
パーキンソニズムを主症状とする大脳変性疾患

どんな疾患・病態?

  • パーキンソン病よりまれであるが、パーキンソニズムを主症状とする大脳変性疾患として、線条体黒質変性症(SND)、汎発性レビー小体病(DLBD)、進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)がある。

症状

  • 症状、検査と診断は表:パーキンソニズムを主症状とする大脳変性疾患のとおり。

治療法

  • 現在のところ、有効な治療法はない。
  • 抗パーキンソン病薬などで効果が現れる場合もあるが、根本治療にはならない。
多系統萎縮症(MSA)

オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)、線条体黒質変性症(SND)の2つは、まとめて多系統萎縮症(MSA)という概念でとらえられている。OPCAは小脳失調、SNDはパーキンソニズムが主体となるが、実際には、これらの症状がさまざまな程度に混在した症例が多い。ともに自律神経症状を伴う。OPCAはMSA-C、SNDはMSA-Pと呼ばれることもある。病理的に共通してグリア細胞封入体を認め、病因的にも共通していると考えられる。

多発性硬化症(MS)

現場で役立つポイント

  • 多発性硬化症(MS)は20~30歳代の若年者に多くみられ、わが国では視神経脊髄型が欧米に比して多い。
  • 急激な視力低下や複視を生じることもあるため、身の回りの危険物を排除、整理整頓を指導する。
  • 高温での入浴や激しい運動による体温上昇が、症状の悪化を招くことがあるため控えさせる。
  • 症状の再発と寛解を繰り返すうちに不可逆的な症状が蓄積して治療が長期化するため、患者と家族の双方への身体的・精神的サポートが必要である。
多発性硬化症(頭部MRI FLAIR画像)

どんな疾患・病態?

  • 脳、脊髄などの中枢神経系において、神経線維の脱髄を反復し、症状の再発と寛解を繰り返す疾患をいう。
  • 原因は不明であるが、ウイルス感染などを契機とする自己免疫疾患と考えられている。
脱髄

症状

  • 脱髄発生部位により視力障害、運動麻痺、感覚障害、排尿障害、精神症状など異なる症状が生じる。
  • 日本人では、視力障害と脊髄症状が欧米に比して多い(視神経脊髄型)。

検査と診断

  • 多発性硬化症の診断は、症状、MRIなどから決まる。
  • 中枢神経における病巣2つ以上に由来する症状(空間的多発性)。
  • 症状の寛解と再発(時間的多発性)。
  • 他疾患が原因の神経症状を鑑別し得る。
  • 髄液検査でオリゴクローナルバンド陽性、IgG、リンパ球の増加などの異常所見が検出される。
  • CT、MRI、誘発電位検査で病巣部位の確認を行う。
  • 血清中の抗アクアポリン4抗体を調べる。

治療法

  • 根治療法はなく、薬物療法による症状の増悪軽減と再発予防が中心となる。
薬物療法
急性期には、ステロイドパルス療法を行う。
再発予防には、インターフェロンβや免疫抑制薬を用いる。
ステロイド治療による免疫力低下や、インターフェロンβ治療による抑うつ、発熱、倦怠感などの副作用に注意する。
抗アクアポリン4抗体

視神経脊髄型MS患者の血清中に上昇する自己抗体のこと。抗アクアポリン4抗体陽性例では、再発予防のためにインターフェロンβは用いず、ステロイドの経口内服を行う。

ピック病

現場で役立つポイント

  • アルツハイマー病と同じく進行性認知症を特徴とするが、ピック病の初期症状は人格障害である。

どんな疾患・病態?

  • 大脳皮質の前頭・側頭領域の変性が顕著な進行性認知症である。

症状

  • 初老期から無感情、記憶喪失、異常行動など、人格障害や情緒障害が生じる。進行性失語症のかたちで発症することもある。
  • アルツハイマー病より進行が早く、発症後5~7年で死亡する。

検査と診断、治療法

  • 記憶障害よりも人格障害が早期にみられることが、アルツハイマー病との鑑別のポイントとなる。
画像診断
CTやMRIで、前頭葉、側頭前半部に顕著な大脳萎縮。
PETでは、前頭葉、側頭葉の血流の低下が顕著に現れる。
薬物療法
根本的な治療はない。精神症状に対する対症療法、支持療法が中心となる。

ウィルソン病

現場で役立つポイント

  • 代表的な先天性銅代謝異常症であり、肝臓、中枢神経、角膜などに過剰に蓄積される。

どんな疾患・病態?

  • 第13番染色体に原因遺伝子がある常染色体劣性遺伝。

症状

  • 肝障害(肝硬変)を示す肝型と、神経症状(ジストニア、パーキンソニズム、失調など)を示す神経型、肝障害と神経症状が同時期に進行する肝神経型がある。
  • 銅の角膜への蓄積によりカイザー・フライッシャー輪が出現。

治療法

食事療法
銅摂取を制限する。
薬物療法
銅の排泄を促進するD-ペニシラミンなどを服用する。
肝移植
重篤な肝障害、肝不全で適応となる。

傍腫瘍性神経症候群

現場で役立つポイント

  • 悪性腫瘍に随伴して生じる神経障害のうち、自己免疫機序によって生じるものを傍腫瘍性神経症候群という。

どんな疾患・病態?

  • 癌細胞の直接浸潤によらないで起こる神経障害のことをいう。
  • 癌細胞に関連して産生された抗体が神経系の細胞に作用することにより生じると考えられている。

症状

  • 大脳、小脳、脊髄、筋肉など、さまざまな神経系の異常。
  • 多くの場合、数週~数カ月単位で進行する。

検査と診断

  • ほかの原因との鑑別が重要となる。
  • 特異的な抗神経抗体(抗Hu抗体、抗Yo抗体など)を検索する。
  • 癌の存在を確認する。腫瘍が小さい場合は発見が困難。

治療法

  • 化学療法、外科手術、放射線療法などで、癌の治療を行う。
  • ステロイド薬、免疫抑制薬、血漿交換なども用いる。

高血圧性脳症

現場で役立つポイント

  • 重篤な高血圧の緊急症であり、意識障害や死に至る危険があるため、迅速に降圧を図る必要がある。

どんな疾患・病態?

  • 急激な血圧上昇(200/120mmHg以上)で起こる場合が多い。
  • 脳血管の自動調節能(=血圧変化に応じて、脳の血流を一定に保つ働き)を超えて血圧が上昇することにより、脳血流の増加や血漿成分の漏出による脳浮腫が生じる。

症状

  • 頭痛、悪心、嘔吐、けいれん、視覚障害など。

検査と診断

  • MRIで大脳半球の後半部(後頭葉、頭頂葉)の白質を中心に、浮腫性の異常信号を認める。この変化は、通常可逆性であり、可逆性後部白質脳症症候群(RPLS)とも呼ばれている。
  • 脳血管障害との鑑別が重要となる。

治療法

  • 点滴静注で降圧薬を投与し、すみやかに血圧を下げる。
  • 脳浮腫治療薬やけいれん治療薬を用いることもある。

代謝性脳症

現場で役立つポイント

  • 代謝性脳症は、原因となる代謝異常を治療することで脳症も改善されるが、治療が遅れると死に至ることがあるため、早期の診断・治療が重要となる。
  • 代謝性脳疾患の1つであるウェルニッケ脳症はビタミンB1(チアミン)欠乏により起こる。意識障害、運動失調、眼球運動障害の3主徴がよく知られている。
  • 頭部MRIは、ウェルニッケ脳症の診断、予後予測に有効である。両側視床、中脳水道周囲などに対称性の高信号を認める。
ウェルニッケ脳症(頭部MRI FLAIR画像)

どんな疾患・病態?

  • 全身性の代謝異常により起こる急性の脳機能障害。
  • 意識障害をもたらす代表的な疾患の1つである。
  • 肝不全、腎不全や糖代謝異常(低血糖、高血糖)、電解質異常、ビタミン欠乏などにより生じる。

症状

  • 昏睡、意識障害、錯乱など。
  • 認識機能の障害などが強く、麻痺などの中枢神経の一部の障害による症状(局所脳症状)は、通常みられない。

検査と診断

  • 意識障害時には血圧、血糖、麻痺の有無、意識レベルの確認などを行う。
  • 脳血管障害との鑑別が重要となる。
  • 血液検査:血糖、アンモニア、ビタミン(特にB1)、電解質、腎機能、血流ガスなど。
  • 脳波検査、CTやMRIによる画像診断などを用いる。

治療法

  • 原因となっている代謝異常を改善し、全身の呼吸・循環・代謝状態を保つ。