私たちの一生ナース宣言 中村惠子さん|ナースフル


看護師は社会の宝物。生涯、働き続けられる社会とキャリア形成・発展させる制度を整えたい 札幌市立大学 副学長/大学院看護学研究科長/教授 中村 惠子さん

プロフィール

中村 惠子(なかむら けいこ):札幌医科大学付属病院、杏林大学医学部付属病院を経て、1993年より杏林大学保健学部教授、2000年より青森県立保健大学教授、2006年より札幌市立大学教授。専門分野は救急看護、急性・重症患者看護、看護管理、人材育成、看護継続教育など。


認定看護師・専門看護師の制度立ち上げに関与から約20年

――看護師のキャリアアップの選択肢が増えてきました。この点について、どうお考えですか?

 私は、認定看護師や専門看護師の制度を立ち上げるときから日本看護協会で制度立案に携わっていました。「(こういった制度を)早く整備しないと、看護の質向上やキャリアステップは遅れるばかりです」と、この制度ができたときには各方面にお願いしてきました。ひとくちに看護といっても領域はとても広く、各々の領域でより力を発揮する看護師の必要性を感じていたからです。とくに私は杏林大学病院で高度救命救急センターの師長(後に看護部長)をしていたこともあり、救急領域やクリティカルケア領域において、このことを痛感していました。

 看護の領域の広さ、という点では、看護基礎教育を卒業して臨床に入った看護師が困惑することが少なくありません。ですから看護師のキャリアを考えると、基礎から臨床への継続教育、つまり看護学生から看護師まで継続して教育をしていくことが重要となります。いうまでもなく、看護師にとって最も大切なのは実践教育です。「看護は実践の科学」といわれるように、知識としてもっているものを“患者さんにどう実践できるか”が勝負なのです。そこで若手の看護師に、実践をバックアップしながら生涯学習するプログラムを始動させています。

――具体的にはどのようなシステムなのでしょうか?

 看護学生が看護師になり、病院に入職してから大切なことは

1年目=自分の生活管理がきちんとできること

2年目=看護師としての土台づくりをすること

3年目=自分で考えながら看護をしていく力をつけること

です。この3年間を私たち大学側がサポートする仕組みをつくっています。 「シャトル研修(往還型研修)」といって、1年目の看護師には、札幌と東京で7月と11月にそれぞれ3~4時間の時間を設けて教員による講習を行っています。また、同期生との懇親会も設けています。この時期の卒業生たちは“自分だけがしんどい”と思っていますから、同級生と話ができると“気持ちのドレナージ”になるのです。2年目と3年目は年に1回行っていますが、卒業生の60~70%が参加しています。おかげさまで病院側にも大変好評です。このようなことが制度化され、日本中の看護師をバックアップできるようにならないかと夢を抱いています。

昨年、40年前にかかわった患者さん(当時10代)が、中村さんを探し当てて来訪された。この花は、その方からの贈り物。「『あのとき、看護師さんから生きる力をもらった。ずっとお礼が言いたかった』と。看護師冥利に尽きます」(中村先生)

大学のラウンジにいた札幌市立大学看護学部生。看護学生の10%が男性だという。

高齢社会の日本では、看護師は国の宝物。看護師が長く働き続けられる社会を

――看護の専門性とキャリアの関係についてはどうお考えですか?

 いまや臨床現場では、高度・複雑化していく医療を理解していないと看護師としての力を十分に発揮できなくなくなっています。看護が医療の枠組みのなかにある以上、今後もこの傾向は強まるでしょう。ですから看護師として5年くらい働いたとき「自分が将来どう活動するのか=キャリアをどうするのか」と考えるのはごく自然のことだと思います。

 本大学院の博士前期課程の専門看護師コースに在学している人は、キャリア8年目以降の看護師が多く、長期履修制度などを利用して働きながら通っている方も大勢います。この年ごろの女性は結婚・出産・育児というライフイベントが重なりますが、看護師として成長しようという人は、私たち教育者も支援しなければいけないし、サポートする制度と土壌を整えるよう、社会にはたらきかけていく必要があると思っています。

 看護師が出産・育児をしながら活動できる社会をつくることは、少子・超高齢化の日本にあっては急務です。高齢社会では、看護職や介護職は国にとっての財産! 看護師が長く働き続けられる社会をつくることが、私の役割と考え活動しています。

札幌市立大学看護部のキャリアアドバイザー、香城綾さんと。香城さん自身も看護職で、現在は看護学生の進路や学習法などさまざまな相談にのっている。

札幌市立大学

札幌市立大学

住所/札幌市中央区北11条西13丁目

看護学部とデザイン学部から成り、看護学部のある
桑園キャンパスは札幌市立病院(810床)に隣接。

取材日:2013年1月11日

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