横浜市 看護師復職支援 医療政策課長へのインタビュー|ナースフル


横浜市復職支援特集 行政と医療機関が協働し、看護師の復職を支援「横浜市看護師復職支援事業」の取り組み

取材協力
横浜市 医療局医療政策部医療政策課長 倉本裕義さん

看護師不足が続くなか、各医療機関ではワーク・ライフ・バランスを重視した働き方や保育室の整備などを進め、看護師確保の対策を進めています。潜在看護師の復職対策もそのひとつですが、神奈川県横浜市では、その対策の一環として行政が医療機関で行う復職支援研修への補助を行っています。横浜市の現状とその狙いについてお話をうかがいました。

18歳人口減少で潜在看護師確保が重要に

横浜市の看護師の現状を教えてください。

厚生労働省が行った調査によると、現在、横浜市内には約2万9000人の看護師が医療機関や地域、行政などで従事しています。現状、横浜市内では、目標とする採用数を上回っている医療機関が多くなっていますが、多様な働き方が増えているなかで、その目標人数の設定の基準が医療機関によっても異なりますし、目標採用数に届かない医療機関もあります。

横浜市民意識調査でも医療への要望は常に上位にあります。横浜市としては、看護師確保のために行政に何ができるのかを考え、それを支援していくことが、市民の安全、安心につながると考えています。

横浜市が潜在看護師に対する復職支援事業を開始した背景を教えてください。

市内で従事する看護師を確保するため、横浜市では、看護専門学校の運営を支援しています。しかし、18歳人口が減少するなか、看護師のなり手自体が減っていくことも懸念されています。

その一方で、高齢者は増加しており、団塊の世代が75歳を迎える2025年まであと8年となりました。医療が必要となる人口が増えることが見込まれるなか、横浜市で安心して医療を受けられる体制を維持するためには、看護師を確保することが重要であり、潜在看護師の活躍が求められています。「看護師等の人材確保の促進に関する法律」が改正され、2015年10月から離職看護師等の届出制度が施行されました。これにより、現在の職場を離職した場合などに、都道府県ナースセンターへ氏名や連絡先などを届け出ることが努力義務となりました。しかし、制度開始から1年半ほどしか経っておらず、市内の潜在看護師数を把握するのは難しいのが現状です。平成25年度厚生労働科学研究では、全国の潜在看護師を約70万人と推計しています。この数字から横浜市内の潜在看護師をさらに推計すると、1万4000人程度と考えられます。この潜在看護師のうち、多くの方に臨床や地域に戻っていただくことが、今後の市の医療政策においても重要なポイントのひとつだと考えています。

これまでは、看護師の確保は各医療機関等の努力によって行われてきましたが、この10年で大きく状況は変化しています。これからは、看護師確保を行政の役割としても捉えています。

各地区で複数の病院が連携し、復職支援研修を実施

横浜市の看護師復職支援事業はどのようなものでしょうか?

看護師復職支援事業は、市内各地域の複数の医療機関が協力して行う潜在看護師への再就職対策に補助を行う制度です。医療機関見学会や復職のための実技研修を行う医療機関をグループとして支援するもので、平成20年度から行っています。地域によって研修内容に多少の違いはありますが、横浜市の潜在看護師が複数の医療機関を見学し、最新の医療機器や採血などの看護技術を体験できる研修制度です。

ブランクのある看護師は現場への復帰に対する不安が大きいと思います。この研修を通じて、安心して自身のキャリアをつなげていただきたいと思います。

研修終了後には参加者にアンケートを実施し、どんな研修を受けたいかなど、対象となる潜在看護師の皆さんのニーズを把握し、市に報告してもらっています。横浜市としては、参加者の声、研修を実施する医療機関の意見を反映させながら、よりよい事業にしていきたいと考えています。

研修の情報はどこで得られるのでしょうか?

横浜市では市のホームページや広報誌に研修の情報を掲載しているほか、神奈川県ナースセンターと連携して、離職時等に届け出た看護師向けのメールマガジンでもお知らせしています。今後も、横浜市の行政ツールを活用し、必要な情報を潜在看護師のみなさんにお届けしていきたいと考えています。

2016年度にこの事業に参加したのは、市内7グループで、計14回の研修が行われました。市では補助の対象や項目を決めていますが、研修の細かい内容については各グループや施設の独自の視点がありますので、工夫しながら実施していただいています。

看護師のニーズとのマッチングをサポート

今後はどのような対策を考えていますか?

各医療機関では、看護師のニーズを把握して働きやすい環境を整えていますが、本当に看護師のニーズに合っているのか、市ができるだけ本音を拾い上げ、現在の各医療機関の体制とのマッチングをサポートしていけたらと考えています。高齢化によって医療需要の高まりは急速に進んでいます。一方で人材の育成はすぐにできるものではありません。病院だけでなく、介護施設、在宅医療など、看護師の活躍できる場は広がっています。2025年に向けて医療資源を整備し、市内でひとりでも多くの看護師に活躍してもらえるように看護師確保の対策を今後も進めていきたいと考えています。

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