第1章 解剖と生理 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

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第1章解剖と生理

食道、胃・十二指腸、小腸・大腸、肝臓、胆道、膵臓の解剖と生理について解説しています。

食道

解剖

食道とその周囲
  • 食道は咽頭と胃をつなぐ、全長約25cm、内径約2cmの管。
  • 頸部食道胸部食道腹部食道に分けられる。
横隔膜:呼吸筋の1つで、胸腔と腹腔を分けている。

食道の粘膜

食道の粘膜
  • 扁平上皮細胞から粘液を分泌する。
  • 食道の外側には漿膜がないため、癌が周囲に浸潤しやすい。

食道の働き

  • 食べ物が食道から胃に送られる流れは、以下のとおり。
  • 食べ物の嚥下時に、上部食道括約筋が反射的に弛緩する。
  • 口側の輪状筋が収縮、肛門側の輪状筋が弛緩する(これを蠕動運動という)ことで、食べ物は移動する。
  • 下部食道括約筋が、反射的に弛緩して、食べ物を胃に送り込む。
  • すぐさま下部食道括約筋が緊張し、胃酸や食べ物が食道内に逆流するのを防ぐ
食道裂孔ヘルニアとは?

食道裂孔がゆるんで、胃の一部が胸腔内に脱出した状態をいう。高齢者、肥満者に多い。主な症状として、胃液の逆流によって逆流性食道炎を併発し、胸やけなどが多くみられる。

漿膜:臓器の表面を包んでいる薄い膜のこと。

胃・十二指腸

解剖

は、噴門部胃体部前庭部に分けられる。
胃体部を3等分して、体上部(U)体中部(M)体下部(L)とする。
十二指腸
十二指腸は、胃と小腸の間にあり、幽門からトライツ(Treitz)靭帯までをいう。
球部下行部水平部上行部に分けられる。
胃

胃の粘膜

  • 噴門腺領域:粘液を分泌。
  • 胃底腺領域

主細胞:ペプシノゲンを分泌。
壁細胞:迷走神経刺激やガストリン刺激によって、胃酸を分泌。
副細胞:粘液を分泌。
内分泌細胞:ソマトスタチン、セロトニン、ヒスタミンなどを分泌。

  • 幽門腺領域:粘液を分泌。G細胞よりガストリン(消化管ホルモン)を分泌。
ペプシノゲン:胃粘膜でつくられる蛋白分解酵素で、ペプシンの前駆体となる。
胃の粘膜

胃・十二指腸の働き

  • 胃・十二指腸は、食べ物の粥状化消化・吸収を担う。
  • 胃液は1日に1~2l分泌される。胃液の大半が塩酸(pH1~2の強酸)であり殺菌作用を持つ。残りはペプシン、ムチン(粘膜保護作用を持つ粘液)など。
  • 胃液分泌のメカニズム:頭相、胃相、腸相の3相がある。

頭相:嗅覚や味覚の刺激→大脳中枢→迷走神経→壁細胞→胃酸分泌
胃相:
①食べ物が胃に入る→迷走神経→胃酸分泌
②食べ物が胃に入る→幽門腺のガストリン分泌→壁細胞→胃酸分泌
腸相:胃液と攪拌・消化された内容物→十二指腸細胞刺激→セクレチン、コレシストキニンなどの分泌→膵液・胆汁分泌を促進および胃酸分泌の抑制

  • 十二指腸の球部にあるブルンネル腺は、胃酸を中和する。
G細胞:主に胃幽門前庭部に存在し、ガストリンを分泌する。

小腸・大腸

解剖

小腸
小腸
小腸は、十二指腸から続いて、さらに空腸回腸に分けられる。
空腸と回腸は腸間膜で吊り下げられている。
大腸
大腸は、盲腸結腸直腸に分けられる。
結腸は上行結腸横行結腸下行結腸S状結腸に分けられる。
腸間膜:腸を吊り下げている腹膜の一部。

小腸・大腸の粘膜

小腸の粘膜 大腸の粘膜
  • 小腸の内腔は絨毛という突起に覆われており、その表面には微絨毛がある。
  • 小腸の内壁と粘膜ヒダ、絨毛、微絨毛の表面積を合わせると、テニスコートほどの広さになる。
  • 大腸には絨毛はない。
  • 大腸には粘液を分泌する杯細胞が多い。

小腸・大腸の働き

  • 小腸でほとんどの栄養を吸収する。

糖質、蛋白質は、門脈・肝臓へと送られる。
脂肪は、十二指腸からの胆汁によって吸収され、小腸粘膜表面、リンパ管を経て全身に運ばれる。

  • 胆汁酸は回腸で吸収されて再び肝臓に戻り、胆汁中に出る(腸肝循環)。
  • 大腸は水分を吸収する。
  • 大腸内には70~80種類の細菌が共生している。
  • 糞便は蠕動運動によって肛門に送られる。

肝臓・胆道・膵臓

解剖

肝臓・胆道・膵臓
肝臓
肝臓は体重の約1/50を占める、体内最大の臓器
左葉右葉の2つに分かれている。
肝臓の血管ルートは、肝動脈門脈。肝動脈は酸素を供給、門脈は栄養素を供給している。
肝臓への血液供給は、門脈から約80%、肝動脈から約20%。
肝臓は、いったん細胞が死滅しても再生力がある。
胆道(胆嚢・胆管)
胆管は、無数の細い肝内胆管が集まり、肝臓の外で1本の管になる(総胆管)。
胆嚢は袋状の臓器。胆汁を貯蔵し濃縮する。
膵臓
長さ15cmの臓器。
膵臓は、膵頭部膵体部膵尾部に分かれる。
膵頭部は十二指腸に囲まれている。
膵尾部は脾臓に接している。
脾臓とは?

膵尾部の先にある、そら豆の形をした臓器。主な働きは、老化した赤血球の破壊、鉄の貯蔵。また、脾臓にはリンパ球が多く、免疫にも関与している。

リンパ球:骨髄で産生される白血球の1つ。免疫に関与する。

肝臓の働き

  • 食べ物から吸収した栄養素を代謝・貯蔵する。

ブドウ糖:グリコーゲンとして肝臓に貯蔵され、必要なときに再びブドウ糖に分解されて、血中に送り出される。
蛋白質:小腸でアミノ酸の形で吸収され、肝臓で再び蛋白質に合成される。
脂肪:小腸で脂肪酸とグリセリドに分解され、肝臓で再び中性脂肪として再合成・貯蔵。コレステロールの合成に用いられるとともに、蛋白質と結合して血液中に放出される。

  • 胆汁を生成・分泌する。

胆汁は、脂肪の消化・吸収を助ける。
胆汁は、胆汁酸、ビリルビン、脂質などから構成される。

  • 体内の不要物に対する解毒作用を持つ。

アンモニアは肝臓で尿素に代謝され、腎臓から尿中に排泄される。
アルコールは肝臓で、アルコール脱水素酵素(ADH)を介して、有害物質のアセトアルデヒドに変化し、さらに酢酸に分解される。
薬物は肝臓において、チトクロームP450を含んだ酵素によって酸化還元される。代謝物は胆汁中に排泄され、一部は尿中に排泄される。

  • アルブミン、血液凝固因子など、さまざまな蛋白質を生成する。
  • 門脈からの異物を肝臓のクッパー細胞が貪食して、生体を防御する。
  • ホルモンの代謝を行う。
  • 胎児の肝臓には造血機能がある。
クッパー細胞:肝臓において異物の貪食、免疫応答などを担うマクロファージの一種。

胆道(胆嚢・胆管)の働き

  • 胆嚢は、肝臓で生成された胆汁を貯蔵・濃縮する。
  • 十二指腸に食べ物が入ると、消化管ホルモンの一種であるコレシストキニン(CCK)の分泌によって、胆嚢が収縮し、胆汁が総胆管を経て十二指腸内に流出される。

膵臓の働き

  • 消化酵素を産生する外分泌機能を持つ。

膵臓の領域の95%が外分泌機能として働く。
1日1000mlの膵液を生成・分泌する。
膵液は、重炭酸ナトリウムを含む弱アルカリ性。
膵液の消化酵素
脂肪分解酵素:リパーゼ
蛋白分解酵素:トリプシン
炭水化物分解酵素:アミラーゼ、ラクターゼ

  • ホルモンを産生する内分泌機能を持つ。

ランゲルハンス島B細胞:インスリンを分泌。インスリンは、血糖値を下げる働きを持つ。
A細胞:グルカゴンを分泌。グルカゴンはインスリンと相反し、血糖値を上げる働きを持つ。
D細胞:ソマトスタチンをつくる。ソマトスタチンは、インスリンとグルカゴンの分泌を調節する。

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