第4章 主な検査法 神経生理学的検査 ~ ナースフル疾患別シリーズの看護師基礎知識 ~

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第4章主な検査法
神経生理学的検査

髄液検査、画像診断、神経生理学的検査などについて、検査方法、注意すべき副作用などを解説していきます。

脳波検査

現場で役立つポイント

  • 頭皮上に電極を左右対称に貼りつけてベッド上に横になり、安静状態で脳波を記録する。
電極の位置
  • 侵襲性はなく安全である。
  • 脳波は状態によって変化するため、繰り返し検査を行うこともある。
  • 検査中に患者が動いて電極がとれることがあるので、注意深く観察する。

特徴

  • 脳波とは、脳の電位変化を体外に誘導し記録したものである。
  • 電極ノリや脳波用キャップなどで、頭皮に電極を固定する。
適応
てんかんを診断するうえで、最も重要な検査。
意識障害、記憶障害、不随意運動を呈する患者の評価。
脳死判定に必須である。

脳波の種類

周波数
1秒間に繰り返される波の数。単位はHz(ヘルツ)。周波数による波の種類は下図のとおり。
周波数による波の種類
正常脳波
成人の覚醒時:α波があり、α律動(基礎波)という。α律動は後頭部に優位に現れるのが特徴。目を開けた状態ではα波は抑制され、低振幅(低電位)のβ波が現れる。
小児:幼児ではθ波が基礎波。小児でα波が増えてくる。
高齢者:α波は8Hzに近づき、θ波も増える。
異常脳波
「脳波の波形」を参照。
脳波の波形

針筋電図検査

現場で役立つポイント

  • 筋電図では、波形、振幅、持続を把握し、位相(波形が何回向きを変えたか)も観察する。
筋電図パラメータ

波形は、

  • 針電極の刺入時
  • 安静時
  • 随意収縮時

の3つのタイミングの電位変化を観察する。
検査後の筋肉の腫脹、手足のしびれが出現することがあるので、経過を観察する。

特徴

  • 針電極を筋腹に刺し、筋の電気的活動を記録するもの。
針筋電図検査
適応
筋力の低下、筋萎縮を呈する疾患の診断:脊髄の運動ニューロン障害、末梢神経障害、筋疾患。

主要な異常所見

神経原性変化
神経に障害がある場合の変化のこと。
振幅が大きく、持続の長い放電、多相性の放電が出現する。
筋原性変化
筋肉自体に障害がある場合の変化のこと。
振幅が小さく、持続の短い放電が主に出現する。
ミオトニー放電
刺入時に異常に長い放電をみる。
線維性収縮電位
神経支配を失った筋線維から出る自発放電。
筋線維束攣縮電位
脊髄運動ニューロンの異常発火により出る電位。

末梢神経伝導検査

現場で役立つポイント

  • 運動神経伝導検査と感覚神経伝導検査がある。
  • 電気刺激により、多少チクッと感じることがあると説明しておく。

運動神経伝導検査

  • 運動神経の近位部と遠位部の2点(刺激電極と記録電極)を別々に電気刺激して、その神経が支配する筋より誘発される活動電位波形を記録する。
  • 電極から電極の距離、刺激が電極から電極に伝わる時間を計算する。

感覚神経伝導検査

  • 末梢神経を直接、電気刺激して、誘発された活動電位を測定する。
  • 活動電位の方向が、感覚の伝達方向と逆方向になるもの(逆行法)と、同じ方向になるもの(順行法)の2つの方法がある。

検査部位

  • 上肢では正中神経と尺骨神経、下肢では脛骨神経、腓骨神経、腓腹神経で多く測定される。

反復刺激検査

現場で役立つポイント

  • 反復刺激検査では、下記の特徴が現れる(下図)。

漸減現象(waning):重症筋無力症
漸増現象(waxing):ランバート・イートン筋無力症候群

漸減現象(左)と漸増現象(右)

特徴

  • 運動神経伝導検査に準じて、末梢神経刺激を繰り返し行う。
  • 重症筋無力症などの神経筋接合部の機能の評価に用いる。
漸減現象(waning)
低頻度の刺激で、筋活動電位(M波)の振幅が減弱する現象をいう。重症筋無力症でみられる。
漸増現象(waxing)
ランバート・イートン筋無力症候群では、低頻度刺激でのM波の振幅は異常に小さく、高頻度刺激ではM波の振幅が著しく増加するのが特徴。

誘発電位検査

現場で役立つポイント

  • 体性感覚誘発電位(SEP)、視覚誘発電位(VEP)、聴覚誘発電位(聴性脳幹反応、ABR)がある。
  • 聴覚誘発電位の検査では、検査中に動くおそれのある人(小児など)は睡眠状態で検査を行う。

体性感覚誘発電位(SEP)

  • 上肢あるいは下肢や手などの末梢神経に、支配筋による弱い収縮を起こす程度の刺激を加え、それより中枢側の末梢神経、脊椎棘突起、頭皮上で出現する電位を計測する。
  • 感覚伝達経路の伝導障害の有無を評価する。

視覚誘発電位(VEP)

  • テレビ画面に格子縞模様を映して視覚刺激を与え、後頭部での電位変化を計測することにより、視覚路の異常を評価する。

聴覚誘発電位(聴性脳幹反応、ABR)

  • ヘッドホーンをして、カチカチという音を聞かせる。
  • 耳朶あるいは耳介後部の乳様突起での電位変化を計測することにより、脳幹部での聴覚伝導路の異常を評価する。
  • 意識障害に対する脳幹機能の評価として、しばしば用いられる。