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これからの緩和ケア ~小児・AYA世代、非がん患者も対象に~

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緩和ケア提供体制の課題とは

厚生労働省では2012年から緩和ケア推進のための検討会を重ね、がん診療連携拠点病院を中心に、緩和ケアの提供体制の整備、緩和ケア研修の開催、診療報酬上の算定などを進めてきました。

しかし、身体的苦痛や精神心理的・社会的苦痛の緩和が十分に行われていないがん患者さんが3~4割ほどいるとされています※1
また、がんと診断されたときからの緩和ケアは医療従事者の理解不足もあり、十分な提供体制が整っているとはいえない状況にあります。

※1 厚生労働省「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会おける議論の整理」資料より

2016年5月に開始された「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」では、全5回の検討会を重ね、緩和ケアの提供体制の課題として、次の3点を挙げています。

  • がん診療に携わる医療従事者側の体制
  • 社会的苦痛への対応
  • 緩和ケアの質の確保

医療従事者は患者さんの療養生活の質の向上に向けて、がんと診断されたときから必要な症状緩和の専門家につなぐこと、さらに相談窓口の活用に向けたアプローチを積極的に行っていくことが重要であるとしています。
また、医療機関においても、患者さんの適切な意思決定を支援するため、看護師や社会福祉士などの同席を基本に、自由に相談し、社会的問題に対応できるよう、支援方法を強化すべきとしています。

苦痛のスクリーニングは約9割のがん拠点病院で実施されているものの、対応が必要な患者さんへのフォローアップ体制が整った病院は約4割に留まっています。
人員の確保や実施方法の改良、対応方法などが今後の課題といえるでしょう。

がん拠点病院以外での緩和ケア

がん患者さんの増加に伴い、がん拠点病院以外でも緩和ケアが必要とされる患者さんが増えています。
約4割のがん患者さんががん拠点病院以外で治療を受け、約4分の3のがん患者さんは拠点病院以外で看取られています※1。
しかし、拠点病院以外では専門的な医療従事者の人員不足などにより、緩和ケアの提供体制が整っているとは言い難く、在宅も含めた緩和ケア提供体制の充実が求められています。

在宅においては、これまでがん拠点病院中心だった地域連携から、地域包括支援センターなどとの連携が求められるようになっており、かかりつけ医と共同で緩和ケアを提供するうえでのシステムづくりが課題として挙げられます。
また検討会では、退院後在宅で緩和ケアを継続するうえでは、訪問看護師や調剤薬局の薬剤師などとの連携が欠かせないこと、化学療法などを行う病院主治医とかかりつけ医によるがん患者2人主治医制も含めた検討が必要であるとしています。

AYA世代、非がん患者の緩和ケアの現状と課題

近年、小児・AYA世代(思春期・若年成人)のがん患者支援が話題となっています。
しかし、緩和ケアにおいてはその提供体制が未整備であり、特に在宅療養者への支援が不十分です。
小児がん患者への緩和ケアは苦痛の評価方法や薬剤の使用方法が成人と異なり、経験の少ない地域の医療従事者では小児がん患者さんの終末期(在宅ケア)に対応できないとの指摘もあります。
小児・AYA世代のがん領域に携わる医療従事者と緩和ケアのスタッフが情報を共有し、必要な緩和ケアの提供、連携体制を整備することが求められています。

また、本検討会では、がん以外の循環器疾患等の患者さんに対する緩和ケアにも言及しています。
国内における緩和ケアの対象はがん患者が中心でしたが、がん以外の病気を併発したがん患者さんや非がん患者さんなどの緩和ケアの充実も重要な課題です。
しかし、患者さんや家族の多くは、緩和ケア=がん患者が対象と認識しており、緩和ケアチームが非がん患者さんに対応できることを知らない医療従事者も少なくありません。
今後、非がん患者さんの緩和ケアの実情を踏まえて対策がとられていくものとみられ、その周知と提供体制の整備が大きな課題といえるでしょう。

参考
厚生労働省:がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=355813

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