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【保存版】医療費を大幅に下げる「高額療養費制度」の使い方

皆さん、こんにちは!
ナースフルらいふを担当している、伊集院よしみです。

このコラムでは、知らないと損をする「医療費」の話を何回かに分けてお届けしていきます。

今回は、病気やケガで高い医療費を払っても、お金が戻ってくる可能性のある『高額療養費制度』についてご紹介します。

30万円が9万円ぐらいに!?

「自分は健康だし、医療費のことなんて知らないよ」って言っている方も、ふとした時に転んで足を骨折するかもしれません。
そうなると、高い医療費がかかる可能性があります・・・。

でも、高く払いすぎた医療費を取り戻すための制度があるんです。
それが「高額療養費制度」。ズバリ、高く払いすぎた医療費を取り戻すための制度です。

今回の知識、いざという時に役立ちますよ。
それでは早速ご紹介します!

※この記事の内容は、2014年時点の内容です。
※制度が適用されるケースは「70歳未満」の方の場合で解説しています。
(70歳以上の人は少し内容が異なります)

あなたも使える「高額療養費制度」。
実は健康保険の制度だった!

高額療養費制度とは、一ヶ月の医療費が「決められた額」を超えた際、「払いすぎた分を後でお返しします」という制度です。

この制度を使えば、どれだけお金がかかったとしても、実際に自分が払うのは「決められた額」まで。
まさに、いざという時に使いたい制度なんですが、健康保険に入っていれば、基本的には誰でも利用できるんです。

あなたは保険証をお持ちですよね。
保険証があるということは、国民健康保険や会社の健康保険などに入っているってこと。

実は今回ご紹介する高額療養費制度は、健康保険の制度なんです。
つまり、保険証を持っている人なら、基本的には誰でも利用できるってことです。

保険証を持っているならだれでも!!会社員でも!フリーランスでも!

30万円の入院費なら21万円も戻ってくる!?
戻ってくる金額が分かる計算式をお教えします!

この高額療養費制度、なんとなんと、かなりの額のお金が戻ってくるケースもあるんです。
なぜ、そんなに戻ってくるのか?

それは次のようなルールがあるからです。
(※2015年1月診療分より、70 歳未満の所得区分が3 区分から5 区分に細分化されました。)

実は70歳未満の人の場合、1ヶ月の医療費負担額には「上限額」が設けられているんです。

所得区分 1か月の負担の上限額
区分ア(月収83万円以上など) 25万2600円+(医療費―84万2000円)×1%
区分イ(月収53~79万円以上など) 16万7400円+(医療費―55万8000円)×1%
区分ウ(月収28~50万円以上など) 8万100円+(医療費―26万7000円)×1%
区分エ(月収26万円以下など) 5万7600円
区分オ(低所得者:住民税非課税の人など) 3万5400円

この表を元に、実際に支払う金額を計算してみましょう。
今回は「区分ウ」のケースで話を進めていきますね。

たとえば、1ヶ月の入院費が「100万円」だとします。
健康保険に入っていれば「3割負担」でOKですから、窓口で支払うお金は「30万円」になりますね。

で、この30万円を先ほどの表に当てはめると、

8万100円+(100万円-26万7000円)×1% = 8万7430円

ということになります。
つまり、「8万7430円」しか負担しなくて良いのです!

だから、窓口で支払った30万円から、「8万7430円」を引いた金額が戻ってきますので、「21万2570円」が戻ってくることになります!

これが高額療養費制度なんです。

国が用意している制度なのですが、知らない人が多いのも事実。
是非、今回の記事を、友達や周りの人に教えてあげてください。

ただし!
この制度には次の注意点があります。

高額療養費制度を使う際にはここに気を付けよう!

この高額療養費制度ですが、以下のケースには気をつけてください。

  1. 月をまたいで医療費がかかってしまったケース
  2. 複数の医療機関にかかったケース
  3. VIP待遇を受けてしまったケース

注意その1
月をまたいで医療費がかかってしまったケース

高額療養費制度でお金が戻ってくるのは、「1ヶ月の間に、医療費がたくさんかかったとき」です。
この1ヶ月とは、「毎月1日からその月の月末まで」を指します。

たとえば、

  • 8月24日~8月31日までで、7万円かかった。
  • 9月1日~9月8日までで、7万円かかった。

という形で、8月21日~9月10日まで合計14万円かかったとしても、8月にかかった分と9月にかかった分を一緒にはできません。

そうなると、高額療養費制度でいう「1ヶ月の負担の上限額」に達しないので、この制度の恩恵を受けられないのです。
注意してください。

注意その2
複数の医療機関にかかったケース

続いて、複数の医療機関にかかるケースです。

たとえば、今月は「○○クリニック」と「△△医院」に行った。そんなケースがありますよね。
その場合、通常、それら医療機関で支払った医療費を「合算」して適用することはできません。

複数の医療機関

お金が戻ってくるかどうかは、一つの『レセプト』の金額がいくらだったかで決まります。
レセプトとは病院がつくる「医療報酬の明細書」のこと。

このレセプトは、各医療機関で1ヶ月ごとに一人一つにまとめてつくられますが、「外来」と「入院」は別のレセプト扱いになっています。

そのため、


  • A病院に入院して20万円かかった
    →「8万円+α」より多いので、「8万円+α」を超えた分は戻ってくる
  • A病院の外来で1万円かかった
    →「8万円+α」より少ないので、お金は戻らない
  • B病院の外来で1万5,000円かかった
    →「8万円+α」より少ないので、お金は戻らない

ということになります。

しかし、実は、「一つ一つの医療費が上限には届かないけれど、それなりに高い場合」に特別な救済措置が設けられています。

2万1000円を超えるレセプトなら、ほかのレセプトと合算してもOK!

実は、窓口で支払った金額が2万1000円を超えるレセプトは、ほかの2万1000円を超えるレセプトと合算することができる、という特別なルールがあるんです。

たとえば、


  • A病院に入院して7万円かかった
    →「8万円+α」より少ないので、お金は戻らない?
  • A病院の外来で3万円かかった
    →「8万円+α」より少ないので、お金は戻らない?
  • B病院に入院して7万円かかった
    →「8万円+α」より少ないので、お金は戻らない?

こんなケースがあった場合、個々のレセプトが合算できないため、お金が戻らないのでは・・・と心配になられると思いますが、実は、個々のレセプトが2万1000円を超えているなら、合算してもOK!なんです。

だから上記の例の場合、A病院の入院費(7万円)+A病院の外来(3万円)+B病院の入院費(7万円)の合計17万円に対して、制度が適用されますので、17万円から「8万円+α」を引いた分が戻ってくる!というわけです。

とっても嬉しいルールですよね。

注意その3
VIP待遇を受けてしまったケース

あと、気をつけたいのは「かかった医療費によってはお金を返してもらえないケース」があるということです。
たとえば、「ほかの人と一緒の病室はイヤなので、個室にして」などとリクエストしてVIP待遇を受けると、『差額ベッド代』という費用がかかりますが、このお金は戻ってきません。

広い個室

また、保険証が使えない最先端の治療(先進医療)を受けた場合も、同様にお金は戻ってきません。

さらには、入院中の食事代も戻りませんので、注意してくださいね。
(まあ、食事代は1食260円ですから、普通の食事よりも安く済んでいると考え、涙を飲むしかなさそうです)

知っておくとさらにおトクな仕組み

先ほど、「2万1000円を超えるレセプトなら、ほかのレセプトと合算してもOK!」ということをお伝えしましたが、このような特別なケースでトクになる仕組みが、あと3つあります。

それを紹介しておきますね。

  1. 家族みんなでたくさんお金を支払っても安心の『世帯合算』
  2. 1年に何度もお金を払っていれば、4回目からは上限額が下がる!
  3. 会社で加入している健康保険によっては、さらにトクをするケースも!

おトクな仕組み1
家族みんなでたくさんお金を支払っても安心の『世帯合算』

世帯合算の例(同じ健康保険に加入している家族の場合。月収は53万円未満)

たとえば、夫が2万4000円、妻が6万円、長男が3万円、長女が5000円かかったといったケースがあると思います。
その場合、同じ健康保険に加入している家族の分を合算し、高額療養費制度を適用できる可能性があります。

これを『世帯合算』といいます。

4人家族

この世帯合算による合計金額が自分で支払う1ヶ月の上限よりも多ければ、お金が戻ってきます!
ただし、この世帯合算のケースでも、先ほどお伝えしたレセプトと同じように、個々のレセプトが2万1000円を超えている必要があるので注意してくださいね。

おトクな仕組み2
1年に何度もお金を払っていれば、4回目からは上限額が下がる!

1年に何度も高額療養費制度を適用できるほど、高額な医療費を複数回支払うことがある人には『多数回該当の特例』というルールがあります。

これは、過去1年以内に自分で払う額を超えた月が4回以上あった場合、4回目からの上限額が下がり、自分で払う額はもっと少なくすむという仕組みなんです。
つまり、4回目の医療費から、もっとたくさんのお金が戻ってきます。

病気が長引いたときにありがたい制度ですよね。
(ちなみに、この仕組みにも、先ほどの世帯合算などが適用されます)

多数回該当の負担の上限額

※70歳未満の場合

所得区分 1ヶ月の自己負担限度額
区分ア(月収83万円以上など) 14万100円
区分イ(月収53~79万円以上など) 9万3000円
区分ウ(月収28~50万円以上など) 4万4400円
区分エ(月収26万円以下など) 4万4400円
区分オ(低所得者:住民税非課税の人など) 2万4600円

おトクな仕組み3
会社で加入している健康保険によっては、さらにトクをするケースも!

そして、3つ目は、会社員の人にとって嬉しい情報です。

会社員は、勤務先を通して健康保険に入っていますが、健康保険の種類によっては、自分で払う額がもっと少なくすむことがあります。
『高額療養費付加給付』というものがあるからです(協会けんぽにはありません)。

●参考:サントリーさんが入っている健康保険の場合
http://www.suntorykenpo.or.jp/shiori/byoukikega/kougaku_kyufu.html

種類によって内容は様々ですが、なかには、自分で払う額は1万円、などの例もあります!

会社から福利厚生や健康保険についてのパンフレットが配られていれば、その中身をチェックしましょう。
もしくは、福利厚生を担当する部署(総務など)に聞いてみても良いですね。

高額療養費制度が適用されるのは、診察を受けた月の「翌月の初日から2年間」
自分が手続きをする必要あり!

ということで、高額療養費制度の魅力を解説してきましたが、この制度は「自分で手続きする必要がある」ということを忘れないでください。

会社員の方は、保険証に書かれている保険協会の連絡先に問い合わせしてください。
また、会社の福利厚生を担当している部署(総務部など)に聞くのもいいですね。

フリーランスの方は国民健康保険なので、市区町村役場の窓口に問い合わせてください。

●全国健康保険協会のサイトにも手続き方法が書かれています。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030/r150

ちなみに、手続きができるのは、診察を受けた月の「翌月の初日から2年間」。
手続きをすれば、手続き後、3ヶ月くらい経てばお金が戻ってきます。

「去年、入院費をたくさん払っちゃった!」という人も、今からでも間に合いそうです。
2年を過ぎてしまうと時効になるので、気をつけて!

最初の支払時に高額療養費制度を適用できる!?
お金が苦しい方は「限度額適用認定証」を使おう!

高額療養費制度を使えば「後からお金が戻ってくる」ことがわかりました。

しかし、ここで気をつけないといけないのが「後から」戻ってくるということです。
そして、お金が戻ってくるためには少なくとも3ヶ月くらいはかかります。

金額が大きいと結構ツライですよね・・・。

ですが、安心してください!

そんな時に利用したいのが『限度額適用認定証』
(住民税がかかっていない人は『限度額適用認定・標準負担額減額認定証』となります)

これをあらかじめ医療機関に提出しておけば、高額療養費制度を前もって適用することができるので、医療費の負担は自分で支払う上限額だけを支払えばOK!となります。
つまり、後から戻ってくる金額分を、先に引いちゃうということです。

お金の不安を小さくしてくれる、切り札みたいな仕組みですよね。

●全国健康保険協会「医療費が高額になりそうなときは限度額適用認定証をご利用ください」より

医療機関等の窓口でのお支払いが高額な負担となった場合は、あとから申請いただくことにより自己負担限度額を超えた額が払い戻される「高額療養費制度」があります。
しかし、あとから払い戻されるとはいえ、一時的な支払いは大きな負担になります。

70歳未満の方が「限度額適用認定証」を保険証と併せて医療機関等の窓口(※1)に提示すると、1ヵ月 (1日から月末まで)の窓口でのお支払いが自己負担限度額まで(※2)となります。

※1 保険医療機関(入院・外来別)、保険薬局等それぞれでの取扱いとなります。
※2 同月に入院や外来など複数受診がある場合は、高額療養費の申請が必要となることがあります。保険外負担分(差額ベッド代など)や、入院時の食事負担額等は対象外となります。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3020/r151

この限度額適用認定証は、健康保険の窓口で申請すれば、発行してもらえます。
(自分が入院中で動けないときなどは、家族が申し込んでもOKです)

●こちらに申請の流れが解説されています。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3020/r151

ちなみに、限度額適用認定証を使ってもお金がなくて医療費が払えない人は、利息なしでお金を貸してもらえる可能性もあります。
『高額療養費貸付制度』というものがありますので、それもチェックしてくださいね。

まとめ。
高額療養費制度を賢く使うための10ポイント

さて、いかがだったでしょうか?

高額療養費制度は、保険証を持っている人なら、基本的には誰でも利用できる制度。
賢く使って、おトクに医療を受けてくださいね。

今回のまとめを10個のポイントにまとめました。
いざという時のために、是非メモしておいてくださいね。


  1. 医療費にはひと月あたりの上限額があり、それを超える分は戻ってくる
  2. お金が戻るかどうかは、レセプトごとの額で決まる(2万1000円以上のものは合算できる)
  3. 差額ベッド代、先進医療の費用、食事代は対象外
  4. 家族みんなの医療費に『世帯合算』を適用することができる(2万1000円以上のものに限る)
  5. 1年に何度もお金を払っていれば、4回目からは上限額が下がる
  6. 会社で加入している健康保険によっては、『高額療養費付加給付』という仕組みにより、さらにトクをするケースも
  7. 高額療養費制度の適用が可能なのは、診察を受けた月の「翌月の初日から2年間」
  8. 高額療養費制度の申請は自分でおこなう必要がある
  9. 『限度額適用認定証』があれば、最初の支払時から高額療養費制度が適用できる
  10. お金がなくて医療費が払えない人は、利息なしでお金を貸してもらえる『高額療養費貸付制度』という制度が使える可能性がある

●厚生労働省のページ「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html

やっぱり、保険証を持っているだけで使えるっていうのが嬉しいですよね。

今回のノウハウが、皆さんの生活をもっと快適にしますように。
では、次回またお会いしましょう。

伊集院よしみはこう考える!
医療費の節約も大事だけど、そもそも医療費が発生しないようにするには?

今回の記事を書いていて、ふと考えたことがあります。
それは、医療費の節約も大事だけど、できれば健康な身体を維持して病院にはかかりたくないということ。
つまり、医療費の節約も大事だけど、そもそも医療費が発生しないように健康に生きられるのであれば最高だということです。

そういうことを考えると、もし、自分が社会人なら、日々のお仕事環境は超大切。
ストレスがたまる職場だったり、お給料の少ない職場だったりすると、精神的にも肉体的にもツライものがあります・・・。
そういった環境が、将来的に自分の身体を壊す原因になるかもしれません。

私は看護師長なので、同じ職場の他のナースのワークバランスを気にするのですが、もし、あなたがナースなら、以下の読み物コーナーも参考になると思います。

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