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貯蓄150万円あれば医療保険は必要なかった!?保険選びの考え方

皆さん、こんにちは!
ナースフルらいふを担当している、伊集院よしみです。

このコラムでは、知らないと損をする「医療費」の話をお届けしています。

あなたは民間の医療保険に入っていますか?

テレビで毎日流れる●●生命などの医療保険のCM。
どのCMも、観ていると「将来のために入っておいた方が良さそう・・・」という気持ちになります。

もし、自分が病気になって入院したらどうしよう。
もし、自分が入院して働けなくなったらどうしよう。

そんな不安を抱く方にとって、医療保険は心強い味方に思えます。

医療保険って本当に必要・・・!?

たしかに、医療保険に入っておけば、「もしもの時」のリスクを減らすことができます。
たとえば、お金がない状態で病気や事故で入院しても、医療保険からお金がもらえるので、安心して治療を受けることができます。

ですが・・・、その「もしもの時」が来ても、お金がもらえないケースがあるとしたらどうでしょう?

実は、医療保険に入って、お金を払い続けていたとしても、一定の条件下でしかお金が支払われないのです。そして、その条件は意外と厳しいものだったりします。

そう考えると、毎月、医療保険にお金を払い続けるよりも、そのお金を「貯蓄」に回した方が合理的だと思いませんか?

たとえば、毎月5000円を医療保険に払い続けるのであれば、その金額を貯蓄に回すだけで、20年で120万円(!)も貯蓄できるのです。

今回は、医療保険にすでに入っている方、そして、これから入ろうとしている方を対象に、医療保険の必要性について、そもそも論でお話します。


※この記事の内容は、2014年9月時点の内容です。
※高額療養費については「70歳未満」の方の場合で解説しています。
(70歳以上の人は少し内容が異なります)

実は、多くの人は医療保険が必要ない!?
“そもそも論”で考えればわかる、医療保険のカラクリ

医療保険を検討する際、重要となるのが、「もしものとき、自分にはどれくらい医療費がかかるのだろう・・・?」ということです。

多くの人は、一生のうちで何度か病院のお世話になります。
体調不良で通院したり、病気や事故で入院したり・・・、その都度、医療費は発生します。

この医療費、風邪やちょっとしたケガなら安いのですが、入院を必要とする場合には、大きな負担が生じます。

入院時の病室

たとえば、急性心筋梗塞で倒れると、約16日入院することになり、医療費は約190万円、また、脳出血の場合は、約40日入院することとなり、医療費は約270万円もかかります(※いずれも平均的な金額)。

とても大きな金額ですね・・・。

ただし、健康保険に入っていれば、医療費は3割負担です。
よって、結局のところは、それぞれ57万円、84万円となるのですが、それでも、まだまだ高い金額です。

ここで、「うーん、なるほど。だから、民間の医療保険が必要なのか」と思われた方は要注意です。

前回の記事を思い出してください。
私たちには「高額療養費制度」という強い味方がいることを忘れていませんか?

医療保険が必要ない理由~その1
入院や手術の医療費は「高額療養費」を使えば安く済むから

前回、病気やケガで高い医療費を払うとお金の一部が戻ってくる制度があるというお話をしました。
その名は「高額療養費制度」

●【保存版】医療費を大幅に下げる「高額療養費制度」の使い方
http://nurseful.jp/career/article/高額療養費制度/

これは、健康保険に入っていれば基本的に誰でも利用でき、1ヶ月の医療費負担額の上限である「8万円+α」を超えた金額は戻ってくるという制度です。
(※1ヶ月の負担上限額は、所得によって異なりますが、ここでは月収53万円未満の一般層を対象としています)

つまり、先ほどの例であげた、急性心筋梗塞で約57万円、脳出血で約84万円かかったケースでも、この高額療養費制度を用いれば、支払った金額の大部分が戻ってくることになります。

病室

「8万円+α」の金額を支払うのが厳しい人は医療保険を検討した方がよいのですが、「数十万円もの治療費がかかる時に備えて医療保険に入る」という考えは必要ない、といえるのです。

※ただし、病気が長引いたり、病気やケガが続いたりして、「8万円+α」を何度も(何か月も)負担することになる場合、合計の負担額は数十万円になります。
そうなったとき、貯蓄が少ない人にとっては、医療保険は強い味方となります。

医療保険が必要ない理由~その2
会社員なら、仕事を休んでも「給料の3分の2」が健康保険から支給されるから

続いて、医療保険に入る動機として多いのが、「病気やケガで仕事を休むと、収入がゼロになりそうで心配だから」というものです。

仕事を休むと心配

でも、安心してください。
会社員の場合、健康保険の「傷病手当金」という制度が使えるのです。

傷病手当金とは、病気やケガで連続して4日以上仕事を休み、会社からお給料が支払われない場合、お給料の3分の2に相当する金額が、最大1年6カ月間支給される、という制度です。
しかも、この制度、入院の場合だけでなく「自宅療養」の場合も「体の状態と仕事の内容から考えて勤務するのは無理」と判断されれば給付の対象となります。

●参考:傷病手当金について
http://www.suntorykenpo.or.jp/shiori/byoukikega/kougaku_kyufu.html

また、会社が加入している健康保険の種類によっては、もっとたくさんの給付が受けられるケースがあるほか、「福利厚生制度」として見舞金を支給する会社もありますから、「自分が倒れたら収入がゼロになる・・・」という心配はなさそうです。

ただし、フリーランスや自営業の方は注意が必要です。
なぜなら、フリーランスや自営業が入る「国民健康保険」には、傷病手当金の制度がありません。

また、当然のことながら、会社からの見舞金や手当もありません。

そのため、フリーランスや自営業の方で貯蓄が少ない方は、もしもの時のために医療保険を検討した方が良い場合もあります。

医療保険が必要ない理由~その3
保険料を払い続けるお金を「貯蓄」に回した方が、多くの面で合理的だから

先ほど、“フリーランスや自営業の方で貯蓄が少ない方は医療保険を検討した方が良い場合もある”といいましたが、実は、医療保険を考える際に重要となるのが「貯蓄」です。

ここで、「貯蓄」をからめながら、医療保険について考えてみたいと思います。

今回は、ファイナンシャルプランナーとして活躍され、医療保険に関する大ヒット本の著者でもある内藤眞弓先生に話を聞いてみます。

●内藤眞弓先生のプロフィール
http://www.fp-clue.com/profile/MayumiNaito.html


内藤先生、はじめまして。
伊集院よしみと申します。

内藤先生は、大手生命保険会社に13年間勤務の後、ファイナンシャルプランナーとして独立されたとのことですが、医療保険に関するご著書も多く出されています。

ズバリ、お聞きしたいのですが、医療保険って必要なのでしょうか?

ズバリお答えしますと、医療費のためにだけ確保しておける貯蓄が“150万円以上”ある人は、医療保険は必要ありません。

えっ!そうなのですか!?

はい。
そもそも、医療保険にお金を投資するなら、貯蓄をした方が良いのです。

その理由をふたつご紹介しますね。

貯蓄をした方が良い理由~その1
保険は「条件」に合わないと支給されないから

医療保険は、病気やケガで入院した際に「入院給付金」が受け取れる仕組み。
そのほかにも、手術を受けた際に支払われる「手術給付金」や、「退院給付金」、「通院給付金」など、商品によってさまざまな保障がついています。

でも、給付金が支払われるのは”特定のケースのみ”です。

たとえば、入院給付金が出るのは、“保険に加入した後”にかかった病気や、ケガの治療のために入院した時ですが、一般的に以下のケースでは支給されません。

●医療保険が支給されないケース

  1. 治療を伴わない検査のための入院
  2. 介護目的の入院
  3. 泥酔によって引き起こした事故による入院
  4. わざとケガをしたときの入院

保険が支給されないケース

また、「通院給付金」というものもありますが、これも給付金が支払われるのは“特定のケース”のみ。
入院給付金を受け取ることができる”“入院”をし、その入院の前後に通院、もしくは入院後に通院したケースのみです。
もし、あなたが大きな病気にかかったとしても、通院だけで治療する場合には、給付金が出ないのです。

このように、せっかく保険料を払い続けても、その恩恵にあずかれないケースがあるというわけです。

もし、あなたが、リハビリや検査のために入院したり、入院を伴わない通院をする場合には、医療保険は役に立ちません。

ですから、いざという時、自由に使えるお金をつくっておくためにも、貯蓄をしておいた方が良いのです。

貯蓄をした方が良い理由~その2
医療保険は“モト”がとれないケースが多いから

たとえば、医療保険に加入して、毎月5000円の保険料を払うとすると、年間の保険料は6万円になります。
10年で60万円、20年で120万円ですね。

ここで考えてみてください。
もし、入院給付金が「日額1万円」だとしたらどうなるでしょう?
1万×120日でようやく120万円。

つまり、120日入院しなければモトがとれませんよね。

入院時の費用

長く入院することになったらお金がかかるという不安があるかもしれませんが、実際のところ、最近の医療の現場では、入院は「短期化」する傾向にあります。
長期入院が必要な病気とされる脳出血でも、平均入院日数は40日です。

つまり、120日も入院するケースはめったにないのですね。

そう考えると、支払った保険料に見合うだけの給付金がもらえる確率はかなり低いということがわかります。


なるほどです。すごく参考になりました。
たしかに、120日も入院するケースは、よっぽど重い病気にかかったり、何度も入院しないかぎり無いですね。

はい。
そもそも、保険というものは、みんなでお金を出し合い、困った人が受け取る、という助け合いの仕組みです。
だから、ほとんどの人はモトがとれないのです。

保険に加入後、すぐに入院して入院給付金を受け取るようなケースでは、支払った保険料より受け取る額の方が一時的に多くなるかもしれません。

ただ、保険を解約しない限りは、その後も保険料を払い続ける必要がありますから、最終的には、支払った保険料の方が給付金より多くなることがほとんどです。

たしかに、保険料は払い続けないといけないですものね・・・。

はい。そういうことを考えると、貯蓄の方が合理的だという結論に至ります。

そもそも保険は、トクするために入るものではありません。
貯蓄ができるまでの間、「コストを払って時間を買うもの」なのです。

とはいえ、いざという時に自由に使えるお金があった方が安心だと思いますし、私は貯蓄にお金を回した方が得策だと思います。

あ、そういえば、先ほど先生は、「医療費用の貯蓄が150万円以上ある人は、医療保険は必要ありません」と仰っておられましたが、それはどういうことなのでしょうか?

そういえば、まだお話ししていませんでしたね。
では、続いて、「なぜ、貯蓄が150万円以上あれば良いのか?」、その理由をお話しします。

なぜ、“150万円以上”貯蓄しておいた方が良いのか?

さきほど、入院は短期化していると述べましたが、病気の種類によっては退院後、通院治療で高額な薬を使い続けるといったケースもあります。

ただ、高額療養費制度を使えば、月々の負担は「8万円+α」で、1年に4回以上高額な医療費がかかると、4回目以降から4万4400円で済みます。
万が一、1年間、毎月、高額療養費の対象となったとすると、自分で負担する額は年間64万円程度です。

150万円あれば、多額の医療費がかかる時期が2年半近く続いても、貯蓄から支払うことができるという計算です。

また、医師に取材した際に、「いくらくらい、医療費を用意しておくと安心といえそうですか?」とお聞きすると、「150万円くらいあれば十分では?」という声が多く聞かれました。

150万円あれば絶対大丈夫、とは言い切れません。
しかし、病気やケガのことばかり心配していると、ほかの目的でお金を使うことができなくなってしまいます。
以上のことから、私は150万円を目安にいつもお話ししているのです。

あくまで目安ですから、「私の会社の健康保険はもっと手厚い給付がある」という人は少な目でもOKです。
逆に「私は心配性だから多めにないと不安」という人は、もっと多くのお金を貯蓄しておく、または、貯蓄では足りないと思う分を保険で補う形でもいいでしょう。

また、150万円は一人分の目安ですが、家族全員が一度に大病をわずらう可能性は低いですから、二人なら1.5倍など、臨機応変に考えましょう。

貯蓄が150万円以上ない人は、最小限の医療保険に入っておいた方が良い

では、医療費として150万円の貯蓄がない人はどうすれば良いでしょう?

結論をいえば、150万円の貯蓄が増えるまでの間は、なるべく安く、最小限の保険に入ると良いのです。
そうすれば、貯蓄が貯まるまでの間、時間を稼ぐことができます。

先ほどもお話しましたが、医療保険の給付金が出るケースは限られていますので、医療保険は最小限の保険におさえて、保険料が安く済んだ分、貯蓄を増やした方が合理的なのです。

ちなみに、フリーランスや自営業の方の場合は、仕事を休むと収入がストップしますので、上記の150万円の貯蓄に加えて、「半年分から1年分の生活費」を貯蓄しておくのが理想です。


なるほどです。とても参考になりました。

最後にもうひとつだけお伝えしておきたいのが、先進医療に備えるためだけに医療保険に加入するのは止めた方が良いということです。

先進医療・・・。
確かに不安定要素が多いですものね。

さすがはよしみさんです。

先進医療とは、健康保険の対象にするかどうかを実験している段階の治療、つまり、効果があるかどうかが実証しきれていない治療法ですよね。

つまり、難病でもすぐに治る、といった夢の治療法ではないのです。

はい。そもそも、先進医療を受けられるのは、医師が「この症例には効果がありそうだ」と判断した場合のみ。
実際に先進治療がおこなわれることはかなり少ないのが現状です。

そうですよね。
だから、私は、「先進医療への備え」という言葉で売り込まれる保険に関しては否定的です。

私もそう思います。
内藤先生、ありがとうございました。

まとめ。
医療保険が必要かどうかを考えるための8個のポイント

いかがだったでしょうか?

途中、内藤先生にもご登場いただきましたが、結論として、医療保険が必要なのは「貯蓄が確保できるまでの間」だけで、保険に頼るより貯蓄を増やした方が良い、ということがわかりましたね。

最後にまとめとして、今回の記事の重要ポイントを8個まとめてみました。

もし、あなたの周りに、医療保険を契約しようか迷っている人がいるのであれば、このポイントをぜひ教えてあげてくださいね。


  1. 高い医療費を支払うことを恐れて、医療保険を検討する必要はない
    (高額療養費制度を利用すれば、ひと月あたりの医療費は8万円+αで済む)
  2. 入院して仕事ができなくなることを恐れて、医療保険を検討する必要はない
    (会社員であれば、健康保険から給料の3分の2である「傷病手当金」が支給される)
  3. 会社員なら、健康保険の種類によっては、傷病手当金に加え、さらに手厚い給付が受けられる場合がある
  4. 医療保険の給付金は、特定の条件に合わなければ支払われない
  5. 入院の日数は短期化の方向。思うほど給付金が受け取れない可能性が高い
  6. 医療費に使えるお金が150万円以上あれば、医療保険に入らなくてもよい
  7. フリーランスや自営業者の場合、150万円+半年~1年分生活費の貯蓄ができるまでは医療保険に加入した方が良い。ただし、その場合は、保障が最小限の安い保険で良い
  8. 先進医療に備えて医療保険に入る必要はない

次回は、「保障が最小限で安い医療保険」の見つけ方をご紹介します。
楽しみにしておいてくださいね。

今回の記事の協力者

内藤眞弓先生

内藤眞弓先生

ファイナンシャルプランナー(CFP・1級FP技能士)
生活設計塾クルー取締役
FP&コミュニティ・カフェ代表

大手生命保険会社に勤務後、ファイナンシャルプランナーとして独立。難しいと思われがちなお金まわりの情報を、分かりやすく噛み砕いて伝える、のがモットー。
特に保険分野、医療分野に詳しく、「医療保険は入ってはいけない」(ダイヤモンド社)が新版を合わせて累計9万部のヒット。
「医療保険はすぐやめなさい」(ダイヤモンド社)「お金のプロがすすめるお金上手な生き方」(コモンズ)も好評。

メッセージ

「こんな活動を応援しています」
賢い患者になりましょうを合言葉に、患者と医療者が協働する医療の実現をめざして活動する『NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)』。子どもの『いのちとからだの10か条』普及キャンペーンを展開中。命や体を大切にし、患者が主役、という意識を身に付けるための10か条です。

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