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最新看護手技キャッチアップ 人工呼吸器回路は定期的に交換しなくてもよい

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かつては良しとされていた看護手技に、こだわりすぎてしまう場面はありませんか?今回は「人工呼吸器回路の交換」をテーマに、現在の正しい対応方法について考えます。事例をもとにみていきましょう。

【事例】
人工呼吸器を使用している患者が転院してきた。
担当看護師は、人工呼吸器の設定モードを見て、正しく換気できていることを確認した。
しかし、回路の使用開始日を確認しようとしたところ、どこにも記載が見当たらなかった。
念のため回路を交換し、次回の交換日を1週間後に設定してケアシートに記載した。

人工呼吸器の回路は清潔を維持する必要があり、適宜交換が必要ですよね。
とはいえ、交換する瞬間は換気を止めてしまうし、毎日行うわけにはいきません。
なんとなく、週1回くらいの頻度で交換するものなのかな・・・と思っていました。

「なんとなく」で交換頻度を決めてしまっていいのかしら?
交換することによるリスクも存在するのよ。

VAPの外的要因になりかねない回路交換

院内感染には様々なものがあるけれど、その一つが人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia)よ。
略語のVAPのほうがよく使われるわね。
VAPは留置された人工気道を通って原因菌が下気道へ侵入することで発症するもので、最悪の場合は死に至ることもあるから、予防対策が欠かせないわ。

原因菌が侵入する要因は、内因性のものと外因性のものに分けられるの。
内的要因というのは、口腔~咽頭部辺りにある分泌物が下気道へ移行することで、それと一緒に原因菌が侵入するものよ。
口腔ケアは、内的要因によるVAPを予防するためにも大切なことがわかるわね。

一方、外的要因は、回路の着脱などにより人工気道へ直接的に原因菌が侵入するものよ。
回路を交換するときはもちろんだけれど、回路の途中にたまっている水を除去したりネブライザーの薬液を入れたりするときにも、清潔操作をしていないと外部から原因菌が侵入してしまうの。
そのため、米国疾病管理予防センター(CDC)による「医療関連肺炎予防ガイドライン」でも、定期的な回路交換はVAPのリスク因子の一つとして指摘されているのよ。

回路の交換は「目に見える汚れ」があるときが基本

このCDCのガイドラインでは、人工呼吸器の回路を交換する頻度とVAP発生リスクに関して、次のような研究結果が紹介されているわ。

回路が目で見て汚れていない限り、無期限に回路を交換しなかった患者における肺炎発生のリスクは、定期的に7日ごとに回路を交換した患者よりも高くなかった
2日ごとに回路を交換された患者は、回路を7日ごとに交換された患者と比べてVAP発生リスクが3倍以上であった

現在、最適な交換頻度について一定の見解があるわけではないけれど、日本集中治療医学会による「人工呼吸関連肺炎予防バンドル2010改訂版」には「目に見える汚れや破損がある場合に交換する」と記載されているわ。

とはいえ、数ヵ月や数年単位で人工呼吸器を使用する患者さんに対して、汚れが見当たらないからといって一度も回路を交換しないのは衛生的とは言いにくいわね。
あくまで日常的かつ頻繁に交換する必要はないということを押さえたうえで、施設ごとの状況に応じて適切な交換頻度を検討することが望ましいと思うわ。


意味もなく回路を交換して患者さんにリスクを負わせることは避けなければなりませんね。

よかれと思って行ったことが、かえって悪影響を及ぼすこともあるというわけね。
何気なく行っていることでも、折に触れてガイドラインなどで「根拠」を確認する習慣を身につけましょう。

NG看護手技

  • 定期的(例えば、1週間ごと)に回路を交換する
  • 手指衛生せずに回路の交換や着脱を行う

OK看護手技

  • 目に見える汚染や破損がある場合に回路を交換する
  • 7日未満での交換は推奨されない
  • 回路内の水滴の除去は無菌的に行う

参考文献
1)CDC:医療関連肺炎予防ガイドライン,2003.
2)日本集中治療医学会ICU機能評価委員会:人工呼吸関連肺炎予防バンドル2010改訂版.

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監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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