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最新看護手技キャッチアップ 尿路感染症予防を目的とした膀胱洗浄は必要ない

仕事に役立つ看護手技 > 感染管理 編

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かつては良しとされていた看護手技に、こだわりすぎてしまう場面はありませんか?今回は「膀胱洗浄」をテーマに、現在の正しい対応方法について考えます。事例をもとにみていきましょう。

【事例】
術後の患者に、膀胱留置カテーテルを挿入することになった。
閉鎖式のシステムを選択し、滅菌器具を使って無菌的手技で挿入した。
その後、尿路感染症を防ぐため、定期的に尿道口を消毒薬で清拭し、開放式膀胱洗浄も行うようにした。

尿路感染症はしっかり予防しないといけませんよね。
感染対策に注意を払っている事例だと思いますが、何か問題あるでしょうか?

実はこの事例、感染対策になっていないばかりか、かえって感染リスクを高めかねない行為が含まれているのよ!

膀胱洗浄では尿路感染を防げない

尿路感染症は院内感染の約4割を占め、その約8割が膀胱留置カテーテルに起因するといわれています。
一般的には重篤化せず、カテーテルの抜去で改善するケースが多いものの、高リスクの患者さんでは膀胱炎や腎盂腎炎、果ては敗血症に至ることもあります。
したがって、カテーテルの正しい挿入と管理を行い、適切な感染対策を図らなければなりません。
現在は、閉鎖式膀胱留置カテーテルを用いるのが一般的になっており、事例にあるように滅菌器具を使い、無菌的な手技で挿入することが大切です。

尿路感染症の原因菌としては、患者さんの腸管内に常在する大腸菌や腸球菌などのほか、医療器具や医療従事者を介して伝播する緑膿菌などが挙げられます。
どれだけ注意していても、留置期間が長くなるにしたがって病原菌の発生率は上昇してしまい、留置後30日にはほぼ100%の患者さんで細菌尿が認められるほどです。
だからこそ、できるだけ留置期間を短くすることが大切です。

一方で、感染予防のつもりで行っていても、効果が期待できないものもあります。
例えば、生理食塩水などによる膀胱洗浄です。
膀胱留置カテーテル挿入中、尿混濁があるときに開放式膀胱洗浄を行っても、閉塞や発熱の頻度は低下しません
抗菌薬や消毒薬を加えて行ったとしても、感染症の抑制効果は認められていません。
また、尿道口やその周囲を消毒・洗浄しても、感染症を予防する効果はないとされています。

「閉鎖ルートを維持する」ことを意識して

開放式膀胱洗浄では、カテーテルとチューブが離脱することにより、むしろ感染リスクは上昇してしまいます。
カテーテル・排尿チューブ・蓄尿バッグという一連の回路の閉鎖性を維持することを意識し、感染予防だけを目的とした膀胱洗浄をむやみに行わないようにしましょう

もちろん、膀胱洗浄が必要となるケースもあります。
それは、前立腺や膀胱の手術後などに行われる持続膀胱洗浄です。
前立腺手術後などで出血があるときは、カテーテルの閉塞が予想されることから、医師の指示の下で持続膀胱洗浄を行います。
この場合は、術後の疼痛管理やカテーテル管理の視点から、膀胱洗浄は行ったほうがよいとされています。

ただし、この場合でも、閉鎖系を維持できる3way膀胱留置カテーテルなどを使用するようにしましょう。
また、膀胱洗浄が頻回に必要なほどの閉塞が確認できるときは、カテーテル自体を交換することも考慮します。


「先輩ナースがそうしていたから、疑問を持たず日常的に行っていた」というケースも多そうですね。

その職場で「当たり前」とされていることが、最新の知見とは限らないわ。
自ら知識をアップデートしていく姿勢を忘れずにいたいわね。

NG看護手技

  • 尿路感染症を予防するため、日常的に膀胱洗浄を行う

OK看護手技

  • 感染リスクがかえって高まるので、尿路感染症予防のみを目的とした膀胱洗浄は行わない

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出典
*日本泌尿器科学会 泌尿器科領域における感染制御ガイドライン作成委員会:泌尿器科領域における感染制御ガイドライン,2009.

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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