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がんと診断された患者さんの精神症状 看護師によるケアのポイントは?

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2016年の調査によると、全国778施設でのがんの病名告知率は94%にのぼっています※1。がんの告知を受けるのは患者さんにとって大きな衝撃であり、抑うつがみられる患者さんも少なくありません。なかでも適応障害やうつ病の発症率が高いといわれています。また、がん治療中に起こる精神症状にはせん妄があげられます。

※1 国立がん研究センター:院内がん登録全国集計

がん診断前からの強い不安

がんは治療の進歩に伴って「治る病気」といわれるようになったものの、現在も死因の第1位であり、患者さんへの精神的な負担は非常に大きなものです。
がん検診で再検査を受けた段階で、患者さんは結果を知るまで大きな不安に襲われるため、検査について十分に説明し、患者さんの不安を緩和することが重要となります。

また、がんの告知を受けた直後から、患者さんの心の反応は約2週間の間で3つの時期にわけられます。
(1) 告知直後:衝撃、否認、絶望、怒り
(2) 今後への不安:気持ちの落ち込みや疎外感、不眠など
(3) 適応:現実的な対応、情報収集、落ち着いて物事に目を向ける

不安な気持ちや落ち込みなどの心の苦痛により、息苦しくなる、めまいや動悸がするなどの身体的な反応が現れることもあります。がん患者さんに多い抑うつで多いものに適応障害やうつ病があげられます。

がん患者さんの抑うつはチームで対応

がん患者さんに精神・身体症状が現れること自体は自然な反応ですが、2週間以上経っても不安や落ち込みが強く、日常生活に支障が及ぶ場合には、がん治療にも影響することがあります。

〈がん患者さんの抑うつによる治療への影響〉

  • QOLの低下
  • がん治療に対するアドヒアランスの低下
  • 入院期間の長期化
  • 生命予後の悪化
  • 家族の精神的負担の増加
  • 自殺 など

がん治療を続ける患者さんにとって、がんの治療法や家族とのかかわり、仕事や将来、副作用や治療効果、再発の恐怖など、不安な要素は尽きません。
患者さんは、身近な家族や友人だからこそ、つらい気持ちを表出できない場合もあります。そこで、病気やその人の社会的背景、治療の過程を知る看護師が患者さんの思いの受容、傾聴、支持、共感を示すことが患者さんの安心感につながることがあります。

精神看護専門看護師をはじめ、スペシャリストがいる医療機関の場合は積極的に活用することが重要です。がん治療に影響するほどの精神症状がある場合には、精神科医も含めてチームとしてかかわる必要があり、看護師にはその橋渡し役が求められます。

高齢者や終末期に多い「せん妄」への対応

がん患者さんの発症頻度が高い精神症状にはせん妄もあげられます。がん患者さんのせん妄有病率は10~30%といわれ、終末期には88%と高い頻度でみられます※2
高齢はせん妄の準備因子といわれており、高齢のがん患者さんが増加するなか、せん妄対策チームを組織するなど、取り組みを強化する医療機関も増えています。

※2 日本サイコオンコロジー学会・日本がんサポーティブケア学会:「がん患者におけるせん妄ガイドライン 2019年版」

〈せん妄の3因子〉

準備因子:高齢、認知症など
直接因子:疾患、薬剤、手術など
促進因子:身体的苦痛、精神的苦痛、環境の変化など

がん術後にせん妄を発症すると、チューブの自己抜去などの事故が起こりやすく、術後はより慎重な管理、観察が求められます。また、せん妄は手術によるものだけでなく、オピオイドなどの薬剤が原因となっていることもあります。

とくに夜間の過活動型せん妄は医療者にとっても心身の疲弊を招くものであり、入院の長期化にもつながります。痛みや便秘、脱水、不動化、身体拘束、視力低下などの身体的苦痛、不安や抑うつなどの精神的苦痛、明るさや騒音などの環境の変化は、看護師によるアセスメントや環境調整が重要であり、早期離床や視聴覚障害への補助など、せん妄の促進因子への介入による予防効果も報告されています。

せん妄のハイリスクへのアセスメントや予防対策は、今後さらに重要となるでしょう。せん妄の症状は家族に対しても大きな不安要素となります。事前に十分な説明を行い、家族ができるケアや関わり方への理解を深めてもらうことが重要です。
がん患者さんの精神症状は全病期にわたって生じる可能性があり、患者さんの身近な存在である看護師の気づきが非常に重要です。

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参考
国立がん研究センター:がんと心
日本サイコオンコロジー学会:がん患者さんとご家族のこころのサポートチーム
日本サイコオンコロジー学会・日本がんサポーティブケア学会:「がん患者におけるせん妄ガイドライン2019年版」

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