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集団感染に注意が必要 溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)とは?

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子どもの感染が多いことで知られる溶連菌感染症。初夏にかけて流行のピークがあり、冬になると再び感染者が増えることで知られています。また、同じ溶連菌感染症でも、急激に症状が進行する劇症型溶血性レンサ球菌感染症が注目されています。

溶連菌感染症とは?

溶連菌(溶血性レンサ球菌)はグラム陽性球菌で、上気道炎や化膿性皮膚感染症などを引き起こすことが多いことで知られています。溶連菌感染症はこのうちA群に属する溶血性レンサ球菌が原因菌となることがほとんどで、溶連菌感染症といえば、一般的にA群溶血性レンサ球菌咽頭炎のことを指します。

主に学童期の子どもが感染する溶連菌感染症。感染から2~5日の潜伏期を経て発症するもので、典型的な臨床症状は、突然の発熱と全身倦怠感、咽頭痛などで、嘔吐を伴う場合もあります。5~10歳頃の小児の場合は、全身に紅斑が現れる猩紅熱が起こるケースがあります。また、舌が苺状に赤く腫れる(苺舌)症状がみられるのも特徴のひとつです。

主な感染経路は、患者さんの咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌を吸い込むことによる飛沫感染や、細菌に触れた手で口や鼻を触ることによる接触感染です。多いのは接触感染による伝播で、家庭や学校などの集団感染が起こりやすいことでも知られています。特に急性期には感染しやすいため、注意が必要です。また、咽頭や喉頭に保菌する人が15~30%いるといわれていますが、健康な保菌者から感染するケースは稀だといわれています。

溶連菌感染症は、迅速な診断キットが開発されたことで診断がつきやすくなりました。また、抗菌薬の服用で治療開始後24時間以内に感染力は消失し、発熱も3~5日以内に治まります。しかし薬剤耐性菌を生むきっかけともなるため、自覚症状がなくなっても、処方分の抗菌薬は全て服用してもらうように患者指導することが重要です。

「人食いバクテリア」と呼ばれる劇症型とは?

同じ溶血性レンサ球菌感染症でも、近年注目されているのが「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」です。溶連菌への感染で敗血症を引き起こして急激に症状が進行し、ショック症状で死亡するケースもあります。メディアでは「人食いバクテリア」と紹介されているのを目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

劇症型となる溶連菌は毒素産生が強いといわれていますが、劇症型になるケースについては、はっきりしたことはわかっていません。しかし、小児に多い溶連菌感染症とは異なり、劇症型の場合は30歳以上に多いことがわかっています。また、咽頭痛などが主の溶連菌感染症と異なり、劇症型の多くは手足の強い痛みや腫れがみられることが多く、発熱や筋肉痛を伴って急激に病状が進行します。

皮膚や筋肉組織などに侵入して壊死を引き起こし、ショック症状や多臓器不全によって死亡するケースが約30%といわれています。劇症型は国内で1992年に初めて報告され、以来毎年100~200人の患者さんが報告されていました。正確な診断がつくようになったこともあり、近年患者数が増加しています。患者さんの傷口や創部への直接接触による感染を防ぐことが重要で、創部の腫れや痛み、発熱などがみられたときにはただちに医療機関を受診し、集中管理のもとで治療を開始することがポイントとなります。

患者数増加の一次ピークは6月

溶連菌感染症は、定点報告対象疾患です。近年の患者数は次の通りです。

〈1999年~2017年のA群溶血性レンサ球菌咽頭炎報告数〉

国立感染症研究所:小児科定点把握疾患より作図

子どもの数が減少しているのに対し、子どもがかかることが多い溶連菌感染症の患者数は増加傾向にあることがわかります。

〈2019年週あたりのA群溶血性レンサ球菌咽頭炎報告数〉

国立感染症研究所:定点把握疾患(1週~18週)より作図

週による差はあるものの、定点医療機関だけで週に7,000~9,000人の患者さんが報告されています。ゴールデンウィークを過ぎると患者数が急増する年もあり、6月にかけて流行は続きます。夏に入ると報告数は減少しますが、秋以降、冬にかけて再び増加することが多く、感染を防ぐためには手洗いや咳エチケットを徹底することが重要となります。

溶連菌感染症は、劇症型がメディアで取り上げられる機会が増えたことで“恐ろしい病気”ととらえられがちですが、多くは抗菌薬で適切に治療をすれば1週間ほどで回復します。

成人の場合は発熱やのどの痛みがあっても無理をしてしまうことがありますが、ストレスや睡眠不足があると重症化する可能性もあります。子どもが感染している場合は兄弟や保護者に症状がないかを確認するなどし、感染拡大を防ぐことが重要です。また、症状が治まってから急性糸球体腎炎やリウマチ熱などを発症する可能性もあります。患者さんには発熱がおさまっても抗菌薬を最後まで服用し続けること治った後の尿の色の変化再受診が必要な場合についてなど十分に説明しましょう。

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参考:
国立感染症研究所:A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは/劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは
日本皮膚科学会:皮膚科Q&A
東京都感染症情報センター:A群溶血性レンサ球菌咽頭炎/劇症型溶血性レンサ球菌感染症
日本小児学会予防接種・感染症対策委員会:「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」

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