リクルートの看護師転職パートナー ナースフル

閉じる

明日役立つ手技から働き方、医療ニュースまで、看護に活かせる情報をお届け ナースフルマガジン

事例で学ぶ看護技術「スタンバイ」にした人工呼吸器の開始忘れ

看護あるある 手技Q&A > その他の手技・知識 編

当コンテンツは株式会社 リクルートメディカルキャリアが運営する「ナースフル」というサイト内のコンテンツです。
もし、当コンテンツに関してご不明な点がある場合は、こちらの運営者情報ページからお問い合わせください。


人工呼吸器を使っている患者さんを担当するときは、いつも気が引き締まります。
うっかりミスが命に直結する可能性もあるだけに、油断は禁物ですよね。
人工呼吸器に関連して、どのようなヒヤリハットや医療事故が起こりやすいのかしら。
参考になる事例を紹介するわ。
●今回の事例:
医師と看護師で人工呼吸器をスタンバイの状態にして気管吸引を行った後、あらためて患者に人工呼吸器を装着した。
その際、医師・看護師ともに相手がスタンバイを解除したと思い、換気が行われていることを確認しなかった。
約10分後、患者は徐脈および低血圧の状態となった。
緊急で昇圧薬を投与中、人工呼吸器がスタンバイの状態になっていたことが明らかになった。

便利な「スタンバイ」の落とし穴

ヨシミ師長:
「スタンバイ」は、人工呼吸器の設定はそのままに換気を一時停止し、アラームも作動させないモードのことよ。
気管吸引や体位変換などの処置をするとき、患者さんがトイレに行くときなどに、人工呼吸器を外すことがあるけれど、単に外すだけではアラーム音が鳴り続けるから、スタンバイモードがあると便利なのね。

リコ:
気管吸引や体位変換のときは両手がふさがっているので、消音ボタンを押し続けるのは難しいですからね。
だからといって電源をオフにすると、再起動までに時間がかかります。
スタンバイなら、すぐに換気を再開できるメリットがありますね。
でも、いくら使い勝手がよくても、事例のような事故が起こるリスクを考えると恐ろしいです。

ヨシミ師長:
事故の報告件数は、2017年時点の直近8年間で7件あったということよ。
スタンバイ状態にしたこととの因果関係は不明とされているものの、事故の程度が「死亡」とされている事例が2件もあったわ。

リコ:
看護師が1人で処置を行い、スタンバイ状態から切り替えるのを忘れたり、引き継ぎが不正確だったりしたケースもあれば、2人の医療従事者がベッドサイドにいたにもかかわらず確認がおろそかになり、事故につながった例もあるようですね

ヨシミ師長:
2人いることによってお互いに相手に頼ってしまい、逆に確認がおろそかになることもあるのよね。
処置を実施した後、スタンバイ状態であることを再認識できるような工夫が必要だと思うわ。

スタンバイを確実に解除するための方法は?

リコ:
そもそもスタンバイ状態を使用しないという対策を取る病院もあるようですね。
一部の人工呼吸器の添付文書には、「スタンバイ状態で吸引等の処置を行わないでください」といった注意書きが添えられていることがあるそうですし。

ヨシミ師長:
スタンバイモードを使用するなら、確実な確認作業が求められるということね。
まずは基本として、人工呼吸器を使用する前の動作確認や、装着後の換気状態の確認を徹底する必要があるわ。
処置の実施後には、患者さんの胸郭の動きやSpO2などを観察できていれば、スタンバイ状態であることにも気づけるはずよ。

リコ:
最近の人工呼吸器のモニター画面には、様々な方法でスタンバイ状態であることがわかりやすく表示されていますよね。
例えば、「患者の換気が開始されていません」と赤文字で点滅表示され、さらに「換気スタート」のボタンが画面上に表示されるといった具合に。

ヨシミ師長:
より確実性を高めるためには、アラーム機能付きのパルスオキシメーターを併用するという方法も考えられるわ。
これならスタンバイ状態が持続してSpO2の低下が起こったとき、アラームが鳴って気づくことができるわよね。

リコ:
「スタンバイ」と大きく書かれたプレートの両端にひもを通して、ぶら下げられるようにしておくのはどうでしょう。
スタンバイにした人が首からぶら下げて、解除したら元の位置に戻すという方法です。

ヨシミ師長:
とてもシンプルだけれど、効果的かもしれないわね。
新たな機器の導入には時間やコストがかかるから、すぐに現場で取り入れられるアイデアを試してみるのも一案だと思うわ。

ナースフルでは働く看護師さんを応援しています。
転職についてお悩みの方はこちらのフォームよりご相談ください。

参考資料
日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業 第50回報告書(平成29年4~6月).

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

TOPへ