リクルートの看護師転職パートナー ナースフル

閉じる

明日役立つ手技から働き方、医療ニュースまで、看護に活かせる情報をお届け ナースフルマガジン

高齢者のスキン-テアと医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)

最新ナースコラム > 医療の最新ニュース

当コンテンツは株式会社 リクルートメディカルキャリアが運営する「ナースフル」というサイト内のコンテンツです。
もし、当コンテンツに関してご不明な点がある場合は、こちらの運営者情報ページからお問い合わせください。


褥瘡対策が推進されるなかで、近年注目をされているのが2018年の診療報酬改定で、褥瘡関連の評価項目に追加された「スキン-テア」と「医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)」です。追加になった背景も含めて改定のポイントをご紹介します。

入院患者さんへの褥瘡対策の強化

高齢の入院患者さんの増加に伴い、診療報酬上における褥瘡対策は次のように進められてきました。

2002年 褥瘡対策未実施減算新設
2004年 褥瘡患者管理加算新設
2006年 褥瘡対策未実施減算廃止+褥瘡ハイリスク患者ケア加算新設
2010年 深部デブリードマン加算+局所陰圧閉鎖処置の新設
2012年 入院基本料の施設基準に褥瘡患者管理加算と同等の体制(褥瘡管理加算廃止)+在宅における創傷被覆材の保険適応
2018年 入院基本料の褥瘡対策として危険因子の評価項目にスキン-テア、褥瘡ハイリスク患者ケア加算の評価項目にMDRPUが追加

ここまでの流れをみると、16年間で「実施しないことに対するペナルティー」から、「行っていることが前提」、さらに「より内容を充実させる」ものに変化してきたことがわかります。なかでも、専任の医師や皮膚・排泄ケア認定看護師などの専任の看護師を中心とした褥瘡対策チームの活動は活発で、褥瘡ケアに対して関心の高い看護師も増えたことが何よりの成果といえるのではないでしょうか。

危険因子の評価に「スキン-テア」が追加

2018年の診療報酬改定では、褥瘡対策に新たな評価項目が加わっています。入院基本料等の施設基準に含まれる褥瘡対策では、「危険因子を評価して、専任の医師および専任の看護師が適切な褥瘡対策の診療計画の作成、実施および評価を行うこと」と記載されています。その診療計画書の危険因子の評価項目に「皮膚の脆弱性(スキン-テアの保有、既往)」が追加されました。

〈危険因子の評価項目〉

改定前 改定後
日常生活自立度
・基本的動作能力
・病体骨突出
・関節拘縮
・栄養状態低下
・皮膚湿潤(多汗、尿失禁、便失禁)
・浮腫(局所以外の部位)→
日常生活自立度
・基本的動作能力
・病体骨突出
・関節拘縮
・栄養状態低下
・皮膚湿潤(多汗、尿失禁、便失禁)
・皮膚の脆弱性(浮腫)
・皮膚の脆弱性(スキン-テアの保有、既往)

スキン-テアとは、摩擦やずれなどによって発生する外傷性創傷をいいます。高齢者は皮膚が脆弱になり、テープ剥離時に皮膚が一緒にはがれたり、ベッド柵や車椅子の角に腕を擦って皮膚が裂けたりしやすくなります。スキン-テアは強い痛みを伴い、その見た目から、患者家族からは医療者による虐待が疑われることもあるといいます。

今回、入院時に行う褥瘡の危険因子の評価のひとつに加わったことで、病棟看護師にもスキン-テアのアセスメントに必要な知識が求められるようになりました。日本創傷・オストミー・失禁管理学会では、そのアセスメントツールとして、「日本語版STARスキンテア分類システムガイドライン」を公表。スキン-テア観察のポイントやケアの方法などを示しています。

褥瘡ハイリスク患者ケア加算にMDRPUが追加

褥瘡ハイリスク患者ケア加算は2006年に新設されたもので、2018年の診療報酬改定時に留意事項に新たな項目が加わりました。

〈褥瘡ハイリスク患者ケア加算留意事項〉

褥瘡予防・管理が難しく、重点的な褥瘡ケアが必要な患者とは、ベッド上安静であって、次に掲げるものをいう。
(1)ショック状態のもの
(2)重度の末梢循環不全のもの
(3)麻薬等の鎮痛・鎮静剤の持続的な使用が必要であるもの
(4)6時間以上の全身麻酔下による手術を受けたもの
(5)特殊体位による手術を受けたもの
(6)強度の下痢が続く状態であるもの
(7)極度の皮膚の脆弱(低出生体重児、GVHD、黄疸等)であるもの
(8)皮膚に密着させる医療関連機器の長時間持続的な使用が必要であるもの(新設)
(9)褥瘡に関する危険因子(病的骨突出、皮膚湿潤、浮腫等)があってすでに褥瘡を有するもの

医療関連機器圧迫創傷(Medical Device Related Pressure Ulcer:MDRPU)は、いわゆる“医原性褥瘡”のひとつで、日本褥瘡学会では、「医療関連機器による圧迫で生じる皮膚ないし下床の組織損傷であり、厳密には従来の褥瘡すなわち自重関連褥瘡と区別されるが、ともに圧迫創傷であり広い意味では褥瘡の範疇に属する。なお、尿道、消化管、気道等の粘膜に発生する創傷は含めない」と定義しています。

日本褥瘡学会の調査によれば、医療用弾性ストッキングやギプス、シーネ、NPPVマスク、気管内チューブなどでMDPRUが発生しており、一般病院においては褥瘡保有者のうち2割近くを占めています。そのほとんどが入院中に発生するものであり、医療機関においてその予防やケアに取り組むべき問題となっていました。こうした背景から、今回の診療報酬改定によって褥瘡ハイリスク患者ケアの対象患者として追加されています。

日本褥瘡学会では「ベスト・プラクティス医療関連機器圧迫創傷の予防と管理」を公表して、その予防やケアの具体的な方法について解説をしています。褥瘡ケアに関わる看護師さんは、ぜひ参考にしてみてください。

※ 日本褥瘡学会:第3回(平成24年度)日本褥瘡学会実態調査報告「療養場所別医療関連機器圧迫創傷の有病率,部位, 重症度(深さ),有病者の特徴,発生関連機器」

ナースフルでは働く看護師さんを応援しています。
転職についてお悩みの方はこちらのフォームよりご相談ください。

関連記事
看護あるある手技Q&A スキンテアの予防とケア

参考
日本創傷・オストミー・失禁管理学会「スキン-テア クイックガイド」
日本褥瘡学会:平成30年度(2018年度)診療報酬・介護報酬改定褥瘡関連項目に関する指針
厚生労働省:第386回中央社会保険医療協議会議事次第

TOPへ