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ナースが知りたい!くすりの知識 アルコール依存症に対する国内初の飲酒量低減薬 ナルメフェン塩酸塩水和物(商品名セリンクロ)

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ビールのおいしい季節になりましたね。
大酒飲みの私の叔父さんは、健診で肝機能の数値が悪すぎて、ついにドクターストップがかかったと嘆いていましたが・・・。

ドクターストップできっぱりやめられればいいけれど、アルコール依存症にまでなってしまうと、なかなか難しいみたいね。
今回は、2019年3月に販売開始された飲酒量低減薬ナルメフェン塩酸塩水和物(商品名セリンクロ)を紹介するわ。

オピオイド受容体に作用して飲酒欲求を抑える

アルコール依存症は、慢性的に多量飲酒を繰り返して飲酒行動のコントロールが困難となる疾患で、急性アルコール中毒や肝疾患だけでなく、うつ病の原因にもなりうるとされているわ。

日本では、飲酒により1日平均で男性40g以上、女性20g以上のアルコールを摂取すると生活習慣病リスクが高まるとされ、その該当者は約1000万人もいると推計されているそうよ。
このうち100万人前後がWHOの国際疾患分類ICD-10においてアルコール依存症の基準に当てはまると考えられているけれど、実際に専門治療を受けている患者さんは5万人程度しかいない現状があるの。
本来は治療が必要な約95万人に医療の手が届いていないというわけね。

アルコール依存症に対する薬物療法はあくまで補助的な位置付けで、これまでは抗酒薬(アルコール分解を阻害して少量の飲酒でも不快な悪酔いの状態を引き起こす)としてシアナミドやジスルフィラムが使われてきたの。
ただ、飲酒欲求を抑える薬剤ではないから根本的なアプローチとは言いがたいし、何しろ不快なものだから患者さんの治療拒否にもつながりやすかったわけ。

一方、今回登場したナルメフェン塩酸塩は国内初の飲酒量低減薬で、脳神経細胞のオピオイド受容体に作用して飲酒欲求を根本から抑える効果が期待できるの。
具体的には、μオピオイド受容体およびδオピオイド受容体に対しては拮抗薬として、κオピオイド受容体に対しては部分的作動薬として作用するとされているわ。
本剤を服用したアルコール依存症の患者さんが飲酒をしても、さほど気分が高揚することもないみたいで、次第に飲酒する意味が薄れていくらしいわ。

効能・効果

アルコール依存症患者における飲酒量の低減

用法・用量

通常、成人にはナルメフェン塩酸塩として1回10mgを飲酒の1~2時間前に経口投与する。ただし、1日1回までとする。なお、症状により適宜増量することができるが、1日量は20mgを超えないこと。

なお、国内臨床試験で1年を超える使用経験がないこともあり、漫然と投与すべきではないことが添付文書に書かれているわ。
本剤の投与で治療効果がみられているか、さらなる投与が本当に必要かどうか、別の手段のほうがよいのではないか・・・といったことを定期的に検討し、最善の道を選ぶことが大切ね。

使用上の注意、副作用

本剤はオピオイド受容体に作用するため、同じくオピオイド受容体に作用するモルヒネやフェンタニルなどとの併用は禁忌とされていることを押さえておきましょう。

副作用は国内臨床試験(第III相)の432例中307例(71.1%)で認められ、悪心(31.0%)、浮動性めまい(16.0%)、傾眠(12.7%)、頭痛(9.0%)などが主なものとして報告されているわ。


治療を受けていないアルコール依存症者も多いということで、新たな治療アプローチができるようになったことは朗報ですね。

「いきなり断酒」のハードルが高くて受診できなかった患者さんが多いようだから、徐々に飲酒量を減らしていく「ハームリダクション」により、受診率の向上とドロップアウト率の低下が期待されているわ。

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参考文献
セリンクロ 添付文書.
※効能・効果・使用上の注意等、医薬品の最新情報につきましては、各製品の添付文書等をご参照ください。

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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