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精神医療を取り巻く環境と精神科訪問看護の役割

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精神疾患を抱える患者さんが増加している一方で、入院が必要な患者さんは減少しています。精神科看護の分野では、今後さらに訪問看護のニーズが高まることが見込まれていますが、疾患理解だけでなく、その人を地域で支えるうえで必要とされるサービスの知識なども求められます。

医療機関から地域での生活へ

精神病床数は1950年代後半から70年代後半にかけて急激に増加し、以降も90年代後半まで増え続けました。精神疾患に対しては、長らく入院治療を中心に進められてきましたが、薬物療法の進歩や患者さんの人権擁護などへの関心の高まりから、精神保健福祉施策が「入院医療中心から地域生活中心へ」と、基本方針を転換。精神障がい者に対する国民の理解を深め、医療の機能分化による早期退院の実現、地域生活支援の強化などがはかられてきました。

厚生労働省によれば、精神疾患をもつ人の数は約382.4万人で、うち入院は約31.3万人、外来は約361.1万人となっています。認知症や気分障害などの患者さんが増えたことで、外来患者さんが増加しています。

精神科病床の患者さんは多くが短期入院ですが、なかには10年、20年以上の長期入院患者さんが含まれるため、平均在院日数は267.7日(厚生労働省 2017年)となっています。1989年が平均496日だったことを考えると、大幅に短縮されているといえますが、一般病床に比べると極端に長く、厚生労働省は「地域での受け入れ条件が整えば退院可能な精神科入院患者さんは約7万人」としています。

精神科訪問看護の利用者

一口に地域での受け入れ条件といっても、生活の場や働く場の確保、それに向けた訓練や共同生活を送るグループホームなど多様な受け皿が必要です。また、医療面でも服薬管理や食事、睡眠などの生活リズムの調整のサポートが欠かせないため、患者さん自身や家族の精神科訪問看護のニーズが高くなっています。精神科訪問看護の利用者は、統合失調症、統合失調型障がいおよび妄想性障害が約75%と最も多く、次いで気分障害が9.9%となっています。

また、近年では発達障がいの増加が指摘されていますが、単に発達障がいを持つ人が増えているのではなく、発達障害の診断がついた人が増えた点が大きく影響しているものとみられます。

精神障がいがある人に対してのサポートは、食事や睡眠などの生活リズムを整える、糖尿病などの生活習慣病の悪化防止、社会復帰や就労支援など、その人の背景や希望によって多様です。身体症状を把握して合併症の増悪を防ぐこと、さらに買い物や掃除、金銭管理などの身のまわりの困りごとに対して社会資源の活用につなげることは、訪問看護師の重要な役割といえるでしょう。

多職種連携で地域での生活をサポート

精神科訪問看護では、褥瘡ケアや吸引、胃ろう管理などの医療処置が少ないのが特徴といえます。しかし、精神病床から退院した人の再入院率は、退院後6ヵ月で約30%、1年で約37%と高い割合になっています。服薬管理や症状悪化の早期発見など、精神科訪問看護が関わることで、再入院を防ぐことができます。成果が見えにくいともいわれますが、地域でその人らしく、安心して生活ができることそのものが、精神科訪問看護の成果だといえるでしょう。

また、地域で生活を続けるうえでは、近隣とのトラブルを回避することも重要で、訪問看護の介入が退院の条件となっているケースもあります。

例えば、病気の悪化が原因でセルフネグレクトになって家がゴミ屋敷化したり、加齢に伴って日常生活がままならず、ルールに従ったゴミ捨てができなくなったりするケースもあります。こうしたケースでは、訪問介護とも情報を共有しながら、その人が大切にしていることを尊重したうえで、周囲との関係を維持できるように働きかけていくことが重要となります。

このほか、障害者福祉で利用できる自立訓練(生活訓練)事業や就労移行支援事業、精神科デイケアなどを活用し、多職種で連携しながら地域での生活をサポートすることが重要となります。精神科訪問看護師は、精神科疾患の理解だけでなく、利用できるサービスの知識や地域での顔の見える関係づくりが欠かせないといえます。生活者としての利用者の理解者となり、利用者との信頼関係を築くことで、より充実した看護が提供できるのではないでしょうか。

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参考:
厚生労働省:参考資料
厚生労働省:精神障害者の退院促進
厚生労働省:生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)

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