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事例で学ぶ看護技術 病室環境に起因する転倒を予防するには?

仕事に役立つ看護手技 > 生活介助・ケア 編

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患者さんの生活の様子を間近で見ていると、足元がふらついたり爪先が床に引っかかったりしてバランスを崩すことがけっこうありますね。
だからこそ私たち看護師としては、患者さんの転倒を防ぐために様々なケアやリスクマネジメントを行っていく必要があるわ。
今回は、体重を預けた床頭台が動き、バランスを崩した患者さんが転倒した事例をみていきましょう。

●今回の事例:

70歳の高齢患者は、数日前から寝付きの悪さを訴え、睡眠薬を服用していた。
午前3時ごろ、患者が自らトイレに行くためベッドから立ち上がり、床頭台のテーブルに体重を預けたところ、床頭台が大きく動いたことでバランスを崩し、転倒した。
床頭台のストッパーはかかっていなかった。

患者はテーブルの角で左上眼瞼を打ち、裂傷を負った。
翌朝、形成外科を受診し、左上眼瞼を6針縫合した。

患者ごとの転倒・転落リスクに応じた対応が必要

リコ:
この事例の床頭台は、キャスター付きの可動性があるタイプですね。
ストッパーがかかっていなかったのは問題外だといえそうですが、たとえかかっていたとしても、患者さんが体重を預けてまったく動かないというわけにはいかないですね。

ヨシミ師長:
事例の患者さんは、ADLは自立していたということだけれど、睡眠薬を服用後に自力歩行でトイレに行こうとしたのね。
転倒リスクが比較的高い状態だといえるから、ナースコールで看護師を呼び、介助を受けながらトイレまで行くべきだったと思うわ。

リコ:
患者さんは「忙しい看護師さんに悪い」と思って、特に夜間にナースコールを押すことをためらってしまう場合がありますね。
そうした配慮は必要ないことを事前に伝えられていたかもポイントだと思います。

ヨシミ師長:
事例の患者さんは転倒・転落アセスメントツールでどういう評価だったのかにもよるけれど、リスクが高い患者さんには特別の対応が必要なこともあるわ。

リコ:
例えば、看護師が異常を察知しやすいようにナースセンターに近い病室に入ってもらう、患者さんがベッドから離れようとすると自動的にナースコールされる離床検知装置を使うといったことが考えられますね。

ヨシミ師長:
ただ、どのような方法でも絶対の安全を保証できることはないから、患者さんの自立度に合わせて最も転倒リスクが低くなる方法を検討し、そして定期的に見直すことが大切になるわね。

リコ:
支えにしたものが動いて転倒・転落につながるということでは、キャスター付きのオーバーテーブルに起因する事故も多いようです。
キャスターのロック機能も付いていますが、あくまで「軽く触るくらいであればスライドしにくくなる」程度のロックだということを理解しておきたいですね。

ヨシミ師長:
逆に、ロックが利きすぎても、スライドしないことでオーバーテーブル自体が倒れて危険な状況が生まれる可能性もあるから難しいわね。
キャスター付きのオーバーテーブルを安全に使う方法を試行錯誤するよりも、キャスター式ではないオーバーテーブルを使用するほうがいいと思うわ。
ベッドの両側の柵にはめ込んで使用するタイプのオーバーテーブルもあるからね。

整理整頓が転倒・転落リスクを下げる

ヨシミ師長:
事例からは少し離れるけれど、床頭台やオーバーテーブルの上は常に整理整頓して、できるだけ物を置かないようにすることも転倒リスクを下げる環境調整の一つだといえるわ。
置いてある物を取ろうとして思わず体重をかけてしまい、床頭台やオーバーテーブルが動いて転倒・転落につながりかねないからね。

床頭台やオーバーテーブルがベッドから少し離れた場所にあり、無理に手を伸ばして取ろうとするときなどは、よりリスクが高まると思うわ。
また、置いてあった物が落ちて、それにつまずいたり避けようとしてよろけたりする可能性も考えられるわね。

リコ:
食事のときはオーバーテーブルに飲み物を置くこともあると思いますが、オーバーテーブルが動いて飲み物がこぼれ、ベッド柵や床が濡れてしまうと、これも転倒リスクにつながりますね。
コップには蓋をする、配膳された飲み物は動かすことのないテレビ台に置く、持参したペットボトルの蓋は必ず閉めるといった予防策を心がけたいですね。

ヨシミ師長:
患者さんに床頭台やオーバーテーブルに関する転倒リスクを説明して、頭では理解してもらったとしても、とっさのときに手をついてしまうことは十分にあり得ることよ。

リコ:
そうした可能性まで見越して、リスクを下げる方法を考えなければなりませんね。

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参考資料
日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業 第19回報告書(2009年7~9月).

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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