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事例で学ぶ看護技術 薬剤の中止の遅れによる手術・検査の延期

仕事に役立つ看護手技 > 与薬・薬剤 編

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いわゆる観血的医療行為の前に必要な休薬が、予定通りに行われなかったというケースがあるそうですね。
手術や検査を延期すれば、治療計画に狂いが生じることはもちろん、患者さんの生活にも影響を与えてしまうわ。
事例をもとに、ミスを防ぐ方法を考えていきましょう。

●今回の事例:

手術を予定している患者について、術前日の朝よりダビガトラン(直接トロンビン阻害薬)を中止するよう医師から指示が出ていた。
手術2日前の夜勤だった看護師はその指示を見落としており、ダビガトランの処方を当直医に依頼し、手術前日の朝に配薬した。
患者がダビガトランを服用したことに気付いたリーダー看護師は、直ちに主治医へ報告。
予定されていた手術は延期されることになった。

出血リスク軽減のため術前の休薬が必要なことも

リコ:
事例のように手術前などに必要な休薬が遅れたケースは、2010~2015年の間に19件の報告があります。
そのうち9件で予定していた医療行為が延期または中止となっているようですね。

ヨシミ師長:
手術などの医療行為の前に休薬が必要なのは、主に出血に伴うリスクを軽減するためなのよ。
生検、血管撮影、内視鏡下の組織採取などの際も休薬することがあるわね。

リコ:
休薬が行われていなかったことに気付かず、そのまま医療行為を実施してしまった事例も6件あります。
想定外の出血があり、止血術や輸血が実施されるなどの影響があったそうです。

ヨシミ師長:
誤って継続投与された薬剤としては、抗血小板薬、経口抗凝固薬、解熱鎮痛消炎薬、直接トロンビン阻害薬、経口避妊薬などが報告されているようね。
抗血小板作用を持つEPA(エイコサペンタエン酸)を含んだ健康食品を患者さんが手術直前まで摂取していたため、手術が延期されたという話も聞いたことがあるわ。

リコ:
一般的に、休薬する期間はどれくらいと考えればよいでしょうか。

ヨシミ師長:
もちろん薬剤により異なるけれど、手術などを実施する1~2週間以上前からの休薬を必要とする薬剤が多いの。
中には4週間以上前から休薬すべき経口避妊薬もあるから、女性の患者さんであれば服用の有無を確認しておきたいわね。

リコ:
休薬するべき薬剤が2つあるのに、そのうち一方しか休薬していなかったという事例も少なくないようです。
特に一包化されているケースではミスが起こりやすいですね。

中止薬剤の情報を可視化してミスを防ごう

リコ:
こうした事故を防ぐためには、医療従事者が休薬に関する知識を把握しておくことが大切ですよね。
実際、薬剤部が休薬すべき薬剤のリストを作成し、注意喚起している施設も多いです。

ヨシミ師長:
ジェネリック医薬品を含めて情報を一覧化しておくと共有しやすいわね。
加えて、全体でのカンファレンス時などに「今週の手術予定者と服薬について」といったかたちで情報共有することも有効じゃないかしら。

リコ:
友人が働く病院では、患者さんのベッドサイドに中止薬剤があることを知らせる表示をしているそうです。
医療従事者以外を含め、誰にでも分かるよう情報を可視化することも有効ですね。

ヨシミ師長:
そういう意味では、薬剤の管理方法にも工夫の余地がありそうね。
例えば、休薬すべき薬剤については常用薬とは異なる種類の薬袋を使い、手術などの実施日を明記しておくのはどうかしら。

リコ:
患者さんが誤って服薬を続けることのないよう、よく説明しておくことも重要です。
患者さんの家族が自宅にあった薬剤を持参することも考えられますから、術前の説明は家族も同席の上で行ったほうがよいですね。

ヨシミ師長:
休薬忘れに途中で気付いたとしても、予定していた手術の延期や中止などがあれば、患者さんに少なからず不利益を与えてしまうわ。
自分が働く病院では休薬についてどのように取り決めているか、これを機会に確認してみましょう!

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参考資料
日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業 第44回報告書(2015年10~12月).

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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