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ご存じですか?集中治療後症候群(PICS)

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近年、集中治療室(ICU)退室後の短期・長期にわたる身体的・心理的な問題が注目されています。そのひとつがICU入室後に左右対称性の四肢筋力低下を引き起こすICU-AW(ICU-acquired weakness)、もうひとつが集中治療後症候群(PICS)です。

ICU退室後の長期的な予後に注目

集中治療室(ICU)は、緊急性の高い患者さんや重症患者さんの治療やケアを行う場であり、救命や死亡率の減少が最優先されます。そのなかで医療の進歩によりICUでの死亡率が減少したことで、ICU退室後の患者さんの長期的な予後と家族の問題がクローズアップされるようになりました。

集中治療後症候群(Post-Intensive Care Syndrome)は、ICU在室中または退室後、退院後に起こる運動機能や認知機能、精神の障害をいいます。近年、ICU在室中の治療やケアが大きく影響するICU-AWとPICSへの取り組みは、集中ケアの課題のひとつとなっています。

〈PICSの発症に影響する要因〉

(1)患者の疾患および重症度
(2)医療・ケア介入
(3)ICU在室中の環境(アラーム音や光など)
(4)患者のストレスや自分の疾患、経済的な不安や家族のことなどの精神的要因

PICSの主な症状とは?

PICSはいくつかの要因が複雑に絡み合って発症するものとみられています。なかでもよく知られているのが廃用性萎縮による運動機能への影響で、これに対しては、早期離床への取り組みが進められてきました。

このほかにも、認知症やせん妄、鎮静、低血糖などがあると記憶、注意力、実行機能障害が起こり、QOLの低下、ADL、IADLなどへの影響もあります。

これらの症状は初年度に改善するケースも多いですが、障害が長く残るものもあり、例えば鎮静や身体拘束などによるPTSDや長期の呼吸器使用などによる不安症状は、ICU退室後も改善しにくいといわれています。

PICSは患者さんだけでなく、家族にも影響が及び、ICU入室を機に家族がうつや不安障害、PTSDを発症するケース(PICS-F)が報告されています。

現在、PICSやPICS-Fの予防対策として位置づけられているのが、ICUでの患者さん管理に使用されるABCDEバンドル※に、F(Family involvement, Follow up referrals, Functional reconciliation)、G(Good handoff communication)、H(Handout materials on PICS and PICS-F)を加えたABCDEFGHバンドルです。

〈ABCDEFGHバンドルとは?〉

A:Awaken the patient 毎日覚醒させ、鎮静剤の使用を最小限にする
B:Breathing 毎日呼吸器離脱のトライアルをし、人工呼吸器からの早期離脱をはかる
C:Coordination+Choice of sedation or analgesic exposure ・AとBを毎日実践する
・鎮静剤は必要時に目標別に浅い鎮静レベルにするなど
D:Delirium monitoring and management せん妄の評価とマネジメントにより、低活動性せん妄の発見や過活動性せん妄の早期介入を行う
E:Early mobility and exercise ICU-Acquired Weaknessの評価と適切な早期リハビリテーションの開始、動作範囲の拡大や歩行への移行など
F:Family involvement+Follow-up referrals+Functional reconciliation ・患者や家族とともに意思決定をする
・ICUでの活動度、PICSやPICS-Fの情報を転院先や在宅につなぐ
・できなくなったことの回復を目指す
G:Good handoff
communication
患者さんの病状や検査、治療の情報を引き継ぐ際にPICSやPICS-Fの情報も盛り込む
H:Handout materials on PICS and PICS-F パンフレットなどを活用してPICSやPICS-Fについて患者や家族に知ってもらう

※ABCDEバンドル:2010年ごろに提唱された人工呼吸器装着患者管理の概念

PICSやPICS-Fに対する看護師の役割

PICSは、アラーム音や光などの環境因子も大きな影響を及ぼすため、患者さんの療養環境づくりは看護師の重要な役割のひとつといえます。

また、ICUでは、鎮静薬の投与量の変更が医師からの包括指示となっているケースもあります。鎮静状態はPICSの発症に影響するため、看護師によるモニタリングは欠かせないものといえるでしょう。人工呼吸器からの離脱や早期離床、早期リハビリテーションの開始も適切な評価が重要であり、患者さんを最も近く観察している看護師からの情報がポイントとなります。

また、家族ケアも看護師の大きな役割といえます。PICS-Fでの取り組みでは、早い段階で患者さんや家族にPICSの情報を提供し、症状が出たら早めに伝えてもらうように説明することが重要。特に危機的な状況にある患者さんの家族に対しては、終末期にある患者家族の心理的状況に配慮してきめ細やかに対応することが求められます。

ICUにおいては、鎮痛や鎮静、せん妄の評価、療養環境整備、早期離床など、看護師がかかわる様々な取り組みがPICSの予防につながります。PICSやPICS-Fのケアについては、まだエビデンスが少ないといわれていますが、他施設の取り組みなどを学びながら、実践を重ねていくことが求められているのではないでしょうか。

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