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発生率が高い手術室の褥瘡~その対策とは?

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褥瘡対策は、エビデンスの確立とともに診療報酬上での算定が可能となりました。また、医療機関だけでなく、介護老人福祉施設での褥瘡マネジメント加算の新設など、介護報酬上も対応が進められています。そのなかで褥瘡発生のリスクが高く、予防対策の重要性で注目されているのが手術室です。体位の固定が避けられない手術室での褥瘡対策について紹介します。

エビデンスに基づくケアの普及で褥瘡発生率減少

褥瘡は、ハイリスク患者さんに対する予防的な介入によって、発生率が減少傾向にあります。特に、皮膚・排泄ケア認定看護師や特定行為研修修了の看護師など、看護師による対策が発生率減少に大きく寄与しています。
日本褥瘡学会の実態調査委員会報告によれば、療養場所別の褥瘡推定発生率は病院が0.37~1.34%で、介護保険施設が0.58~0.83%、訪問看護ステーションが0.91%となっています(※1)。

また、褥瘡は在宅や介護施設からの“持ち込み”が問題となっていましたが、介護報酬上の褥瘡の予防管理に関する「褥瘡マネジメント加算」の新設や在宅褥瘡管理者の配置など、医療機関外での褥瘡予防に関する対策も進んできました。
褥瘡管理者を中心とした組織横断的な活動と、体位変換や体圧分散寝具の利用、栄養管理、スキンケアなどのエビデンスの高いケアの普及が成果となって表れているといえます。

そのなかでさらなる褥瘡発生率の低減に向けて対策が求められているのが周術期です。周術期の褥瘡は、手術の妨げになる対策がとれません、そのため、体圧分散寝具の利用や体位変換ができないなど、エビデンスがある対策が実行できないという特殊性があります。

※1 日本褥瘡学会誌:第4回(平成28年度)日本褥瘡学会実態調査委員会報告1 療養場所別自重関連褥瘡と医療関連機器圧迫創傷を併せた「褥瘡」の有病率、有病者の特徴、部位・重症度

周術期患者さんの褥瘡ハイリスク加算要件

周術期の褥瘡対策が進みにくい背景には、術式や体位によって褥瘡発生率が異なることがあげられます。手術室で褥瘡が発生しやすい体位や術式とその対策を共有するだけでなく、術者である医師の協力を得る必要がある点も対策が進みにくい要因といえそうです。

しかし、褥瘡ハイリスクケア加算の対象のなかには下記のような周術期の患者さんが含まれています。

  • 麻薬等の鎮痛・鎮静剤の持続的な使用が必要であるもの
  • 6時間以上の全身麻酔下による手術を受けたもの
  • 特殊体位による手術を受けたもの

周術期は同一体位を保持する必要があり、術野を確保するために特殊体位で固定されることもあります。術中にかかる圧やずれなど、外力がかかる環境下で長時間体位が固定されるケースも少なくありません。

手術を受ける患者さんの高齢化が進むなかで、できるだけ身体への侵襲が少ない内視鏡手術などにシフトする動きもありますが、内視鏡手術では特殊な体位をとることが多く、それが褥瘡の発生リスクを高めることにもつながっています。高齢者は皮膚が脆弱でスキントラブルが生じやすいこともあり、安全で低侵襲な手術と褥瘡リスクへの対応の両立は大きな課題であるといえるでしょう。

チームで進める周術期の褥瘡対策

褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)では、周術期の褥瘡予防で「褥瘡発生リスクがある患者には、手術台に体圧分散マットレスや用具を使用するよう強く勧められる」としています(推奨度A)。
また、「術中に、マットレス以外に踵骨部、肘部等の突出部にゲルまたは粘弾性パッドを使用するよう勧められる」(推奨度B)となっています。

重要なのは、皮膚・排泄ケア認定看護師などの褥瘡対策のスペシャリストと手術室看護師が連携を図ることです。手術内容や手術時間・湿潤環境・体位などの手術中の状況と、患者さんの年齢や皮膚の状態などの情報を共有して十分なアセスメントを行い、必要な対策を講じましょう。

全身麻酔で苦痛が訴えられない患者さんに代わり、看護師がきめ細やかに対応することで褥瘡の予防に努めます。具体的には、身体を面で広く支える体圧分散マットレスの選択や、皮膚と接触面のすべりをよくしてずれを予防するゲルやパッドの使用、術中にも頭部や踵部などを可能な範囲で体位変換するなどが考えられます。

ロボット手術など、最新の技術の導入が進むなかで、術中の特殊体位が必要な場面が増えることが見込まれます。そのなかでいかに圧やずれを分散させられるかが周術期の褥瘡予防のカギとなるでしょう。

医師の理解と協力も欠かせません。チームで情報を共有し、患者さんの負担を最小限にする工夫が求められています。

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参考
日本褥瘡学会:平成30年度(2018年度)診療報酬・介護報酬改定 褥瘡関連項目に関する指針

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