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最新看護手技キャッチアップ ネブライザーによる生食投与に去痰効果はある?

仕事に役立つ看護手技 > 疾患・部位別の看護 編

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かつては良しとされていた看護手技に、こだわりすぎてしまう場面はありませんか?今回は「ネブライザーによる生食投与」をテーマに、現在の正しい対応方法について考えます。事例をもとにみていきましょう。

【事例】
入院中の高齢患者の呼吸において喘鳴が聴取された。
去痰の必要があると考えた病棟看護師は、主治医と相談の上、超音波ネブライザーを使用してエアロゾル化した生理食塩水を投与した。

これは私もやったことがあるような気がします。
何かおかしなやり方だったのでしょうか・・・。

去痰を目的とした処置だけれど、思ったような効果が得られていない可能性もあるのよ。

ネブライザーで本当に痰は軟らかくなっている?

ネブライザーは、薬液などをエアロゾル(微粒子)化し、肺へ届けるためのものです。
気管支までは5μm以下、細気管支や肺胞までは2μm以下のエアロゾルでないと到達できないことから、こうした専用の医療機器を必要とするわけです。
呼吸器疾患がある患者さんや、手術前後で呼吸管理が必要な患者さんなどに対して使われています。

事例のように、痰をうまく出すことのできない患者さんに対して、ネブライザーを使って薬剤ではなく生理食塩水や蒸留水を吸入してもらう処置は広く臨床で一般的に行われてきました。
しかし、米国呼吸療法学会(AARC)の報告によれば、水のエアロゾルを加えても、粘液の物理的特性にはわずかな影響しかもたらさないとされています。

吸気の水分量が増えることで、ある程度は痰が軟らかくなったとしても、それは一時的な反応にすぎません(裏を返せば、一時的であればある程度の効果があるといえます)。
根本的なケアとしては、患者さんに十分な飲水をしてもらうなどして、全身の水分バランスを整えるほうが効果的だと考えられます。
また、水分摂取量に制限がある場合などは、去痰薬を用いたほうがよいケースもあります。

気道や気管の加湿についても同様のことが言えます。
加湿の効果はネブライザーによる生理食塩水などの投与を実施している最中にしか認められず、全身的な水分補給を代替することはできません。

ネブライザーによる生理食塩水の投与はまったく無意味とはいえないにしても、限界があることを踏まえ、必要に応じて他の手段と併用することを考えたいものです。

医療関連肺炎のリスクは無視できない

また、肺炎の予防を目的としてネブライザーを使うことにより、むしろ肺炎のリスクが高まっていないかを考慮すべきでしょう。

ネブライザーの管理が不十分な場合は、細菌の含まれたエアロゾルが噴出され、それが下気道に到達すれば医療関連肺炎の原因にもなりかねません
米国疾病管理予防センター(CDC)による「医療関連肺炎予防ガイドライン」などを参考にして、適切な衛生管理が求められるでしょう。

同ガイドラインでは、少量投薬ネブライザーについては、同一の患者さんに使用している間でも、治療ごとに洗浄・消毒(必要な場合は滅菌水ですすぎも行う)した上で、十分に機器を空気乾燥させることが推奨されています。
大容量ネブライザーについては、患者さんごと(同一の患者さんに使用する場合は24時間ごと)に滅菌または高レベルの消毒が必要とされています。


水のエアロゾルを吸い込んでもらうネブライザーは、いかにも去痰効果がありそうですが、その影響は限定的だといえるのですね。

その「効果がありそう」という思い込みは、本当に有効な別の方法を遠ざけてしまうことにもなりかねないから注意が必要ね。

NG看護手技

  • 去痰のためには、ネブライザーで生理食塩水や蒸留水を投与するだけでよい。

OK看護手技

  • 去痰のためには、ネブライザーによる生理食塩水や蒸留水の投与だけでなく、水分摂取による水分バランスの調整や去痰薬の投与を併行して行う。なお、不衛生なネブライザーは医療関連肺炎の原因にもなりかねないため、適宜消毒などを行って衛生を保つ。

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監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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