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事例で学ぶ看護技術 MRI 検査時の高周波電流のループによる熱傷

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以前、MRI検査室に輸液ポンプやヘアピンなどの金属製品を持ち込む危険性について教えてもらいましたが、それ以外に気をつけることはありますか?
MRI検査を受ける患者さんに、熱傷のリスクがあることは知っているかしら?
今回は、高周波電流のループによる熱傷について学びましょう。
●今回の事例:
両膝のMRI検査を実施することになった。
患者の両膝にボディコイルを巻き、素足にタオルを掛けたため、両方の踵部が接触していることに気づかなかった。
検査終了後に「熱かった」と訴えがあり確認すると、踵部にループ状の電流による熱傷が生じていた。

やけどの原因は皮膚の接触で生まれる「ループ」

ヨシミ師長:
MRI検査は、強力な磁石でできた筒(装置)の中に患者さんを入れて撮影するものよね。
造影剤を使わずに撮影することもできるし、CT検査と違って被曝のリスクがないから、比較的侵襲が少ない検査だといえるわ。
ただし、非常に磁力が強いため、MRI検査特有の注意事項がいくつかあるの。

リコ:
以前に学んだ「金属製品の持ち込みNG」というのもその一つですね。
重くて持ち上げるのが大変な酸素ボンベや車椅子までもが猛烈な勢いでMRI装置に吸着されるわけですから、想像するだけでその危険性がわかります。

ヨシミ師長:
そして、もう一つが熱傷のリスクよ。
まず、カラーコンタクトや一部の化粧品など金属が含まれているものは、MRI検査時に発熱することがあるの。
また、今回の事例のように皮膚の接触が原因となることもあるわ。
高周波磁場が発生する環境で、患者さんの身体の一部同士が接触してループを作っていると、そこへ電流が誘導されてしまうの。
接触面がなければ電流が通り過ぎていくけれど、ループがあることで局所的に発熱してしまい、熱傷に至るというわけね。

リコ:
MRI検査時は仰臥位になってもらいますから、今回の事例にある踵部以外にも「殿部と前腕部」「両方の大腿部内側」「両方の下腿部内側」などが接触してループを作るおそれがありますね。
特に、肥満傾向の患者さんは要注意ではないでしょうか?

ヨシミ師長:
そうね。ある事例では、スポーツで腓腹筋の発達した患者さんがMRI検査を受けたとき、両側のふくらはぎが接触してしまい、そこに紅斑と水疱が形成されたそうよ。
患者さんの体型によってもリスクが違ってくることを押さえておきたいわね。

本当に「ブザーを渡したから大丈夫」?

ヨシミ師長:
事故報告を振り返ると、知らず知らずのうちに身体の一部が接触していたというケースが多いようね。
ポジショニングの際は、両腕および両脚が接触しないように、四肢の間を最低でも5cmは空けるようにするのが基本よ。

リコ:
検査台に横たわれば自分の姿は見えないわけですし、気づかないうちに身体が動いてしまうこともありますから、あらかじめ隙間にタオルなどの緩衝材を挟んでおくと安心ですね。
長ズボン式の検査着を用意している病院もあるそうです。

ヨシミ師長:
それらに加えて、患者さんへの事前説明も重要よ。
「熱いような気もしたけれど、気のせいかと思って異変を知らせるためのブザーを押さなかった」という患者さんが少なくないの。

リコ:
検査中は暗くて狭いところに閉じ込められている状態で、しかも工事中のようなガンガンした物音がするわけですから、そもそも皮膚の違和感に意識が向きにくいのかもしれません。
気づいたとしても「よほどのことでない限り検査を中断するのは申し訳ない」という心理が働き、遠慮してブザーを押せない患者さんもいるでしょうね。

ヨシミ師長:
だからこそ、イラストや写真を用いるなどして熱傷のリスクを説明し、熱感などの異常を少しでも感じたらブザーを押すように伝えるべきじゃないかしら。
「何かあったら押してください」とざっくりした説明をするだけでは、患者さんは何に注意すればいいのかわからないわよね。

リコ:
そういえばうちの病院でも、金属製品持ち込み禁止のポスターはありますが、熱傷に関するものはなかったような・・・。
できるだけ具体的な注意点を患者さんに知らせて、事故を未然に防ぎたいですね。

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参考資料
日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業 第22回報告書(平成22年4~6月).

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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