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事例で学ぶ看護技術 MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み

看護あるある 手技Q&A > その他の手技・知識 編
医療関係者や患者さんがMRI検査室に磁性体を持ち込んでしまい、事故につながるケースが多いそうですね。
MRI検査室という特殊な環境でなければ意識しにくいことだけれど、磁性体に関連してどのような事故やインシデントが起こっているのか見ていきましょう。
●今回の事例:
シリンジポンプで患者に投与していたヘパリンについて、医師からMRI検査中も継続投与するよう指示があった。
看護師は点滴ルートに延長チューブをつないだうえでシリンジポンプを点滴台から外し、車椅子で患者を移送した。
そのままMRI検査室内へ入室したところ、シリンジポンプが一気にガントリに吸着し、破損した。

MRIで吸着事故が起こるわけ

リコ:
この事例では、看護師はMRI検査室へ医療機器を持ち込むのは危険だと認識してはいたものの、ガントリに近づけなければ大丈夫だと考えていたそうです。

ヨシミ師長:
磁性体とは、磁場にさらされると磁化する(磁石となる)性質を有する、鉄に代表される物質のことよ。
MRI装置のガントリは検査を受ける人が入っていく筒状の部分で、きわめて強力な磁場が形成されているから、磁性体がすごい勢いで吸着されてしまうのね。
MRI検査室での吸着事故は、患者さんや医療従事者に大きな身体的・精神的被害を及ぼす可能性があるわ。
また、ガントリに吸着したものを取り除くためには数百万円もの費用がかかることもあり、修理費の負担も非常に大きいの。

リコ:
それは怖いですね・・・。
磁性体であることを認識していながらMRI検査室に持ち込んでしまうケースは多いのでしょうか?

ヨシミ師長:
例えば、MRI装置が設置された手術室内に椅子を準備しようとして、清潔野を避けた結果、立入禁止のライン内を通ってしまったという報告があるわ。
また、「中待合室は大丈夫だろう」とコットを持ち込んだケースもあり、磁性体が禁止されているエリアをしっかりと認識できていないことが事故の原因の一つとなっているようね。

リコ:
持ち込んだ物品が磁性体だと認識できていなかったケースは多いですね。
患者さんに使用していた気管切開チューブの壁内にステンレス製のラセンが入っていた、ドレーンのリザーバーに金属製スプリングが使用されていたなど、一見して分かりづらい金属などが原因になりやすいようです。
リザーバーには「MRI等では使用しないでください、金属製のバネを使用しています」という表示があったのに、袋に入っていたため見えなかったのですね。

「日常的に使っているもの」にも要注意!

ヨシミ師長:
磁性体の存在そのものに気づいていなかったというケースもあるわ。
例えば、MRI用ストレッチャーの下にある酸素ボンベが目に入らなかったという報告があるの。
ストレッチャーがMRI用であることで安心し、チェックが甘くなってしまったようね。

リコ:
トレーニング用のアンクルウエイトを装着していた医師がMRI検査室に入室したところ、右足のアンクルウエイトがガントリ本体に吸着したという話もあります。
「まさか!」という感じですが、日常的に使用しているものについては意識がおろそかになってしまうということでしょうか。

ヨシミ師長:
患者さんが日常的に使用している物品に磁性体が含まれていて、それが事故につながることもあるわ。
例えば、携帯電話、補聴器、磁性アタッチメント構造の義歯、耳孔内に入れたボタン型電池などが報告されているの。

リコ:
補聴器や体内インプラントなどの存在は、医療従事者が事前にカルテで共有しておくべき情報ですね。
一方で、鉄粉を含む使い捨てカイロなど、患者さんからの自己申告がなければ見つけにくいものもあります。

ヨシミ師長:
できればMRI検査室の前に「前室」を設け、チェックシートを用いて確認することが大切ね。
ハンディータイプの金属探知機でボディーチェックすることも有効だけれど、すべての磁性体を感知できるわけではないから注意を怠らないでね。

リコ:
ある病院では、放射線科との情報共有や患者さんへの注意喚起のために、MRI検査室への持ち込み禁止物品を写真付きの資料にして掲示しているそうです。
このように視覚に訴えることも、有効な方法の一つかもしれませんね。

参考資料
日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業 第50回報告書(平成29年4~6月).

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