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最新看護手技キャッチアップ 輸液ラインの気泡をどう取り除く?

仕事に役立つ看護手技 > 注射・点滴 編

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かつては良しとされていた看護手技に、こだわりすぎてしまう場面はありませんか?今回は「輸液ラインの気泡の取り除き方」をテーマに、現在の正しい対応方法について考えます。事例をもとにみていきましょう。

【事例】
抗がん剤(パクリタキセル)を投与中、ベッドサイドの看護師はライン中に気泡が生じていることに気づいた。その看護師はたまたま記録用のボールペンを手にしていたこともあり、クレンメを閉じないままボールペンでラインをしごいたり、ボールペンにラインを巻き付けたりして気泡を上方へ逃そうとした。

輸液ライン中に気泡を見つけたら、意地でも取り除いてやろうとするのが看護師の習性かもしれませんね。
入職したてのころは、先輩方の鮮やかな気泡処理のテクニックを見て驚いたものです。

ただ、どんな取り除き方をしてもOKというわけではないわ。
ボールペンを使う方法もよく聞くけれど、本当に大丈夫なのかしら?

輸液ラインの気泡は危険なの?

そもそも、輸液ラインの気泡を警戒するのは空気塞栓を起こさないようにするためだったわね。
気泡(=少量の空気)が静脈内から体内へ入ると、血流に乗って心臓の右心系へ戻ってから肺動脈へと流れ込むわけだけれど、ここにたまった空気が血流を阻害し、肺胞でのガス交換をできなくしてしまうの。
また、心臓にシャント(右心房から左心房への短絡)がある患者さんなら、脳血管が塞栓して脳梗塞の原因にもなりうるわ。
最悪の場合、生命のリスクにつながるおそれまであるということね。

・・・と脅かしてみたけれど、実際のところ、よほど大量の気泡が体内へ入らない限り、空気塞栓を起こすことは考えにくいわ。
少々の気泡であれば問題なく肺へたどり着いて、そこで吸収されてしまうから。
臨床的には、輸液ポンプを使って投与している場合に気泡アラームが鳴ることを防ぐため、一生懸命に気泡を消している・・・というほうが実態に近いのかもしれないわね。
ただし、輸液ポンプで急速投与中に大量の空気が体内へ入って空気塞栓を招いた事故事例も報告されているから、そういうこともありうると頭に入れておくことは必要だと思うわ。

気泡は指で弾きましょう!

さて、冒頭の事例で「ボールペンでラインをしごいたり、ボールペンにラインを巻き付けたりして気泡を上方へ逃そうとした」とあり、かつては実際にこれをやっている看護師も少なくなかったようだけれど、今では基本的にNGとされているわ。

第1の理由として、事例のようにクレンメを閉じないまま輸液ラインを変形させると、元の形状に戻るときに患者さんの血液を引き込み、逆流させるおそれがあるの。
これでは点滴刺入部の閉塞や感染の原因にもなりかねないわね。

第2の理由として、事例のように一部の抗がん剤を投与するときは、一般的なポリ塩化ビニル製ではない輸液ラインを使っていることがあり、それは比較的丈夫なポリ塩化ビニル製に比べて脆弱なの。
そのため、ボールペンなどで強い力を加えると、変形が戻らなくなったり破損したりするおそれがあるわけ。

ちなみに、パクリタキセルをポリ塩化ビニル製の輸液ラインで投与すると、可塑剤であるフタル酸ジ-2-エチルヘキシルが薬液中に溶出し、患者さんの体内へ入ってしまうことが報告されているわ。

というわけで、輸液ライン中に気泡を見つけたときは、まずはクレンメを閉じ、ラインを真っすぐに伸ばしてから気泡の下を指で軽く弾き、浮力を利用して上方へ逃すというのが正しいやり方よ。

それでは取り除けないほど気泡が大きい場合は、いったん輸液を止め、Y字管などから注射器を使って吸い出す方法もあるわ。


そうかあ、輸液ラインの材質にも関わってくる話だったのですね。

古い常識は、新しい知見とともに塗り替えられることがあるわ。
そうした変化にも敏感になっておきたいものね。

NG看護手技
輸液ラインの気泡を見つけたら、クレンメを閉じないままボールペンでラインをしごいたり、ボールペンにラインを巻き付けたりして上方へ逃す。

OK看護手技
輸液ラインの気泡を見つけたら、まずはクレンメを閉じ、ラインを真っすぐに伸ばしてから気泡の下を指で軽く弾き、浮力を利用して上方へ逃す。

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監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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