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日本小児科学会が「幼児肥満ガイド」を公開

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幼児肥満は本人の将来のメタボリスクを高めることがわかっており、将来に向けた取り組みが求められています。日本小児科学会をはじめとする4団体による小児医療保健協議会(四者協)の栄養委員会が2019年5月30日に公表した「幼児肥満ガイド」から、保護者への指導のポイントを中心に紹介します。

「幼児肥満ガイド」作成の背景

脂肪の蓄積は発育と大きな関係があり、新生児に蓄積された脂肪組織は「保温」や「不安定になる離乳期の栄養摂取への備え」の役割を果たしています。2~3歳でその役割を終えると脂肪は減少し、6歳頃に底値になります。

つまり、脂肪組織が底値になる6歳頃の幼児期は、本来脂肪を蓄積する必要がなく、幼児期に肥満であることは、環境あるいは遺伝的な肥満の可能性があるとみられます。

肥満は、子どもの心身に影響を及ぼし、成人後の非感染性疾患(NCD: non-communicable disease)の原因となることがわかっています。
また、肥満に介入できる最も重要な時期が幼児期であるといわれています。特に肥満は生活習慣との関連が大きく、幼児期のうちに正しい生活習慣を身につけることが将来の生活習慣につながるとも考えられるのではないでしょうか。

「幼児肥満ガイド」は、「小児肥満症診療ガイドライン2017」の対象外である5歳未満を対象としたもので、医師だけでなく、看護師や管理栄養士・保育士・教員など幼児にかかわる各職種の肥満対策の柱になるものです。

幼児の肥満対策は、保護者の生活習慣の見直しが欠かせず、保護者の理解と実践がカギとなります。幼児の肥満は今すぐに解消しなければならない問題と認識されにくいこともあり、指導の方法にも工夫が必要となります。

幼児肥満指導の原則と専門職による介入

肥満解消は努力や根性だけで達成できるものではありません。効果を上げる指導を行ううえでのポイントについて、ガイドでは次の3点をあげています。

(1) 肥満幼児を持つ母親も肥満している例が多く、肥満=悪という頭ごなしの指導は母親の人格否定につながりかねない

(2)幼児肥満対策は、家族を巻き込んで行う

(3)母子健康手帳を有効活用する(幼児期の肥満形成因子が確認でき、手帳内の幼児用肥満度判定曲線は肥満の程度や推移の把握に役立つ)

専門職の立場からの介入では、「行政」と「医学系学会や医療機関」の2つの柱を掲げています。「医学系学会や医療機関」での対策の基礎となるのが肥満予防や軽度肥満児に対する指導であり、それを担うのは診療所小児科医・看護師・保健師・栄養士・保健師などです。

肥満予防や対策は、医師による個別指導だけでなく、声かけ介入や動機づけ面接スキルを活用した集団的介入などを通じて、各職種が粘り強く生活習慣改善を啓発することが重要となります。
食事の指導では、幼児と保護者双方に接する機会が多い看護師が家族背景や生育歴、発達過程・生活時間・食事内容などを把握したうえで、正しい食習慣を身につけられるように指導していきます。

〈幼児肥満の食事の特徴〉

  • 1回の使用食品数が少ない
  • 単品献立が多い(朝食、昼食の品数が少なく夕食と間食に多い傾向)
  • 食物繊維量が少なく塩分量が高い など

食事を大皿に盛らない、主菜は肉類に偏らないなどの献立や食習慣の工夫だけでなく、惣菜の上手な活用法や無理なくできるアレンジなどを具体的に伝えることで、保護者にも取り入れてもらいやすくなります。

また、運動習慣は体力・運動能力の向上、健康な身体の育成だけでなく、意欲的な心の育成、社会適応力の発達、認知的能力の発達にも必要とされています。
安全に運動が実施できるように、睡眠時間の確保などの生活リズムの指導と合わせて生活全般をみることが重要です。

保護者(母親)への共感とねぎらいも

肥満によって幼児自身がいじめを受けていたり、弟や妹ができたことで赤ちゃん返りをして過食になったりと、精神的なケアが必要とされるケースもあります。また、主な養育者である母親が精神的ストレスを抱えていることも少なくありません。

たとえば、同居する祖父母が幼児の求めるままに食べ物を与えてしまったり、父親やほかの家族の理解が得られずに母親が家庭で孤立していたりと、幼児の肥満対策では養育面でキーマンとなる母親の負担が大きいといえるでしょう。
子どもを連れて受診に至ったことをねぎらい、母親に共感する態度で接しながらも、専門職として正しい知識を伝えていくことが大切です。

ガイドでは具体的な指導内容や目標設定の考え方、疾患を持つ児の肥満対策など、最新の情報も網羅されています。臨床での指導に役立つ内容で、「肥満対策」としてだけでなく、子どもの発達、発育を知るうえでも学びが多いガイドとなっています。

参考
日本小児科学会:幼児肥満ガイド

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