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ICD-11に新設された「伝統医学」 漢方医学や鍼灸の研究、臨床利用の推進に期待

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2018年6月にWHO(世界保健機関)がおよそ30年ぶりとなる国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)を公表しました。2019年5月に世界保健総会(WHA)で採択され、国内でも今後適用される予定です。そのなかで大きな注目を集めたのが、「伝統医学の病態・モジュール1」の章の新設でした。

ICDと国内での利用状況

ICD(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)は、194か国・地域と2準加盟地域(2019年4月現在)が加盟するWHOから勧告された「疾病および関連保健問題の国際統計分類」です。

各項目が世界共通のアルファベットと数字でコード化されており、同じ疾病あるいは保健問題の国際比較などに利用されています。現在国内で使用しているICD-10は1990年に承認され、2013年に改正されたものです。

ICDでは、すべての疾病と死因がコーディングされ、複数の疾患を持つ患者さんは最も重症あるいは主病態をコード化することなどの統一ルールがあります。
国内では、人口動態統計や患者調査、社会医療診療行為別調査などの厚生労働省の統計調査のほか、診療報酬明細書、電子カルテ、DPC(診断群分類別包括評価)の算定などにも幅広く使われています。

伝統医学の章が加わった背景

2019年5月に採択されたICD-11で新設されたもののひとつが「伝統医学の病態-モジュール1(Traditional Medicine Conditions Module1:TM1)」です。
西洋医学に基づく分類に限定されていたICDに伝統医学が加わることは、伝統医学を見直す国際的な医療の流れを受けたものといえるでしょう。

実際に、近代西洋医学を中心とした医療を受けている人たちは、先進国を中心に世界人口の20~30%といわれています。その他の65~80%の人は、その地域に古くから伝わる民間療法や伝統医学などを受けているといいます1)
また、西洋医学中心の先進国でも、伝統医学は補完代替医療として普及している現状があります。ICDに伝統医学を加えることが、より質の高いデータの収集につながることが期待されます。

伝統医学とは、古代より経験的に伝承されてきたもので、現存する東アジアの伝統医学・インド伝統医学・ユナニ医学・チベット医学は、四大伝統医学といわれています。
今回の改訂では、中医学と韓医学、日本独自の発展と進歩を遂げてきた漢方医学や鍼灸が対象となりました。

伝統医学の章は、従来の西洋医学に基づく概念とは異なり、伝統医学的疾病と証(身体全体の病への反応)がコーディングされることとなりました。これに続き、インドの伝統医学の流れを組むアーユルベーダやユナニ医学、シッダ医学などの追加も検討されているといいます。

医療における漢方医学の普及とニーズの高まり

国内では漢方エキス製剤が保険収載されており、各学会がガイドラインのなかで、漢方エキス製剤についてもエビデンスや推奨度をつけているものもあります。

近年、感染症などによる死亡が減少してがんや生活習慣病が増加するなど、疾病構造が変化するなかで、漢方外来や自由診療による鍼灸外来などの専門外来を開設する医療機関が増加しており、ニーズは高まっています。
今回のICD-11への伝統医学の追加は、診療の体系が国際的に認められたことだけでなく、エビデンスや安全性の評価の推進につながることが期待されています。

同じ疾患でも証が異なれば処方も異なり、変化する体調に応じて処方が変更されるのが漢方医学の特徴でもあります。
症状アセスメントや服薬指導、副作用についての説明などが欠かせない漢方を扱う機会が増える可能性があり、看護師にもその知識が求められるようになるとみられます。

国内でのICD-11の運用は2022年に開始予定となっています。伝統医学、漢方医学に関心がある人は、さまざまな研修機会を活用してその知識を身につけることで、看護師としての仕事の幅がより一層広がるのではないでしょうか。

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引用文献

1)厚生労働省科学研究費補助金(厚生労働科学特別研究事業)分担研究報告書 インド(インド共和国)及び韓国(大韓民国)における統合医療の調査研究

参考文献

厚生労働省:報道発表資料 国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が公表されました

厚生労働省:第7回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会

渡辺賢治:東洋医学におけるICD-11活用.特集:WHO国際疾病分類第11回改訂(ICD-11)およびICF、ICHIの導入に向けて,保健医療科学.67(5):p.471-479,2018.

江口優子ほか:看護職の漢方医学に関する認識と学習ニーズ.聖路加看護学会誌.20(1):p.19-26,2016.

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