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看護師の職業病「腰痛」対策と痛みの治療~腰痛ガイドラインの改訂ポイント~

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日本整形外科学会と日本腰痛学会による「腰痛診療ガイドライン2019」が公表されました。7年ぶりの改定となったガイドラインの内容を中心に、看護師にとって「職業病」ともいわれる腰痛治療のエビデンスについて紹介します。

看護師の腰痛有訴率は46~65%!

腰痛は日常的に遭遇する疾患のひとつで、特に腰部に負荷がかかる作業をしている人で発症リスクが高く、職業によっても有訴率に違いがあることがわかっています。
看護師の場合は46~65%と報告されていることから、自身の健康問題として重要なテーマだといえるでしょう。

腰痛は、骨や筋肉などの運動器の疾患としてだけでなく、社会心理的、年齢などの生物学的な要因も含めてトータルに診る必要がある疾患です。
なかでも心理的な要因では、仕事に対する満足度や職場の人間関係、仕事量の多さ、精神的ストレスなどの項目が腰痛発症との関連性があるとされています。
看護師は腰痛ハイリスク職業であることを念頭におき、自身でもその予防に努めることが重要です。

がん・感染症・骨折の3つの重大疾患以外の慢性腰痛は、原因が不明な非特異的腰痛です。非特異的腰痛では、過度な安静はかえって脊髄や背筋を硬直させて腰痛の悪化を招くおそれがありますが、「仕事だから仕方ない」「年齢のせいだから仕方ない」「みんな痛みがあっても我慢しているはず」と、無理をしてしまうと、看護師の仕事が続けられず離職の原因になることもあります。
痛みに対する治療と同様に、正しいボディメカニクスを理解することが腰への負担を軽減させるポイントとなるでしょう。

腰痛のタイプ別治療の推奨度

ガイドラインでは、薬物治療について疼痛軽減や機能改善への有効性から、推奨薬がランク付けされています。

●急性腰痛の薬物治療
NSAIDsや筋弛緩薬、アセトアミノフェン、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液があげられており、「推奨度1、エビデンスの強さA」と最も高かったのがNSAIDsです。

●慢性腰痛の薬物治療
SNRI、弱オピオイド、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液、NSAIDs、アセトアミノフェン、強オピオイド、三環系抗うつ薬が推奨薬としてあげられています。
最も推奨度が高いのがSNRIで、三環系抗うつ薬は腰痛への適応はないものの、推奨薬のひとつとなっています。

●運動療法
慢性腰痛に対しては、運動療法が「推奨度1、エビデンスの高さB」と高くなっていますが、運動療法のプログラムについては今後さらなる研究が必要で、エビデンスの構築が待たれています。
一方、急性腰痛や亜急性腰痛に対してはエビデンスが不明であるとして、「推奨度なし」となっています。急性期では腰痛や機能障害、QOL、復職についての腰痛体操の効果はなく、通常どおりの生活の継続が唯一有益な介入としています。
亜急性腰痛については、運動療法に対する中等度の効果や復職の効果はあるとしながらも、痛みや機能障害の改善については効果が不明であり、今後の研究が待たれます。

腰痛と生活習慣の関係は?

腰痛発症にかかわる生活習慣では、低体重でも肥満でも腰痛発症との関連が認められており、喫煙や飲酒との関連も指摘されています。仕事上腰痛のリスクがある看護師は、健康管理や生活習慣にも十分に気をつけたいものです。

また、患者さんへの指導においても生活習慣の改善は重要なポイントとなるでしょう。
ガイドラインでは、職業性腰痛は心理社会的因子による影響が強く関連するとしており、認知行動療法も推奨されています。推奨された背景には、海外でのエビデンスが蓄積されていることがあげられますが、国内では保険適用されていないため、薬物治療などで十分な効果が得られない場合などに限定されています。

しかし、それほど腰痛は心理的な影響が強く、予後不良因子にもなります。認知行動療法によって痛みに対する考え方や行動パターンを変えていくことで運動療法などの効果が高まることから、腰痛に対する心理的なアプローチは今後より注目されていくでしょう。

腰痛は看護の仕事においても切り離せない「職業病」であり、患者さんへの指導をより効果的なものにするためにもエビデンスを理解することは重要です。
腰痛に限らず、診療ガイドラインは医師だけでなくコメディカルにも役立つエビデンスや最新の情報が充実しているので、関心が高い分野の学びに活用しましょう。

ナースフルでは働く看護師さんを応援しています。
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参考
日本整形外科学会:腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)

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