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事例で学ぶ看護技術 車椅子のフットレストによる皮膚裂傷

仕事に役立つ看護手技 > 生活介助・ケア 編

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仕事をしているうちにテーブルなどにぶつかって、脚に黒いあざができていることがよくあります。
これって、私だけなんでしょうか・・・。
私もよくあるわ。
でも、患者さんの身体だけは、ぶつけないようにしないとね。

●今回の事例:

看護師が患者を車椅子からベッドへ移乗させようとしていた。
その患者はプレドニゾロン内服と全身浮腫のため、皮膚が脆弱な状態になっていた。
患者が車椅子から離れようとする際、ズボンの裾が持ち上がり露出した下肢にフットレストが直接当たった。
移乗後、患者が下肢の痛みを訴えたため確認すると、フットレストが当たった部分の皮膚が裂け、約8×5cmにわたり筋膜が露出していた。
医師の診察後、18針縫合した。

日常的なケアの中にスキンテアのリスクが潜む

リコ:
皮膚が避けて筋膜露出、18針も縫合することになったなんて・・・。
あざができるなんてレベルとは全然違う話ですね。

ヨシミ師長:
この事例のように、一時的に皮膚に加わった摩擦やずれにより皮膚が裂けたり剥離したりして生じた創傷はスキンテア(skin tear)と呼ばれ、特に高齢の患者さんでは注意が必要とされているわ。

冒頭の事例は「患者さんを車椅子からベッドへ移す際、下肢にフットレストが当たりスキンテアが生じた」というものだけれど、それ以外にも「医療用テープをはがしたとき、一緒に皮膚がはがれる」「四肢がベッド柵にぶつかって皮膚が裂ける」「体位変換の際に持った手足の皮膚がはがれる」「寝衣交換の際に布が擦れて皮膚が裂ける」といったケースも考えられるわ。

まさに日常的なケアの中にも、スキンテアを引き起こすリスクが潜んでいるというわけね。
このような事例は、2012年1月から2018年6月までに報告された医療事故情報のうち、35件あったそうよ。

リコ:
手足を持っただけで皮膚がはがれることもあるとは・・・。
でも、ただ高齢だというだけでは、ここまでのことにはなりませんよね?

ヨシミ師長:
加齢により皮膚が著しく乾燥すること、表皮や真皮が菲薄化すること、表皮と真皮の密着度が低くなりはがれやすくなることが大きなリスク因子だけれど、そのほか冒頭の事例のようにステロイド薬の(長期)使用や皮膚の異常(浮腫、水疱、紫斑など)もリスク因子となるの。
また、栄養不足があったり、放射線治療や抗がん剤治療、透析療法を受けていたりすることもリスク因子とされているわ。
したがって、スキンテアが起こるのは高齢の患者さんに限らないということね。

物理的な保護で皮膚を守るべし!

リコ:
そうしたリスクを踏まえた上で、スキンテアを予防するにはどうしたらよいでしょうか?

ヨシミ師長:
冒頭の事例のような移乗の場面に関しては、特にスキンテアが生じやすい四肢を中心に、摩擦やずれが生じないよう物理的に保護することが効果的じゃないかしら。
例えば、患者さんが身につける衣類は長袖・長ズボン・靴下とし、アームカバーやレッグカバーなども活用して、なるべく肌の露出を防ぎましょう
といっても、締め付けが強いものは逆に肌への刺激となるから気をつけてね。

また、車椅子のフットレストは角がある程度丸みを帯びているものだけれど、それでも引っかかると脆弱な皮膚にはダメージとなるし、フットレストの裏面は格子状の構造になっているから注意が必要よ。
これについてもカバーで覆うなどしてリスクを下げる方法がよいと思うわ。

リコ:
もちろん、物理的に保護すれば万事OKというわけにはいきませんね。
患者さんの状態をアセスメントする、注意深く安全確認をする、複数名で移乗を介助する、患者さんへの注意喚起や意思疎通を怠らない・・・といった「移乗介助の基本」を守ることが根本的な対策だと思います。

ヨシミ師長:
まったくその通りだと思うわ。
プラスαの対策も大切だけれど、まずは基本を忠実に守ることが、患者さんと医療者を守る最大の方法になるというわけね。

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参考資料
日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業 第54回報告書(2018年4~6月).

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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