リクルートの看護師転職パートナー ナースフル

閉じる

明日役立つ手技から働き方、医療ニュースまで、看護に活かせる情報をお届け ナースフルマガジン

薬物依存のケアに強い看護師になる~研修で学ぶ専門知識

最新ナースコラム > ナースのお仕事

当コンテンツは株式会社 リクルートメディカルキャリアが運営する「ナースフル」というサイト内のコンテンツです。
もし、当コンテンツに関してご不明な点がある場合は、こちらの運営者情報ページからお問い合わせください。


薬物が効かなくなると、薬物を求める欲求(渇望)がコントロールできなくなる薬物依存症。現在特効薬はなく、再び使用しないようにコントロールをし続けることが治療となります。そのため、治療には家族や友人など、周囲の協力が欠かせず、医療者による継続的な支援を必要とします。その専門的な知識を学ぶにはどのような研修があるのか、主なものを紹介します。

薬物依存の悪循環が起こる理由

まずは薬物に関する用語について理解しましょう。薬物乱用と薬物依存、薬物中毒は、一般的に同義語で語られてしまうことも多いですが、治療やケアにあたる場合は、その関係性と概念を理解することが患者理解の第一歩となります。

法律によって所持や売買、使用などが禁止されている薬物は、一度でも使用すると「薬物乱用」と定義されます。また、「薬物依存」は、依存性の高い薬物を繰り返し乱用して、それを止めようとしても渇望が自制できない、脳の異常をきたした状態をいいます。「薬物中毒」は、薬物を入手するために経済的、社会的な問題を引き起こすなどの問題行動が現れ、幻覚や妄想などの精神病の症状が慢性的にみられる状態です。

薬物中毒による幻覚や妄想などの症状が出現すると、その症状に気持ちが向くため、薬物乱用の頻度は低下します。また、幻覚や妄想は、治療を受けることで治まりますが、薬物依存は継続しています。逆に幻覚や妄想などが消失したことで、低下していた薬物乱用の頻度が増える人が多く、薬物中毒の症状が再び出現するという悪循環が続きます。

依存症治療指導者養成と研修支援の充実へ

国内では、15歳以上64歳以下の薬物使用の生涯経験率が大麻1.4%、有機溶剤1.1%、覚醒剤0.5%、コカイン0.3%となっており、2013年以降はこれに危険ドラッグ(0.2%)も加わっています。薬物による検挙者数は毎年1万4000人前後で推移していますが、これは氷山の一角とみられており、薬物依存は低年齢化や再犯率の高さ、さらに危険ドラッグなどの新たな薬物の使用など、社会的にも大きな問題となっています。

一方、依存症の治療は専門性が高く、継続的な支援が必要となるものの、専門医療機関の整備が進んでいませんでした。そこで、2017年に国立行政法人久里浜医療センターを依存症対策全国拠点機関に指定し、地域の指導者の養成、情報提供、普及啓発などを開始。同年に開始された依存症総合支援事業で47都道府県・20指定都市に依存症の専門医療機関を指定して専門的医療の提供を行うこととなりました。

全国拠点機関である久里浜医療センターでは、依存症の専門医療機関や相談拠点である精神保健福祉センターなどの相談員養成を行っています。さらに指定を受けた専門医療機関では、地域の医療機関・保健所・市町村などに研修を行うなど、裾野を広げる活動を行っています。

依存症の専門医療機関の選定基準の1つとなっているのが、依存症治療指導者養成研修や薬物依存症に対する依存症集団療法の算定対象となる、研修などを修了した医師やコメディカル(看護師、作業療法士など)の配置です。

依存症治療指導者養成研修では、3日間にわたって薬物依存症や自助活動、薬物問題に関連する法律や家族支援、生活支援などを学びます。都道府県等の精神保健福祉センターなどでの相談支援にあたる職員を対象にした、依存症相談対応指導者養成研修との共通プログラムとなっています。

※厚生労働省:現在の薬物乱用の状況

専門医療機関から地域まで切れ目のない支援を

この他、国立精神・神経医療研究センターでは、精神科病院や精神保健福祉センターなどに勤務する看護師や薬物依存のケアに関心がある看護師を対象にした、薬物依存臨床看護師等研修も行っています。薬物依存に関する基礎知識から覚醒剤依存、精神病の臨床・治療、全国の民間リハビリ施設の現状、薬物依存患者の家族の支援まで、研修期間4日間で幅広く学ぶことができます。

また、精神科の専門病院である国立病院機構下総精神医療センターでは、毎年看護師を対象に薬物乱用対策研究会を開催しています。同センターでの関連機関との連携や、そのなかで各専門職がどのような役割を果たしているかなど、治療環境づくりの具体的な取り組みを学ぶことができます。
依存症は、患者さん自身だけでなく、家族にも大きな影響を及ぼす病気であり、看護師には依存症に対する正しい理解、社会的な背景や家族の状況をふまえたケアの提供が求められます。依存症治療拠点機関設置運営事業が始まり、今後は専門医療機関から地域の医療機関、保健所、民間団体も含めて切れ目のない支援と、その内容の充実がはかられていくものとみられます。

ナースフルでは働く看護師さんを応援しています。
転職についてお悩みの方はこちらのフォームよりご相談ください。

厚生労働省:薬物依存症対策について
厚生労働省:知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス 薬物依存症
厚生労働省:障害福祉保健部依存症対策の全体像
厚生労働省:障害福祉保健部依存症対策の全体像依存症対策関連予算平成30年度予算案

TOPへ