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事例で学ぶ看護技術 患者移動時のドレーン・チューブ類の偶発的な抜去

仕事に役立つ看護手技 > 疾患・部位別の看護 編

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チューブ類がたくさん挿入されている術後の患者さんの移動を手伝ったとき、チューブの1本が引っ張られてヒヤッとしました。
あってはならないことだけれど、そのようなインシデント報告は少なくないの。
どうすればリスクを下げられるか、実際の事例から学びましょう。

●今回の事例:

入浴介助後、スタッフ4人で患者を浴用ストレッチャーからベッドへ移動させた。
そのとき、看護師1人と看護助手1人が浴用ストレッチャー側、看護師1人と准看護師1人がベッド側に立っていた。
まずは患者をストレッチャーからベッドの端まで移動させ、次にベッドの中央まで移動させた。
2度目の移動の直前、看護助手はストレッチャーの柵付近に採尿バッグのチューブが引っかかっているように見えたため「待って!」と声をかけたが、間に合わず移動させてしまった。
患者が「痛い」と訴えたため、身体にかけていたバスタオルを外して確認すると、バルーンが膨らんだまま膀胱留置カテーテルが抜けており、尿道口から少量出血していた。

「皆が確認しているから」という油断

リコ:
スタッフが4人もいれば周囲の状況に十分な配慮ができそうですが、必ずしもそうではないのですね。

ヨシミ師長:
同様の事故報告をみると、移動に関わった医療従事者の人数は、4人以上が最も多かったそうよ。
移動に関わった人数が1~3人の場合に比べて、むしろ4人以上のほうが事故を起こしやすいというのは興味深いわね。

リコ:
その場にいるスタッフの人数が多くても、いや、多いからこそ、「誰かが確認しているだろう」という思い込みや声かけの不足で、役割分担があいまいになってしまうのかもしれませんね。

ヨシミ師長:
事故の要因として挙げられているのは、「移動時に何を確認すべきか理解していないスタッフがいた」「急いでいてドレーンやチューブへの注意が足りなかった」「患者さんの様子にしか目を向けていなかった」など、やはり確認不足や連携不足ね。

リコ:
今回の事例では、膀胱留置カテーテルが抜去されてしまいました。
他の事例をみても、抜去されたものは気管チューブ、気管切開チューブ、中心静脈カテーテル、肺動脈カテーテル、各種ドレーンなど、患者さんへの影響が大きいものばかりです。
特に気管チューブが抜けてしまった事例では、換気しながら再挿管したり、心肺蘇生を行ったりと、かなり危険な状況になってしまったようですね。

事例の共有やヒヤッとする疑似体験で意識付けを

ヨシミ師長:
事故報告によると、ドレーンやチューブ類が引っかかった場所は、手術台のサイドレールやストレッチャーの柵などが多かったそうよ。

リコ:
チューブの一部は確認していても全体を見ていなくて引っかかってしまったり、勢いよく移動させたために引っかかってしまったり・・・。
中には、せっかく安全な移動のためにスライダーを使用したのに、患者さんの身体の下にチューブが入り込んで、スライダーに引っ張られてしまった事例もありますね。

ヨシミ師長:
これまでの事故報告を踏まえて挙がっている改善策は、「患者さんに挿入されているすべてのルートの位置やたるみを挿入部からたどる」「テープなどで十分に固定する」「重要なドレーンを保持する担当者を決める」といったことね。
基本的なことだけれど、ドレーンやチューブ類の状態を十分に確認して、さらにスタッフ同士で声をかけ合うことが事故予防には欠かせないわ。

リコ:
ただ、看護師から医師に対して、あるいは後輩から先輩に対して声かけするのは、良好な関係が築けていないとなかなか難しいというのが本音です。
事故事例を共有して、移動時の注意点について話す機会があれば、そのハードルが下がる気がします。

ヨシミ師長:
ロールプレイで「ヒヤッとする疑似体験」をしてみるのも勉強になるわよ。
例えば、抱きまくらや人形に重り(500mL入りのペットボトルなど)を付けたひもをくくり、そのひもが抜けないように数人で移動させるの。

リコ:
移動を担当するスタッフの1人が目隠しをして、残りのメンバーが声かけだけで誘導するという練習はどうでしょう?
目隠ししている人は全身でチューブ類の位置や障害物の有無を確認するでしょうし、残りのメンバーはどのような声かけをすればよいか考える練習になりますよね。

ヨシミ師長:
それもおもしろいと思うわ。
なかなか時間を割くのは大変かもしれないけれど、患者さんの安全のため、ちょっとした時間でも工夫して練習できるといいわね。

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参考資料
日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業 第53回報告書(平成30年1~3月).

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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