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医療費・介護費増大の原因となる高齢者の慢性疾患併存とその特徴は?

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高齢化率の上昇と医療費・介護費の増大は切り離せない問題です。なかでも2019年3月に公開された研究では、後期高齢者の多疾患併存が医療費のみならず、介護給付金増加にもつながることが示されました。医療費・介護費の抑制策に活かされることが期待されます。

医療費・介護費増大の要因

総務省の人口推計によると、国内総人口1億2,622万人に対して65歳以上人口は3,571万と、総人口に占める高齢化率は28.3%となっています(2019年3月1日現在の総務省発表概算値)。さらに75歳以上に絞っても総人口に占める割合は14.4%で、15歳未満人口に占める割合の12.2%よりも高くなっています。


※総務省:人口推計-2019年(平成31年)3月報-より作表

「団塊の世代」と呼ばれる世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年に向けて、地域包括ケアシステムの構築が進められています。さらに現役世代の負担が大きくなるなかで、医療・介護費が増大するそもそもの要因を明らかにして効果的な対策につなげることが求められます。

日本を除くOECD諸国によるこれまでの研究で、高齢者の多疾患併存は医療費増大に関連することがわかっています。それをふまえて、介護給付金との関連を明らかにしたのが、2019年3月発表の筑波大学ヘルスサービス開発研究センターをはじめとした多施設共同による研究です。

この調査研究は、後期高齢者の医療と介護のレセプトデータを個人レベルで突き合わせて匿名化したデータを分析したものです。12ヵ月以上の追跡が可能な人を対象に、多疾患併存の指標であるCharlson Comorbidity Index(CCI)を用いて0~5以上の6段階に分類しました。CCIは、様々な疾患の予後予測に使われており、患者さんの全身状態をスコア化して評価するもので、併存症が多いとスコアが高くなります。

多疾患併存と要介護度の関係

筑波大学の研究によれば、12ヵ月間の医療費・介護給付金は平均で108.6万円にのぼり、CCI値の上昇に比例して高くなることがわかりました。CCIが1上昇すると、平均年間医療費は15.7万円、介護給付金は12万円高くなるという結果になりました。

この調査グループでは、併存疾患が多い高齢者は、「もともと介護ニーズが高い人が多く、介護給付金の増大にもつながっていることが考えられる」としており、要介護度の上昇によって介護保険利用限度額が増えることも一因とみられます。

さらに詳しくみていくと、CCIが0点の人は要支援・要介護状態にない人が82.2%だったのに対して、CCIが5点以上ではその割合が54.7%にとどまりました。逆に要介護5の人の割合は、CCIが0点の人が1.6%だったのに比べ、CCI値5点以上の人は6.6%となっており、慢性疾患を複数抱えている高齢者の場合、年間医療費、介護給付費はともに増大することが示唆されました。

効果的な予防対策につなげるために

また、東京都健康長寿医療センターの調査では、75歳以上の約8割が2疾患以上、約6割が3疾患以上の慢性疾患を併存していることが示されています。

この調査は東京都の75歳以上の後期高齢者約131万人分のレセプト情報を分析したものです。最も頻度が高かった3疾患の組み合わせは男性が高血圧・潰瘍性疾患・虚血性心疾患で12.4%、女性が高血圧症・脂質異常症・潰瘍性疾患で12.8%でした。また、多疾患を併存する高齢者の特徴として、次の点があげられています。

  • 男性
  • 85~89歳
  • 医療費が1割負担
  • 在宅医療を受けている
  • 外来受診施設数が多い
  • 入院回数が多い

この特徴と、CCI値の上昇、医療費・介護給付費の増大の関連性は、今後地域包括ケアシステムのなかで疾病・介護予防を進めるポイントとなるのではないでしょうか。

今回の調査研究は、AMED(日本医療研究開発機構)長寿科学研究開発事業のひとつであり、今後も医療と経済に関連する研究が進められていくものとみられます。また、厚生労働省では、保険医療のビッグデータの連結や活用を推進しています。それによってICT環境の整備やAIの活用などが進むことで、病気の予防や要介護状態の回避につながる早期の予防施策の実施や治験、臨床研究への参加促進、治療法の開発や効率的、効果的な介護などにつながることが期待されます。

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