リクルートの看護師転職パートナー ナースフル

閉じる

明日役立つ手技から働き方、医療ニュースまで、看護に活かせる情報をお届け ナースフルマガジン

児童虐待への対応~医療機関における課題と役割とは?

最新ナースコラム > 医療の最新ニュース

当コンテンツは株式会社 リクルートメディカルキャリアが運営する「ナースフル」というサイト内のコンテンツです。
もし、当コンテンツに関してご不明な点がある場合は、こちらの運営者情報ページからお問い合わせください。


児童虐待に関連する事件が相次いで報じられるなか、そのような事件を未然に防ぐために専門的な対応や、組織的体制が必要とされています。医療機関にもその早期発見と早期対応の役割が期待されているものの、組織的な取り組みは十分ではないというのが現状です。

児童虐待の相談対応件数が過去最多に

1990年代から社会問題のひとつである児童虐待。2000年11月の「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」の施行、その後の「児童福祉法」の改正で児童虐待の定義が見直されたり、児童虐待だと“思われる”児童も通告義務の対象になったりと、子どもの人権保護に必要な措置がはかられてきました。

児童相談所の相談対応件数が2017年度で13万3,778件と過去最多となっている背景には、こうした措置の強化や、子どもが見ている前でどちらかの親が配偶者に暴力をふるうなどの「面前DV」(心理的虐待)に対する警察からの通告などの増加があります。しかしそれでも児童虐待による事件は後を絶ちません。

2018年の児童虐待による事件の報道を受け、政府は12月に「児童虐待防止対策総合強化プラン」を発表。2019年度から2022年度までに、児童相談所の人員増加や児童相談所の体制の強化などを進めるとしています。

〈児童虐待とは〉

身体的虐待 殴る、蹴る、投げ落とす、激しくゆさぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など
性的虐待 子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触るまたは触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など
ネグレクト 家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車のなかに放置する、重い病気になっても病院に連れていかないなど
心理的虐待 言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に暴力を振るう など

※厚生労働省:児童虐待の定義

医療機関での組織的対応は?

医療機関は、妊産婦や子ども、養育者の心身の問題や要保護児童、養育支援を必要とする家庭などを把握しやすいといえます。特に小児科では頭部外傷や身体的虐待が疑われる子どもが受診する可能性もあり、保護者との接触の制限が必要な場合の一時保護にあたることもあります。

医療機関では守秘義務や個人情報保護の観点から、情報提供に際して患者の同意を得ることが基本ですが、児童虐待の防止や対応のために必要とされる場合は法令違反にはならないことが厚生労働省(雇児総発1130 第2号、雇児母発1130第2号)から通知されています。しかし、虐待者(その疑いがある者も含む)が主治医や看護師に不信感を持ったり、クレームをつけてきたりする可能性もあります。その負担を軽減するためにも、医療機関での虐待対応は院内の子ども虐待対応チームが行い、リーダー医師とコーディネートを担当する看護師などが院内外と連携をはかることが重要となります。

〈地域の中核病院における院内の子ども虐待対応組織の例と役割〉

リーダー医師 ・メンバー集結・動機づけ
・目標設定やマネジメント
・支援方針の決定のための医学的業化
・関係機関へのわかりやすい情報提供 など
コーディネーター
(看護師、MSWなど)
・院内・院外の連携の中心となる
・リーダー医師と協力し、院内体制を構築
・地域資源の把握と活用
・児童虐待の関係機関との連絡調整等を行う
その他(各診療科のスタッフや臨床心理士)

虐待が疑われる事例に遭遇した場合の対応を学ぶ

虐待に対する対応では、日本小児科学会が「子どもの虐待診療の手引き第2版」をホームページで公開しているほか、日本産婦人科医会や日本産婦人科学会でも周産期からの虐待防止に取り組んでいます。

厚生労働省発表の、虐待による死亡事例の背景要因分析から、心中以外の虐待死事例は0歳児が最も多いことがわかっています。その加害者の半数以上が実母で、妊婦健診未受診者が多く、予期せぬ妊娠が背景にあることもわかりました。妊婦のメンタルヘルスケアへの取り組みも、虐待を未然に防ぐうえで欠かせないものといえるでしょう。

また、明らかな虐待について児童相談所へ通告することは当然ですが、「ちょっと気になる」事例についても、地域の保健所に連絡をとる、外来受診を継続させるための働きかけをするなど、医療と子どもを分断させないことが大切です。

虐待のなかには必要な医療や健診、予防接種を受けさせない「医療ネグレクト」もあります。必要な薬を適切に飲ませない、勝手に中断する、医療機関の受診がいつも遅い、不必要に頻回に受診する、夜間診療しか受診しないという場合にも、虐待が隠れている可能性があります。

医療者の気づきが虐待の早期発見につながる事例は少なくなく、保護者など(虐待者)の多くも医療を必要としています。子どもや保護者などに接する際の医療者の態度、院内で児童虐待が疑われる事例に遭遇した場合の対応を共有しましょう。

ナースフルでは働く看護師さんを応援しています。
転職についてお悩みの方はこちらのフォームよりご相談ください。

参考
厚生労働省:児童虐待防止医療ネットワーク事業推進の手引き

TOPへ