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事例で学ぶ看護技術 膀胱留置カテーテルによる尿道損傷

仕事に役立つ看護手技 > 疾患・部位別の看護 編

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女性の患者さんに膀胱留置カテーテルを挿入した経験はあるのですが、今度初めて男性の患者さんに実施する予定です。
どのようなことに気をつけたらいいですか?
膀胱留置カテーテルを安全に挿入するためには、絶対に確認すべきポイントがあるの。
医療事故も少なくないから、事例を通して学んでおきましょう!
●今回の事例:
全身麻酔導入後の患者に対して、看護師が14Frの膀胱留置カテーテルを挿入した。
根元まで挿入したところ、尿の流出はなかったが抵抗なく挿入できたため、膀胱内に到達しているものと判断した。
バルーンに滅菌蒸留水を注入したところ、直後に出血があり、直ちにカテーテルを抜去した。
患者は泌尿器科医により尿道損傷と診断され、入院期間が6日間延長した。

そのカテーテル、本当に膀胱内に到達した?

リコ:
もう膀胱内に到達しているかと思ったら、実際はまだ尿道内だったということですね。
挿入時の抵抗感や患者さんからの痛みの訴えがなくカテーテルを挿入できたら、膀胱まで入ったと思い込んでしまいそうです。

ヨシミ師長:
カテーテルの根元まで挿入できたとしても、正確に膀胱内へ到達したとは限らないの。
例えば、カテーテルの進め方や角度によって先端が屈曲したり反転したりすると、膀胱内に挿入されたように錯覚してしまうことがあるわ。

リコ:
カテーテルが膀胱内に到達したかどうか、確実にチェックする方法はないでしょうか?

ヨシミ師長:
「尿の流出の確認」がポイントよ。
膀胱留置カテーテルを挿入するときには絶対に確認すべきで、手順書などにも「尿の流出がない場合はバルーンを拡張しないこと」などと記載されているはずだわ。

リコ:
でも、排尿後や禁飲食などの影響で、そもそも尿がたまっていないというケースも考えられませんか?

ヨシミ師長:
一般的に成人の膀胱の容量は約300~500mLで、200~300mLくらいの尿がたまると尿意を感じるといわれているわ。
尿意を感じるほどの尿量がなかったとしても、適切にカテーテルが膀胱内に到達すれば、多少なりともたまっている尿が流出してくるはずよ。
自然に尿が出なかったとしても、腹部を軽く圧迫すると流出してくることが多いわ。

リコ:
「このくらい挿入できれば問題ないだろう」と主観的な判断だけでバルーンを拡張するのは危険を伴うということですね。
命に関わるような事例は見られないものの、尿道損傷による患者さんの痛みや精神的苦痛は大変なものだと思います。
予定の手術が延期になった、本来行う予定ではない内視鏡検査やX線撮影が必要になった、という事例もあるそうです。

ヨシミ師長:
排尿の不十分な確認が尿道損傷のリスクにつながるということを、あらためて認識する必要があるわね。

安全性を高めるために行いたい3つのこと

リコ:
患者さんの負担を軽くするため早く処置を終えたい、手術や検査の開始時間に間に合わせないといけない、といったプレッシャーから、排尿が確認できなくてもバルーンを膨らませてしまったという気持ちはわかります。
安全に行うために、工夫できることはありますか?

ヨシミ師長:
例えば、排尿のタイミングに合わせてカテーテル挿入する方法はどうかしら。
あらかじめ「10時に処置をしますから、9時以降にトイレに行きたくなったら教えてください」などと患者さんに説明しておくの。
処置の時間より前に患者さんが尿意を感じたら、その時点でカテーテル挿入を前倒しするといいわ。

リコ:
基本的な手順を振り返り、周知徹底することも大切ですね。
「尿が出始めても、カテーテル先端はまだ尿道内にある可能性があるため、さらに2~3cmゆっくりと挿入する必要がある」などと理由と合わせて手順を把握したいところです。
また、より確実性を高めるために、エコーを見ながら処置するという方法もありますね。

ヨシミ師長:
前立腺肥大があるなどリスクの高い患者さんの処置は、無理に独力で実施しようとせず、泌尿器科医に協力を求めるのも一案よ。
実際、事故の報告があった27件のうち26件が男性の患者さんだったということだから、院内で協力し合って安全な処置を心がけたいわね。

リコ:
「尿の流出を確認する」というポイントを押さえたうえで、そのためにできる工夫を重ねることが大切ですね。

参考資料
日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業 第31回報告書(平成24年7~9月).

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監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

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