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患者さんの人生の最終段階における苦痛や療養状況 国内初となる遺族への予備調査の結果

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患者さんが終末期に受けた医療の満足度や家族の負担、死別後の家族ケアの状況を知ることは、あらゆる医療職にとって重要なことといえます。国立がん研究センターがん対策情報センターが、厚生労働省の委託事業として国内で初めて開始した、「患者が受けた医療に関する遺族の方々への調査(予備調査)」のポイントを紹介します。

遺族への調査実施の背景

「医療の質」は、医療を受けた患者さんが評価することが望ましく、医療機関でも個別に患者満足度調査などを実施しています。しかし、人生の最終段階で受けた医療については、患者さんが直接評価することができないため、海外では遺族を対象にした調査が行われています。また、国内でも緩和ケア病棟を利用した患者さんの遺族を対象にした調査は行われていますが、これまでに全国的な遺族への調査は実施されず、課題となっていました

そこで2018年、4,812名(有効回答数2,295名)の遺族に協力を依頼して、国内初となる全国的な予備調査が行われました。この結果をもとに、2019年に本格的な調査を行うことが決まっています。

予備調査の対象となった疾患は国内の主な死因である「がん」「心疾患」「脳血管疾患」「肺炎」「腎不全」で、人口動態統計の死亡票情報から、死亡時に20歳以上で死亡場所が病院、診療所、介護老人保健施設、老人ホーム、自宅のいずれかが対象となりました。

この予備調査をはじめ、本格的な全国調査で遺族の意見を広く集めることで、可能な限りその人の希望に添う人生の最終段階の医療のあり方の議論が進むことが期待されます。

患者さんの医療に対する満足度は?

この調査では、患者さんが亡くなる1ヵ月間で最も長く過ごした場所が自宅で、全体の4割にのぼりました。「亡くなられた場所で受けた医療に対する満足度」は、疾患や死亡場所によって62.6~78.7%と差がみられることもわかりました。

〈亡くなった場所で受けた医療に対する全般的な満足度〉

出典:国立がん研究センターがん対策情報センター:厚生労働省委託事業 がん患者の療養生活の最終段階における実態把握事業「患者が受けた医療に関する遺族の方々への調査」平成29年度予備調査結果報告書より作表

例えばがん患者さんの満足度は、PCUでは82.4%だったのに対し、病院は66.9%。また、自宅は78.7%、施設が81.0%と、やはり病院に比べて自宅のほうが満足度は高くなっています。

しかし亡くなった場所で受けた医療に対する全般的な満足度が比較的高いにも関わらず、「人生の最期の療養場所の希望について、患者さんと主治医で十分に話し合いができた」とする割合は43.3~65.8%にとどまっていました。なかでも病院は話し合いが十分にできていないことが示唆されています。病院で話し合いができた割合は27.8%(脳血管疾患)から、最も高いがんでも47.2%にとどまっています。一方自宅では50.0%(脳血管疾患)から85.7%(心疾患)と高い傾向が出ています。
このことから特に病院において、患者さん・ご家族が納得いく形で最期を迎えられるよう、接点を持つ機会を設けることが医療者には求められているのではないでしょうか。

また、終末期のケアで重要なのが「痛み」に対するケアです。この調査は、亡くなる1ヵ月間の患者さんの療養生活の質についても聞いています。
調査対象となったすべての疾患で、3~4割程度の患者さんが亡くなる1ヵ月前に痛みや身体の何かしらの苦痛、気持ちのつらさを感じて生活をしていることが明らかとなりました。特にがん患者さんでは3割が強い痛みを抱えていたことがわかり、疼痛コントロールやケアの充実が今後の課題のひとつといえます。

家族の介護負担軽減や抑うつ、悲嘆のケアも重要な課題

今回の予備調査では、患者さんの療養を支えた遺族の介護負担感や抑うつなどについても聞いています。疾患別で遺族の介護負担が最も大きかったのは腎不全で46.6%でしたが、最も少ないがんでも42.1%と、大きな差はない結果となりました。

死亡場所での比較は疾患ごとに異なり、がんでは病院が最も低い35.8%、心疾患は自宅の30.0%、脳血管疾患も自宅の32.6%が少ない結果となりました。また、腎不全は病院や施設よりも自宅の介護負担感が大きく、49.2%でした。

遺族のうつ症状は、一般的なうつ病の有症率よりもやや高めという結果で、離別による苦痛(複雑性悲嘆)があるとする遺族は1~3割程度でした。
悲嘆のケアは看護が大きな役割を担うものでもあり、本格的に行われる2019年の調査結果もふまえてどのような介入ができるのかを検討していく必要があるでしょう。

遺族と医療者は接点が少なくなり、患者さんが人生の最終段階に受けた医療をどのようにとらえていたのか、遺族がどのような思いを抱えているのかなどを知る機会は少ないのが現状です。この調査をもとに、どのような関わりができるのかを検討するのもよいのではないでしょうか。

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参考
国立がん研究センターがん対策情報センター:厚生労働省委託事業 がん患者の療養生活の最終段階における実態把握事業「患者が受けた医療に関する遺族の方々への調査」平成29年度予備調査結果報告書

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