リクルートの看護師転職パートナー ナースフル

閉じる

明日役立つ手技から働き方、医療ニュースまで、看護に活かせる情報をお届け ナースフルマガジン

進む「人工臓器」の開発~その将来性は?

最新ナースコラム > 医療の最新ニュース

当コンテンツは株式会社 リクルートメディカルキャリアが運営する「ナースフル」というサイト内のコンテンツです。
もし、当コンテンツに関してご不明な点がある場合は、こちらの運営者情報ページからお問い合わせください。


人工臓器の開発の歴史は古く、さまざまな研究が進んでいます。例えば、2019年9月には、一部メディアで人工血液の開発が報じられました。実用化は今後の研究を待たなければなりませんが、血液型を問わず、常温で1年間保存できるという画期的なものです。もちろん、人工腎臓のようにすでに臨床でも使われている人工臓器もあります。今回は、その現状と将来について紹介します。

最も普及している人工臓器「人工腎臓」

人工臓器は、臓器や組織の一部、あるいはその機能のすべてを代替する人工的な装置のことで、一般的には内臓の機能を代替するものを指します。

臨床で長く使われている人工臓器には人工腎臓(血液浄化療法)があげられます。血液浄化療法は救急医療の現場でも行われていますが、慢性腎不全患者さんに対する腎機能の代替療法として確立し、高機能かつ小型化した透析装置の開発などが進められたことで、慢性腎不全患者さんの生命予後は大幅に延長されました。

現在は、低分子物質の除去に優れた血液透析(HD)、中・高分子物質の除去に優れた血液濾過(HF)、分子拡散と限外濾過を利用した血液透析濾過(HDF)など、その特性を活かした血液浄化療法が行われています。
日本の透析医療の水準は世界トップクラスともいわれており、さまざまな合併症対策も進んでいます。

HDやHF、HDFなどの血液浄化療法は、週3日、1日4時間以上の通院が必要であり、人工腎臓の利用としては腹膜透析、腎不全医療全体としては腎移植も含めた腎代替療法の普及が今度の課題といえるでしょう。
また、透析装置については現在、高性能ファイバーを使った携帯簡易型や可搬型の血液透析装置の研究開発なども進められています。大規模災害などが発生した場合はもちろん、将来的には現在医療施設で行っている血液透析が家庭でも可能になるかもしれません。

臓器や機能の一部を代替して患者さんの負担を軽減

「聴こえ」の機能の代替に使われているのが人工内耳です。補聴器も広い意味では人工臓器といえますが、人工内耳は補聴器に似た耳掛け式あるいは後頭部に取り付けた装置のマイクで音を拾い、手術で耳の奥に埋め込んだ受信装置に送るものです。補聴器と人工内耳を併用するハイブリッド型を使うことで、聞こえる周波数を温存することも可能です。

糖尿病の治療で使われるインスリンポンプも患者さんのQOL向上に寄与しています。インスリンポンプは、患者さん自身が定期的に注射するよりも膵臓が本来行っているインスリン分泌に近い投与が可能で、低血糖のリスクを軽減するなど、血糖値管理がしやすくなっています。

このほかの人工臓器として、肝臓の研究も進められています。肝臓は大きな臓器であり、多くの機能を持っています。これをすべて人工臓器によって代替することは難しいとされていますが、ブタやヒトの肝細胞を使い、体外の血漿還流治療と合わせて行うハイブリッド型の人工肝臓の研究が進められてきました。
iPS細胞を使った研究も進められるなど、再生医療の研究との協働も期待されています。

移植を超える可能性もある「補助人工心臓」

補助人工心臓は、重症心不全で全身の循環が維持できない患者さんの心臓のポンプ機能を補う装置として開発が進められてきました。補助人工心臓には、体外に血液ポンプが設置されているタイプと、体内植込型の2つがあります。

植込型補助人工心臓は心臓移植待機の目的で使用されていますが、海外では移植を前提としていない患者さんに対しても使用されており、内科的な治療に比べて生命予後改善効果があるとされています。
今後は植込型補助人工心臓が心臓移植を超える治療となる可能性もあるといわれており、重症心不全治療が大きく変わることが考えられます。

人工臓器に限らず、革新的な技術開発が医療分野にも波及して研究が進むこともあります。その代表的なものが3Dプリンタの登場です。たとえば、肝臓、腎臓、心臓などをバイオ3Dプリント技術で再現する研究が進められており、未来の医療に大きな影響を及ぼすことが期待されています。

ナースフルでは働く看護師さんを応援しています。
転職についてお悩みの方はこちらのフォームよりご相談ください。

参考
プレスリリース:世界初止血ナノ粒子と酸素運搬ナノ粒子による重度出血性ショックの救命蘇生―交通事故など緊急時の大量出血患者への救命治療戦略―

日本人工臓器学会:人工臓器とは?

物質・材料研究機構:ニュースリリース
災害時に人工透析代替を目指す高性能ファイバーの開発

科学研究費助成事業研究成果報告書
血液浄化用小型遠心ポンプと極細径小型血液濾過器を用いた可搬型血液浄化装置の開発

日本耳鼻咽喉科学会:難聴でお困りの方 人工内耳について

TOPへ