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在宅での看取りを推進 ICTを利用した死亡診断のガイドライン策定

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現在、国が推進する「次世代型保健医療システム」構築の鍵となるICT(情報通信技術)の活用。ビッグデータ活用やAI(人工知能)による分析、遠隔診療、医療や介護の情報ネットワークなど、多くの場面で活用されることが期待されています。そのひとつとしてICTを利用した死亡診断のガイドライン策定が進められてきました。

在宅医療に関する国民のニーズに対応

内閣府の「高齢者の健康に関する意識調査」によれば、自宅で最期を迎えることを希望する人は54.6%と、半数以上にのぼります。また、配偶者に自宅で最期を迎えさせてあげたいと考えている人も57.7%と、同じく半数以上であることもわかっています。 ※1
しかし、厚生労働省の「人口動態統計」では、死亡場所で最も多いのは病院で74.6%にのぼり、自宅はわずか12.7%に留まっています。※2
超高齢社会にある日本は、2040年には166万人の死亡が見込まれる多死社会を迎えます。これは、現在の病院の病床数では看取りが不可能である人数です。このように、国民の希望、そして病院の状況からも在宅での看取りの推進が必要とされています。

※1 内閣府:「高齢者の健康に関する意識調査」(概要) 
※2 厚生労働省:厚生統計要覧(平成28年度)死亡数・構成割合,死亡場所×年次別「人口動態統計(平成27年度)」

死亡診断のみのために長距離搬送が必要な現実

これらの状況を踏まえて、2016年5月に公表された「規制改革に関する第4次答申~終わりなき挑戦~」には、 在宅での看取りにおける、具体的な規制改革項目が盛り込まれました。※3
この答申では、「地域での看取りを円滑に進めるための取り組みの推進」「在宅での看取りにおける死亡診断に関わる手続きの整備」があげられています。そのなかで、死亡診断に関わる手続きの整備では、医師不在・医師確保困難地域での速やかな死亡診断書交付ができない現状が指摘されました。
死亡診断書の交付は、受診後24時間を経過すると医師による死後診察が必要となります。しかし、医師が不在であったり、遠方ですぐに駆けつけられなかったりと、在宅等での看取りにおける死亡診断の困難事例が少なくありません。だからといって、看取りを目的とした入院や死後診察のための遺体の長期保存や長距離搬送は、患者さん本人や家族にとって大きな負担になります。そのため、医師法第20条の要件を緩和し、条件を満たす事例においては医師が対面での死後診察を行わなくても死亡診断書を交付できるよう、今年から看取りにおける環境の整備を進めることとなりました。

※3 内閣府「規制改革に関する第4次答申~終わりなき挑戦~」

住み慣れた地域で最期を迎えるために

今回の規制緩和では、次の要件をすべて満たす場合に医師が対面の死後診察を行わなくても死亡診断を行い、死亡診断書の交付ができるようになります。

(1)医師による直接対面での診療の経過から早晩死亡することが予測されていること
(2)終末期の際の対応について事前の取決めがあるなど、医師と看護師の十分な連携が
取れており、患者や家族の同意があること
(3)医師間や医療機関・介護施設間の連携に努めたとしても、医師による速やかな対面
での死後診察が困難な状況にあること
(4)法医学等に関する一定の教育を受けた看護師が、死の三兆候の確認を含め医師とあ
らかじめ決めた事項など、医師の判断に必要な情報を速やかに報告できること
(5)看護師からの報告を受けた医師が、テレビ電話装置等のICTを活用した通信手段を組
み合わせて患者の状況を把握することなどにより、死亡の事実の確認や異常がない
と判断できること

法医学に関する講義や実地研修などの具体的な法医学の教育プログラムは、今夏中に発表される見込みです。また、ICTの活用に関しては、通信機器の整備やセキュリティの問題など、クリアすべき課題もあります。
近年のICT技術の発展はめざましく、今回の規制改革も看護師によるICT利用による死亡診断という点が大きく注目されています。
しかし、そもそもの目的は、死亡診断をするためだけに患者さんを遠方の病院等に搬送することを避けることにあります。どの地域で暮らす患者さんにも自分が望む最期を迎えられるような環境を整えられるよう、今後も議論を重ねていくことが期待されます。

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