リクルートの看護師転職パートナー ナースフル

閉じる

明日役立つ手技から働き方、医療ニュースまで、看護に活かせる情報をお届け ナースフルマガジン

少子高齢化で医療提供体制の見直しが急務に 公共・公的医療機関の再検証要請の目的とは?

最新ナースコラム > 医療の最新ニュース

当コンテンツは株式会社 リクルートメディカルキャリアが運営する「ナースフル」というサイト内のコンテンツです。
もし、当コンテンツに関してご不明な点がある場合は、こちらの運営者情報ページからお問い合わせください。


2019年9月、厚生労働省の地域医療構想に関するワーキンググループでの議論をもとに、公立・公的医療機関の再編・統合の議論が必要であるとして医療機関名が公表されました。
多くのメディアで取り上げられたこともあり、とくに地方では大きな波紋を呼びました。この話題も含め、2040年を見据えた医療体制についての検討も進められています。

高度急性期・急性期医療の集約化

2025年に向けて75歳以上の人口は急速に上昇していくことが見込まれており、医療体制は大きな転換期にあります。
一方で、高齢者人口は2030年にピークを迎える地域から、すでに人口減少が始まる地域もあるなど、地域差が大きいと予測されています。

各都道府県は地域医療構想のなかで、2025年の医療需要(入院・外来別など)、2025年に目指すべき医療提供体制、医療機能別の必要量などを策定し、地域の状況に応じた医療機能の分化・連携の推進をはかっています。

その取り組みを促進することを目的として公表されたのが、高度急性期もしくは急性期の病床を持つ公立・公的医療機関等1455施設を対象にした診療実績データ分析の結果です。
対象となったのは、がん、心疾患、脳卒中、救急、小児、周産期、災害、僻地、研修・派遣機能の9領域です。

当該医療機関でなければ役割を担うことができないものに重点化されているかを踏まえ、再編・統合など、具体的対応方針の再検証を要請する対象として医療機関名が公表されたのは424病院で、対象の29.1%と3割近くを占めました。次の項目をもとに対象が示されています。

① 診療実績が特に少ない場合

(1)人口区分ごとに、各項目の診療実績について一定の水準を設け、その水準に満たない項目について「特に診療実績が少ない」こととする

(2)その基準については、横断的に相対的な基準を設定することとし、当該基準については、各項目の診療実績の分布等を踏まえ、人口区分によらず、下位33.3パーセンタイル値とする

※対象となったのは、がん、心疾患、脳卒中、救急、小児、周産期、災害、僻地、研修・派遣機能の9領域

② 各分析項目について、構想区域内に一定数以上の診療実績を有する医療機関が2つ以上あり、かつお互いの所在地が近接している

(1)構想区域内に、一定数以上の診療実績を有する医療機関が2つ以上ある(=「類似の診療実績をもつ」とする)

(2)お互いの所在地が近接している(※自動車での移動時間が20分以内の距離)

※対象となったのは、がん、心疾患、脳卒中、救急、小児、周産期の6領域

具体的には、代替可能性のある機能の他の医療機関への統合、病院の再編などが地域医療構想調整会議の場で議論されるものとみられます。

2025年の先の医療体制は?

厚生労働省の地域医療構想に関するワーキンググループでは、2025年を目指した地域医療構想の実現だけでなく、その先の医療提供体制についても議論されています。
2025年以降も少子化が進み、多死社会を迎えるなかで、医療人材はさらに不足することが見込まれます。医療従事者の働き方も含めて検討する必要があり、2040年には、情報ネットワークの整備による医療機能の集約化はさらに進むでしょう。

限られた医療資源の配置の最適化(病床、医療従事者、医療機器)やかかりつけ医のオンライン診療、ICT技術を活用したチーム医療の推進と業務の効率化、タスクシフティングなどによる働き方改革の浸透など、いかに人と物を効率的に活用するかがポイントといえます。
2040年を見据えた医療体制の整備は、医師や看護師などの医療従事者の働き方改革、医師偏在地域への対応などと合わせて今後の大きな検討課題となっています。

地域住民が安心して医療を受けられる体制づくり

今回再検証の対象として公立・公的医療機関の実名が公表されたことについては現場からの反発も大きく、全国自治体病院開設者協議会では2020年9月を期限とした公立病院再編の結論の期間延長を求める要望書を提出しています。

医療機関は、地域やその専門性によって役割は異なります。公立・公的医療機関への依存が大きい地域もあるため、再編・統合は地域住民にとって多大な影響を及ぼす可能性もあります。公開されたデータの診療実績が医師不足に起因していることも考えられます。

また、医療においては、公立・公的医療機関と民間病院を切り離して考えることはできません。民間病院の診療実績もふまえて地域全体で議論を進めていく必要があるでしょう。
厚生労働省では、今回実名が公表された医療機関がすべて再編・統合の対象となるわけではなく、地域の情勢に合わせた検討を促すものとしています。
地域の医療を守るためには、現状を理解して今後の議論に関心を持ち続けることが重要であるとともに、地域住民にも理解を促す働きかけが必要といえるのではないでしょうか。

ナースフルでは働く看護師さんを応援しています。
転職についてお悩みの方はこちらのフォームよりご相談ください。

厚生労働省:地域医療構想に関するワーキンググループ

TOPへ