リクルートの看護師転職パートナー ナースフル

閉じる

明日役立つ手技から働き方、医療ニュースまで、看護に活かせる情報をお届け ナースフルマガジン

事例で学ぶ看護技術 閉塞性動脈硬化症患者の弾性ストッキング装着

仕事に役立つ看護手技 > 疾患・部位別の看護 編

当コンテンツは株式会社 リクルートメディカルキャリアが運営する「ナースフル」というサイト内のコンテンツです。
もし、当コンテンツに関してご不明な点がある場合は、こちらの運営者情報ページからお問い合わせください。


弾性ストッキングの装着が、重篤な合併症につながるケースもあるそうですね。
日頃、当たり前のように使用しているかもしれないけれど、最悪の場合は下肢切断に至ることもあるわ。
事例をもとに、どうしたら予防できるか考えていきましょう。
●今回の事例:
頸動脈ステント留置術を受ける患者に、医師の指示なく看護師の判断で弾性ストッキングを装着した。
治療後、患者がしびれと末梢冷感を訴えたため、弾性ストッキングを除いて鎮痛薬を投与したが、激痛を訴えるようになった。
患者は他院での治療を希望して退院したが、2日後に下肢疼痛で救急搬送され、保存的な経過観察を経て、最終的には下肢を切断することになった。

「一律着用」は危険!ケースごとに慎重な判断を

リコ:
下肢の閉塞性動脈硬化症(ASO)であり、弾性ストッキングだけが原因とは言い切れないものの、下肢切断に至ってしまうとは・・・取り返しのつかない事態になりました。

ヨシミ師長:
弾性ストッキングは、下肢マッサージやフットポンプとともに、深部静脈血栓症を予防するために用いられるわね。
比較的安価で取り扱いも難しいわけではないから、手術を受ける患者さんなどに装着する機会が多いんじゃないかしら。

リコ:
血栓症予防のため、装着し忘れないことにばかり意識が向いてしまいがちですが、そもそも「弾性ストッキングを装着するかどうか」も慎重に考える必要がありますね。

ヨシミ師長:
弾性ストッキングの禁忌としては、「重度の血行障害やうっ血性心不全」「感染性静脈炎」「装着部位に極度の変形」などが挙げられるわ。
もちろん、ASOも原則として弾性ストッキング装着の禁忌ということになるわね。

リコ:
もともと血行の悪いASOの患者さんに弾性ストッキングを装着すると、動脈を圧迫して、さらに血流を悪化させてしまうおそれがあります。
特に動脈血行障害によって安静時の痛みや間欠性跛行がみられる場合は、弾性ストッキングの使用を避けるべきなんですね。

ヨシミ師長:
冒頭の事例では、そもそもASOの患者さんには弾性ストッキングが原則禁忌であることを看護師が知らず、血管内治療の際は一律に装着していたそうよ。
また、クリニカルパスの中にも弾性ストッキングに関する記載はなかったらしいわ。

リコ:
看護師一人ひとりが、弾性ストッキングによる合併症について正しい知識を持つことが大切ですね。

看護師は主治医への報告・相談を徹底しよう

ヨシミ師長:
冒頭の事例のように下肢切断にまでは及ばなくても、ASOや潰瘍の悪化、下肢虚血の進行を招いた事例が複数報告されているわ。
こうしたことを予防するためには、どのような対策が考えられるかしら。

リコ:
ASOの疑いがある患者さんについては、あらかじめ動脈エコーやCT検査などを実施したいですね。
スクリーニングとして、手術前の全患者に対してABI(足関節上腕血圧比)検査を行っている病院もあるそうです。

ヨシミ師長:
触診が難しいときは、ドップラーで血流の音を聴取することも有効よ。
看護師としては、疾患の既往や下肢の皮膚状態を確認し、必要に応じて主治医に報告することを心がけたいわね。

リコ:
ASOがあるから弾性ストッキングを装着しないのか、ASOでも血栓症のリスクが高いから装着するのかは判断が難しいところだと思います。
装着の可否や着脱のタイミングについて必ず医師から指示を受けるとともに、そのリスクについて患者さんやご家族にしっかり説明することが重要ですね。

ヨシミ師長:
弾性ストッキングの禁忌患者リストを作成する際も、疾患名を具体的に記し、カテゴリ別にするなど分かりやすくまとめておきたいわね。
弾性ストッキングに関する院内のガイドラインやマニュアルを確認してみて、あいまいな点があったら積極的に改善を図っていきましょう!

ナースフルでは働く看護師さんを応援しています。
転職についてお悩みの方はこちらのフォームよりご相談ください。

参考資料
日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業 第48回報告書(平成28年10~12月).

監修:医療法人社団航洋会 目黒通りハートクリニック 理事長/院長 安田洋先生

TOPへ