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診療報酬改定で変わる禁煙治療―治療継続のサポートが鍵

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喫煙による病気のリスク

 喫煙はあらゆる病気の発症と深い関わりがあるといわれています。男性の場合、非喫煙者に比べて喫煙者は、肺気腫などの呼吸器疾患で死亡するリスクが2.2倍、心筋梗塞で2.1倍にのぼります。また、喫煙によって血流が悪くなり、胃腸の粘膜が弱くなったり、ニコチンの作用で胃酸過多になったりすることで、胃潰瘍のリスクが1.9倍になることがわかっています。
 喫煙によるリスクのなかでも最も知られているのが、がんの発症です。がんの死亡のうち男性の40%、女性の5%は喫煙が原因と考えられています。なかでも肺がんによる死亡では、男性70%、女性20%で喫煙が原因とみられています。因果関係が明らかになっているがん腫だけで、口腔、鼻腔と副鼻腔、中咽頭と下咽頭、食道、胃、肝臓、膵臓、喉頭、肺、子宮頸部、尿路、白血病と多岐にわたります。全がん種で喫煙とがん死亡の相対リスクは、男性で2.0、女性で1.6となっています。
 このほか、家族のなかに喫煙者がいると、呼気中の一酸化炭素やニコチン濃度が高くなり、病気のリスクが高まる受動喫煙も問題です。夫が喫煙者で妻が非喫煙者の場合、受動喫煙による肺がんのリスクは1.9倍にのぼることがわかっています。

若年層でも禁煙治療が保険適用に

 こうした状況を受けて、2006年の診療報酬改定時には、ニコチン依存症管理料を新設。禁煙治療の保険適用が可能になり、禁煙外来を開設する医療機関が増えました。保険適用となるのは、下記4つの条件を満たす患者でした。

①ニコチン依存症と診断されている
②1日の平均喫煙本数×これまでの喫煙年数の指数が200以上
③直ちに禁煙を始めたいと思っている
④禁煙治療を受けることに文書で同意している

 しかし、②については、1日1箱以上喫煙している人でも、喫煙年数が10年以上経たなければ条件を満たしませんでした。そのため、若い喫煙者は禁煙治療の適用になりにくい点が指摘されていました。禁煙治療はできるだけ早く始めたほうが、病気のリスクの軽減効果があり、将来的な医療費の抑制にもつながります。
 そこで2016年の診療報酬改定では、若年者でもニコチン依存症と診断された場合、②の指数に関係なく、保険適用で禁煙治療が受けられるようになりました。35歳以上は従来の4つの条件を満たす必要がありますが、34歳以下では指数に関係なく保険適用となります。未成年であっても同様で、ニコチン依存症であるかどうかの診断が重視されることになります。また、患者さんの平均治療回数が少ない場合には、診療報酬が減算になるなど、医療機関による治療継続に向けた積極的な取り組みが求められる内容となりました。

治療継続には看護師による指導が重要

 禁煙を成功させるためには、患者さんが通院を途中で中止することなく、継続的な治療を受ける必要があります。禁煙の意義、自らの意思で行うことを改めて確認するとともに、生活背景をふまえ、禁煙がつらくなる時期に支援ができるようなしくみづくりも求められます。看護師は、ストレスが重なる時期には一緒に解決策を考えたり、気分転換の方法をアドバイスしたりするなど、生活背景をふまえた具体的な指導、提案ができます。そのうえでは医師以上に看護師によるかかわりが重要といえるでしょう。
 禁煙外来では、禁煙外来用のクリティカルパスを導入して指導内容、理解度を確認するなど、禁煙治療をプログラム化している施設が多くあります。たばこには身体的な依存、心理的な依存があります。そのためニコチンの離脱症状が出る時期に合わせて電話連絡を入れることや、食欲が出てきた、咳や痰が治まったなど、禁煙による効果を患者さんに実感してもらうといった、モチベーションを維持するためのさまざまな工夫を行っています。今回の診療報酬改定により、治療対象年齢層が広くなることで、若年層に向けた指導方法についても各施設で検討する必要があるでしょう。
 心理的なサポートは、禁煙治療の成功率に大きく影響するともいわれています。禁煙指導は、看護師の腕の見せどころでもあるといえそうです。

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